「大相撲夏場所9日目」(18日、両国国技館)
大関日馬富士が大関魁皇を一方的に寄り切って初日から9連勝とした。タレントの笑福亭鶴瓶からテレビ出演のオファーを受けていたが、土俵に集中するために封印。支度部屋ではV宣言も飛び出し、大関3場所目での初優勝へ気力が充実している。横綱白鵬は関脇豪栄道を上手投げで退け全勝をキープした。1敗で横綱朝青龍と平幕の稀勢の里が追っている。
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迷いなく突っ込んだ。右前まわしを引いた日馬富士は、左を差すと一気に踏み込むと、そのまま魁皇を土俵の外へ追いやった。前日8日目の千代大海戦の立ち合いで踏み込めなかった反省から正攻法にこだわった。支度部屋では「迷わずいけた」と自画自賛した。
自己記録をまたも塗り替える初日からの9連勝。横綱白鵬とのマッチレースで優勝も視野に入ってきた。最初は「1日1日の積み重ねが結果になるから」と控えめに話していたが、次第に言葉に熱がこもる。最後は「チャンスがあればつかみたい」とV宣言まで飛び出した。
大関に昇進して3場所目で知名度も高まっている。部屋関係者によると、2月に部屋を訪れたタレントの笑福亭鶴瓶から「テレビに出てくださいよ」と直々に出演オファーを受けたという。名前を売るには絶好の機会だが、日馬富士は「そういう話はあったけど、土俵に集中したいから」と答えを保留したという。
伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「バラエティーは出ない。暇があったらけいこをしないと」と切り捨てたが、初優勝を果たせば可能性もある。日馬富士も「いろんな人に顔を覚えてほしい」と露出の重要性は認識しているだけに、今場所は結果を出したいところだ。
今場所からは「まわしを相手に取られても自分の相撲は取れる」と、まわしを水でぬらし、きつく締めることをやめた。相手は二の次で、自分がいい相撲を取ることだけに集中している。勝負どころを「まだまだこれからだよ」と先に見据えた日馬富士。真っ向勝負を後半戦も貫き通す。