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医療パンク寸前 新型インフル感染173人

対応に追われる吹田市民病院の職員ら=大阪府吹田市(安元雄太撮影) 兵庫県や大阪府で急速な感染拡大を見せる新型インフルエンザ。大阪府の橋下徹知事や医療関係者は「すでに蔓延(まんえん)期に入っている」とし、軽症者は自宅療養に切り替えるなどの措置をはじめた。政府も対応見直しをはじめたが、現場の混乱は加速。最初に対応する発熱外来や、検体を分析する検査機関はパンク寸前で、突然の休校・休園で子供たちも行き場を失っている。

 24時間体制も…

 58人の感染が確認されている神戸市。詳細(PCR)検査を行う同市環境保健研究所では27人の検査技師が交代制で24時間稼働しているが、検査は検体数の急増に追いつかない。15日午後8時から18日夜までに約200人分が持ち込まれ、156人分の検査は終わったが、約40件はまだだ。1件のPCR検査には約4時間半ほどかかるが、機械は1台のみで、処理能力を超えている。当初、周辺市の地方衛生研究所に応援を求める予定だったが、そこでも感染が出たため断念。ギリギリの状況が続いている。

 大阪府立公衆衛生研究所でも状況は同じ。感染者を確認するまでは1日数件程度だった検体が急増。同研究所には現在2台の検査機器があるがそれでもパンク寸前。府でも検査機器をさらに1台増やすことを決め、22日開会の府議会へ提案する補正予算案に購入費を盛り込んだ。

 “飛び込み”急増

 事実上「蔓延期」宣言した大阪府は17日以降、感染者でも軽症の場合は在宅療養とし、すでに17日以降に感染が確認された40人に適用されている。しかし、最初に対応する発熱外来には、発熱相談センターを通さずに“飛び込む”ケースも増えている。大阪府池田市が設置した発熱外来には、17、18日で計約60人が受診。場所は非公表で、池田保健所で予約を受けた人が職員から案内を受けて受診しているが、発熱外来の場所を偶然知った人が突然訪れるケースが後を絶たない。担当職員は「感染者がいる可能性のある発熱外来に突然来ることの方が危険」と注意している。

 一方、箕面市では発熱外来を設置していない同市立病院に診療を求め訪れる人も相次いでいる。このため、同病院は病院正面に新型インフルエンザ対応の特設テントを設置。防護服を着た職員が受け付け、問診した後、特設外来に案内しているという。

 行き場がない…

 中学・高校の休校に加え、全小学校でも休校措置をとった兵庫県。保育園は休業、学童保育も閉鎖され、子供たちの“居場所”は限定された。

 兵庫県内の生徒が9割を占める学習塾「関学ゼミナール」(西宮市高松町)は18日、県内全校の臨時休校を受け、塾全体の臨時休業を決定した。生徒に電話で連絡した中井信哉理事長(49)は、「『試験前なので、せめて自習室だけでも使わせてほしい』と泣きつかれた」という。神戸市内で2教室を開校している「日能研関西」(神戸市中央区)では16日から2日間休校したが、「情報収集の結果、症状も命に別条がないようだから」(同社総務部)と、18日に再開した。全員にマスク着用を義務づけ、アルコールによる手洗いを徹底するなど、「万全の対策で臨む」という。

【写真説明】対応に追われる吹田市民病院の職員ら=大阪府吹田市(安元雄太撮影)

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