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2009/05/20

昔話-その27-

「レディレディ!!」は、レザリオンでもお世話になった東映動画の蕪木さんから、今度少女ものをやるからオープニングの原画をやってくれないかと頼まれたのが最初でした。

僕が少女もの…ですか?
とは思ったものの、お世話になっている蕪木さんからのお話でしたから、二つ返事でお引き受けしました。

と…そのすぐ後で、今度は今からすぐに原作を届けるから、キャラを何点か描いてみてくれないかと…
なんのことやら解らぬまま、届けていただいたのが「レディ!」※というタイトルのコミックスの1巻でした。
※原作の「レディ!」というタイトルが、アニメで「レディレディ!!」に変更になったのは、商標登録の都合でした。

それを見ながら、その日のうちに何点かラフスケッチを起こして提出しました。
コミックスの1巻って、作者の先生もまだ絵が固まっていない時期のものですから、イメージを集約するのに苦心した記憶があります。

その後すぐに…「あなたにキャラクターデザインもお願いすることに決まったから」との連絡がありました…
えーと…僕、ロボットものとか、アクションものしかやってきていませんが…(汗)
そうは思ったものの、念願のテレビシリーズのキャラクターデザインです。
お引き受けすることにしました。

ただ…その日から二日で、まんがまつりで上映する特報も兼ねたパイロットフィルムを作らなければならないという罠が…
まだキャラクター表を作る前ですから、自分で原画を全部描くしかありません…

リボンの上を回り込みつつ滑り降りるリン…という動きのあるカットと、あとはスチールに近い止め絵が数点でした。
このフィルムが現存しているかどうかは存じませんが、個人的にビデオに録ってあったものをDVDに落としてあるので、今でも見ることはできます。
本編とは色指定も違っていて、エプロンがドレスと同色のピンクになっていたりと、ちょっとレアな映像です(笑)

その後、キャラクター設定を描いていくわけですが、テレビシリーズの設定は数も多く大変な作業なんだとあらためて実感しました。
そういえば後に知ったんですが、僕の前に別の女性アニメーターの方が、企画用のイメージスチールとかを描いていたみたいですね。

レディでは、アニメ用のキャラの他に、バンダイさんに提出する商品化用のグッズのアイディアスケッチも数点描きました。
その中の帽子型のバックのアイディアを気に入ってくださって、実際に検討してくださったらしいのですが、コストの問題で採用できなかったという話でした。

バンダイの開発の方からも、最初はキャラに対して随分キツイことも言われました。
それほど、責任をもって取り組まなければならない仕事なんだと実感したものです。

ただ、番組が始まったら、商品が売れたんです…ビックリするくらいに。。。
もちろん、ひみつの鍵ペンダントやオルゴール宝箱など、バンダイさんのアイディアがあってのことですが、やはり嬉しかったですね。
CM用のアニメも、何本も描かせていただきました。

今でも、オルゴール宝箱だけは持っていますよ。
ただ残念なことに、本編では確かエンディング曲のはずのオルゴールの曲が、玩具ではオープニング曲なんですよね…

オープニングといえば、少年隊です。
当時としては、画期的なことだったんですよ。
あれは横山プロデューサーの英断でした。
いろいろと大変だったみたいです。
キー局がTBSでしたので、ザ・ベストテンのつながりから実現したという話を聞いた記憶があります。

実は、オープニングを作画している間、ずーっと仮歌のテープを聴きながら作業していたのですが、いざ少年隊の本物の歌を聴いたときには、すでに仮歌が刷り込まれていたので、ちょっと違和感がありました…(苦笑)

アニメのオープニングは、仮歌でコンテや作画に入ることも多いのですが、完パケの段階でアレンジが変更されていることも多く、結構困ることがあるんですよ。

オープニングアニメーションは、演出は有迫さんなんですが、コンテは…
有迫さんが描かれるはずだったものを、コンテ清書しますよと半ばとりあげてしまった形で僕が描いてしまったんですよね…
あれは申し訳なかったなぁと…今更ながらごめんなさい。。。

そういえば、花火とゆかたといった情景も入れたのですが、それはNGでした。
輸出のことがあるので、日本的な描写は入れては駄目なのだそうです。
このカットは代わりにロンドンブリッジに差し替えていますね。

原画は、僕と羽山淳一さんの二人で描いています。
羽山さんは馬とかも抜群に上手くて、本当に助かりました。

最初の白ベタに絵本的なお城が浮かび上がってくるところとか、手書きなんですよ(笑)
リンがシャボン玉に入って空を飛ぶカットの背景のお城の回り込み(原画は羽山さん)も、演出の有迫さんのアイディアで、背景動画を画用紙にコピーして、みんなで手分けして一枚一枚色鉛筆で塗ったんです。
手作り感が楽しかったなぁ…

背景にスクリーントーンを貼っているカットもあるんですが、あれは「マグネロボ ガ・キーン」のオープニングをイメージしています。
でも、あまり上手くはいきませんでした。
画用紙に描いてある背景に直接スクリーントーンを貼ると、のりで曇っちゃうんですよね…
今ならデジタルで簡単に出来ますが、ガ・キーンではあの時代にどうやって処理していたのか未だに疑問なんですよ…
もしかしたら、画用紙にスクリーントーンを直接ゼロックスコピーしていたのかもしれませんね。

サビ~のレディになったリンは、自分で原画を描いているので設定は起こしていません。

本編に関しては、#1の作画監督に続いて、#2~#5は総作画監督もやっています。
これはスタッフが絵柄に慣れるまでの最初の一回は総作画監督を入れるという、当時の東映動画のシステムだったんですね。

初期は、リンのほっぺにタッチがついていたのですが、それがどうも汚く見えるとのことで、途中から色トレスの塗りに処理を変更しています。

島田奈美さんの歌う挿入歌、ハローレディも良い曲でした。

あ、そうそう…美術監督の沢田隆夫さんは、後に読売巨人軍のマスコット・ジャビットの生みの親となった方です。
レディの色彩設定も、全部沢田さんが担当されています。

当時は今みたいに色彩設定という役職は無く、キャラクターの色も全部美術監督が決めていたんですよ。
少女ものということで、どうしてもビンクの使用頻度が上がるのですが、ピンクは発色が難しい上、色数も少なかったのでご苦労されたと思います。

#6以降は、ローテーション作監としての参加になったわけですが、数ヵ月後からは劇場(まんがまつり)用の作業に入ったので、テレビシリーズのローテーションからは外れています。

劇場版では、僕の希望で、オープニングに続いて羽山さんに原画を手伝ってもらっています。
劇場版のオープニングの演出は石田さん、原画は直井正博さんだったと思います。

主題歌を歌われたアイドルの守谷香さんが、ゲストとしてご本人役のまま声の出演をされるという無茶ブリもあったので、写真を見ながらキャラクターも作りました。

テレビシリーズのレディレディ!!は、#21を持って終了しています。
打ち切りですが…これには視聴率だけの問題ではなく、いろいろな大人の事情があったみたいです。

ただ、レディはそれで終わらなかったんです。
次回は「ハロー! レディリン」のお話です。

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