新型インフルエンザに感染した疑いがある患者を最初に診察する発熱外来について、19日現在で全国に727カ所設置され、41都道府県は厚生労働省の求める水準以上の数に達していることが毎日新聞の調査でわかった。一方、設置時期の考え方にばらつきがあり、青森、宮崎の両県は「県内で患者が発生してから」として設置準備にとどまり、1カ所も設置していない。多くの自治体で、医師などの確保に苦慮している実情も浮かんだ。【内橋寿明、山本太一】
厚労省は発熱外来について、都道府県内をいくつかの地域に分けた「2次医療圏」単位での確保を求めている。感染者が一般の医療機関を受診し、他の患者へ感染を拡大させることを防ぐためだ。19日現在の設置状況を聞いたところ、41都道府県で2次医療圏の数以上の発熱外来を設置していた。
一方、青森県と宮崎県は今月11日現在で厚労省に報告した設置予定個所はそれぞれ18、17カ所だったが、両県の行動計画では、県内で感染者を確認してから設置することになっており、まだ設置していないという。両県とも「事前の準備は整っており、県内で感染者が出ればすぐに立ち上げることができる」としている。
設置にあたり、医師から不安の声も上がっている。「診療所の休業補償はしてくれるのか」。17日、島根県では開業医の休診日に合わせ、医師約200人が参加したテレビ会議が開かれた。県の担当者が、発熱外来の役割を説明して診察への応援を呼び掛けた。医師からは、経営への影響や、防護服を着た状態での診察を不安視する意見が出た。
医師確保には、各自治体とも頭を悩ませている。岡山県は、発熱外来15カ所を設置したが「対応する医師が足りない」と嘆く。予算面から、感染が拡大しても設置場所は病院内の併設に限る。鳥取県は鳥取大と「まん延期」を想定した支援協定を締結。医師が不足すれば、大学病院から派遣される。宮城県も東北大医学部の医師らが、診察に当たる。
医師を確保しやすい方策を講じている自治体も。栃木県は、発熱外来で勤務する医師が2次感染した場合は補償ができるようにした。医師を一時的に県職員の身分にして、感染の場合は公務災害の認定が受けられる。群馬、千葉両県も同様の検討をしている。
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◆発熱外来の設置数◆
(カッコは2次医療圏の数)
北海道 44(21)
青森 0( 6)
岩手 12( 9)
宮城 6( 7)
秋田 9( 8)
山形 10( 4)
福島 16( 7)
茨城 12( 9)
栃木 5( 5)
群馬 9(10)
埼玉 19( 9)
千葉 35( 9)
東京 65(13)
神奈川 27(11)
新潟 11( 7)
富山 12( 4)
石川 13( 4)
福井 6( 4)
山梨 15( 4)
長野 11(10)
岐阜 19( 5)
静岡 16( 8)
愛知 28(11)
三重 12( 4)
滋賀 15( 7)
京都 14( 6)
大阪 41( 8)
兵庫 39(11)
奈良 3( 5)
和歌山 12( 7)
鳥取 12( 3)
島根 8( 7)
岡山 15( 5)
広島 19( 7)
山口 13( 8)
徳島 16( 6)
香川 5( 5)
愛媛 9( 6)
高知 7( 4)
福岡 17(13)
佐賀 5( 5)
長崎 14( 9)
熊本 10(11)
大分 16( 6)
宮崎 0( 7)
鹿児島 20( 9)
沖縄 5( 5)
計 727(349)
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▽厚生労働省 03・3501・9031
(午前9時~午後9時)
※全国の保健所でも対応
▽外務省 03・3580・3311内線4101、4102
(午前9時~午後5時、平日のみ)
▽文部科学省 03・6734・2957
(午前9時~午後6時半)
毎日新聞 2009年5月20日 東京朝刊