新型インフルエンザの感染拡大を受け、神戸市医師会は19日、比較的症状が軽い人については一般の医療機関で診療を引き受けることを決めた。国の行動計画では、感染が疑われる人は設備が整った「発熱外来」でしか受診できないが、感染者が増えて対応できないため市が医師会に協力を要請していた。厚生労働省は患者多発地域に限り、感染防止策をとることなどを前提にこうした動きを容認する考えだ。
国の行動計画によると、インフルエンザの症状がある人は自治体が設けた発熱相談センターに電話し、新型の感染が疑われる人は発熱外来を受診する。神戸市では発熱外来が9カ所あるが、感染の拡大でパンク寸前の状態という。
今回の取り組みでは、感染が疑われる人は発熱相談センターに連絡したうえで、慢性疾病がないなど症状が重くなる可能性が低いと判断されれば一般医療機関で受診できる。神戸市医師会に加盟する医療機関約1500カ所のうち、発熱外来と同等の厳格な態勢はとれなくても、時間を区切るなどして一般受診者と切り離せるところから順次実施。身近なかかりつけ医に診てもらうことも可能になる。
一方、大阪府高槻市医師会は加盟医療機関(島本町を含め約250カ所)に対し、感染の疑いのある人の診療を認めることを独自に決め、18日夜にファクスで周知した。
高槻市では私立高校での集団感染とみられる患者が多く、発熱外来が混雑している。一般医療機関から「受付を別に設けて対応してもいいか」といった問い合わせを受け、医師会は「弱毒性とみられることも考慮し、感染拡大を防ぐために対応せざるを得ない」と判断した。比較的規模の大きい病院では19日朝から受け入れを始めたという。
一方、兵庫県の井戸敏三知事は19日の記者会見で「他の入院患者への感染が心配される。一般病院が受け入れるなら、それなりの遮断構造などの対応が必要になってくる」と慎重な姿勢を示した。