運休していた救急ヘリが6月15日から、約1年ぶりに北部の空に戻ってくる。特定非営利活動法人(NPO法人)「MESHサポート」(小濱博理事長)が救急ヘリの運航再開を発表した。
北部市町村、住民が改善を求めていた地域医療の“欠陥”が、一部とはいえ修復されるのは朗報だ。
救急ヘリはもともと北部地区医師会病院が運航していたが、昨年7月から資金難を理由に運休。代わってヘリ運用を目指すMESHサポートが発足し、行政や企業、市民に募金を働き掛けてきた。
「救える命を救おう」との呼び掛けに賛同が相次ぎ、支援会員は約8700人に達している。地域医療の“再生”のため、これだけの人が行動を起こしたのは心強い。
昨年末から、県の委託で浦添総合病院が読谷村を拠点に救急ヘリを運航。本島全域と周辺離島、鹿児島県の与論島、徳之島までカバーし、救命医療に貢献している。
しかし、中部にヘリが配備されても「伊平屋や伊是名、国頭村など本島一部地域は、救命率向上となる15分内の到着には間に合わない」として、北部市町村は北部へのヘリ導入を強く求めている。
MESHによると、自治体や一般市民からの支援金で、再開後約10カ月の運航が可能という。運航の持続が引き続き大きな課題だ。
従来、1県1機の救急ヘリ配備が国の原則。しかし、厚生労働省はこれにこだわらず、要望があれば、2機目導入を支援する方針だ。
厚労省によると、救急ヘリ1機当たりの年間運航費は約1億7000万円で、従来は国と都道府県で折半していた。しかし、導入が進まないため、今年3月、総務省が自治体負担の半分を特別交付税で充てられるよう省令を改めた。
県は財政事情の厳しさから、新たな負担を伴う2機目に慎重な構えだ。しかし、ことは命の問題だ。「費用対効果」の基準で、思考を停止させるべきではない。県は、国の変化も見据え「救える命を救う」ための知恵を絞ってほしい。
北部市町村の間では、国頭村安田や今帰仁村古宇利の県診療所の閉鎖などを踏まえ、「医療格差」拡大への懸念も根強い。
あるべき地域医療の姿とは何か。県や北部市町村、MESHはそれぞれの役割を自覚し、連携を強めてほしい。救命救急医療の再生へ、粘り強く歩んでもらいたい。
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