トップ > 長野 > 5月19日の記事一覧 > 記事
【長野】栗林旧陸軍大将の論文発掘 軍の旧態鋭く批判2009年5月19日
映画「硫黄島からの手紙」などで知られる旧日本陸軍の栗林忠道大将が、中尉だった1919(大正8)年に発表した軍の旧態を批判する論文を、出身地・長野市の「人間・栗林忠道と今井武夫を顕彰する会」(井上昭英会長)が発掘した。同会は「軍でタブー視されていた体質を批判する勇気ある内容で、栗林の面目躍如たるものがある」としている。 栗林大将は1891(明治24)年、西条村(現長野市松代町)生まれ。長野中学校(現長野高校)卒業後、陸軍士官学校に進んだ。1944(昭和19)年、中将で硫黄島守備隊総司令官に着任。米軍上陸後、大将に昇進し、最後の総攻撃で戦死した。 論文は「吾人(ごじん)ノ軍事知識以外ノ知識ノ著シク低級ナルハ争フベカラズ」と題し、陸軍将校の親睦(しんぼく)会の機関誌「偕行(かいこう)社記事」に寄稿。当時の将校が軍事以外の知識は不要としていたことを批判し、部下を心服させるためには民主主義や一般常識も広く学ぶべきだと訴えている。 顕彰する会は、栗林大将とともに、中国との和平工作に尽力した同窓の今井武夫少将の功績を広めようと、長野高校OBを中心に今年3月発足。今月8日に開いた勉強会で、会員の川上昭三さん(81)が知人から譲り受けた資料の中から、論文の2次資料を発見した。 同会は24日、2人の肉親を招いた集会を長野市民会館で開く。長野高校管弦楽班による演奏もある。入場無料。問い合わせは、同会事務局=電026(296)0093=へ。 (小柳津心介)
|