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ディレバレッジ

2009年4月8日0時9分

 レバレッジと聞くとすぐヘッジファンドを連想してしまう。確かにヘッジファンドは顧客から預かった資金のみならず、その何倍もの資金を金融機関から調達し、運用し大きな収益を得ていたのだ。

 同じやり方でビジネスを行っていたのが米国の投資銀行であり、少ない資金でレバレッジをかけ、大きく運用し大きな収益を上げようとしてきた。07年の3大投資銀行のレバレッジ比率(総資産を株主資本で除した比率)は30倍以上だったと聞いている(03年ごろまでは20倍前後)。

 しかし、今回の金融危機で保有資産が劣化したことに加え資金市場が正常に機能せず、投資銀行が資金を確保するためには銀行に買収されるか、銀行の持ち株会社になる他なく、その時点で米国の投資銀行は消滅したのである。皮肉にも日本のメガバンクや大手証券会社の一角は、消滅した米国の投資銀行を買収したりしてそれを目指している気がする。

 レバレッジに関しては、米国では個人が住宅価格の上昇を期待して借り入れを増やし、この金を使って消費していたのである。これもレバレッジの一つだ。また個人だけでなく、米国そのものが海外から経常収支の赤字をファイナンスし、豊かな経済を保ってきたといえる。しかも今回の経済危機収拾のための財政出動により、さらなるレバレッジを利かせた財政運営となる。

 政府部門は別にして民間部門の金融ビジネスにおけるレバレッジは大幅に減少していくだろう。いわゆるディレバレッジの動きが当面続くと考えられる。これは伝統的な金融ビジネスに回帰することを意味し、今までのような大きな金融ビジネスの収益が期待できなくなることを意味する。(QJ)

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