きょうのコラム「時鐘」 2009年5月19日

 「レジ袋追放で傘が必要」になり「マイバッグ普及で万引が増える」のだそうだ。何の関係もないものが連鎖反応で突然つながる世の中である

傘が必要なのは、レジ袋有料化に備え、石川県で傘を再利用したマイバッグ作りを進めているからだ。残念ながら、傘のリサイクル運動が普及しているというのに、再利用に使う傘は思ったほど集まらないという

万引の増加は、マイバッグに入れた商品が店外に持ち出されるからである。レジ袋追放先進県の富山では、万引をとがめられる客に中高年が目立つようだ。いい年をしながら、マイバッグひとつで崩れる倫理観とは何だったのか、情けない連鎖話ではある

景気低迷の中で薬品医療企業の業績が好調だ。新型インフルエンザでマスクや消毒薬が売れるからで、悪いことばかりが連鎖するわけでもない。「カネは天下の回りもの」という。ただ、お金も傘も欲しいと願う所にそう都合よく回って来ないのが現実である

感染症は過剰反応が連鎖する。連鎖が連鎖をよび「新型」の社会騒動を招いているように見える。本当に怖いのは、付和雷同の体質だろう。