北方領土問題、ロシア紙冷ややか 3.5島返還論「日本の進歩」
【モスクワ=佐藤貴生】訪日したロシアのプーチン首相は麻生太郎首相との12日の会談で、北方領土問題の解決に向けて「すべての障害を取り除く必要がある」などと述べ、前向きに取り組む姿勢を示した。ただ、13日付露各紙では領土問題の進展には冷ややかな論調が目立っており、7月にイタリアで開かれる主要国首脳会議(サミット)の際に予定されている麻生首相とメドベージェフ大統領の首脳会談に向け、ロシア側の真意を慎重に見極める必要がありそうだ。
政府系ロシア新聞は「日本側が強く望んでいた(北方領土を含む)クリル諸島(千島列島)をのぞき、利益ある多くの契約が結ばれた」とし、領土問題の先送りと経済関係の進展を強調した。その上で、首相訪日前に政府高官が領土問題について「失望しないためにも(日本は)過度の期待をすべきではない」と述べていたことを挙げ、「モスクワはまだ(解決に向けた)準備をしていない」と指摘した。
有力紙独立新聞は「領土問題が露日関係に占める役割はどんどん小さくなるだろう」というロシアの外交・軍事専門家のコメントを掲載。この専門家は将来、北方領土の天然資源を日露共同で開発する可能性も示唆した。共同開発はソ連崩壊後、ロシア側がたびたび提案してきたが、「ロシアの不法占拠を追認することになる」として、日本側が退けてきた経緯がある。
谷内(やち)正太郎政府代表が「3・5島返還でもよい」と述べたとされる問題も尾を引いている。有力紙コメルサントは「プーチン首相は領土問題を回避した」との見出しの記事で、領土問題の基本的な構図は長期にわたって残るとしながらも、「日本はすでに(4島のうち)1つの島の半分をロシア側に譲る用意ができた」とし、日本側の姿勢を「進歩」と評している。
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