「辞めないで」――。11日の小沢代表の辞任会見で、緊迫した会見場に響いた女性の叫び。報道陣がざわついた声の主は、次期衆院選で山口4区から出馬する戸倉多香子氏(49)だ。
山口県立徳山高、図書館短大を卒業。まちづくりグループ代表や、県の審議会委員などを務めた。夫と3人の子どもがいる。
「政治と無縁の主婦だったが、10年ほど前、徳山市(現周南市)の古ビル再生に取り組んだことがきっかけで審議会の委員に招かれるようになり『市民力』に目覚めた。03年には合併した周南市の議員報酬が高すぎる――と署名活動を展開。議会を解散に追い込んだ“実績”もあります」(地元関係者)
本人がこう言う。
「たまたま招かれていた都内での講演会を中座して党本部に向かいました。テレビや新聞の一連の報道を見ていると、郵政選挙の時にひたすら民営化をあおったような危うさを感じます。小沢代表が、彼らが描く筋書き通りに辞任していくことが残念でたまりません」
戸倉氏が出馬する山口4区は安倍元首相の地盤。
こっちには「辞めてー」と叫びたいだろうが、簡単ではない。
「前代未聞の“政権放り出し”にがっくりの支持者は多い。3月の下関市長選では、安倍直系の元県議が、民主党支援候補に負けています。それでも安倍王国の岩盤は強固です」(事情通)
どちらにも声はなかなか届かない。
(日刊ゲンダイ2009年5月13日掲載)