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雨あがる

改訂版

by.六面球



その六




 結局、シンジは四半刻とかからずに、マユミに全てを白状させられていた。

 男が、マユミを嬲るつもりである事を言った時に感じた殺意まで、あらいざらいである。

 その間、妻は表情を変えずに、ジッとシンジの言葉に耳を傾けていた。

 メガネの奥から彼を見つめてくる、真っ直ぐな視線が辛い。

 話を聞き終えても、彼女の表情は奇妙に静かだった。

 だが、その目がとても優しい光を持っている事に、シンジは気づいていない。

「………………これで、全部だよ。僕は……ひどい奴だよ……。ずるくて、汚くて…仕官もろくに出来なくて……。マユミを汚すって言われて、殺すなんて生やさしい、地獄を見せてやらないと……なんて、そんな酷い事まで考えて、本当に……」

 マユミの表情に気づかず、全てを話し終えても、シンジの独白は終わらなかった。

 それどころか、どんどん自分自身を切り刻むかのように、自虐的な台詞を口にしていく。

「僕は……僕は………」

 なおも言い募ろうとするシンジに、マユミはそっと彼の唇に白い指をあてて、言葉を封じた。

「マユミ?」

 妻の行動に、シンジが不審そうな声を出すが、続きは言えない。

 マユミは夫の顔を両手で捕まえると、フワリと唇を奪って自虐的な台詞を出せなくしてしまう。


「!?」


 普段は、シンジに唇を重ねられる事にすら恥じらいを隠せないマユミの、突然の積極的な行動に、思わず驚いてしまった。

 夫の戸惑いも意に介さず、そのまま舌をシンジの口中に進入させて、優しく彼の舌を愛撫していく。

「ん………………」

 震えているシンジの舌に、優しく愛おしむようにマユミの舌が絡み、ねっとりと愛撫してくれる。

 湧き出て来るシンジの唾液を、喉を鳴らして飲み干していく。

 常にない彼女の積極的な愛撫に、シンジの脳髄が徐々に痺れだした。

 ひとしきり愛撫を終え、唇を離したマユミとシンジの唇を、唾液の透明な糸が名残惜しげに繋いでいる。

「マユミ……一体、どうして………………?」

 戸惑った表情でシンジが尋ねるが、マユミは答えない。

 そのまま立ち上がると、シンジの前で帯を解いていく。

 手早く帯を外すと、そのまま着物を脱ぎ捨てて、肌襦袢姿になった。

 それすらもすぐに脱ぎ捨てると、マユミの一糸まとわぬ裸身が姿を現す。

 行燈の光の中、普段は着物に隠された彼女の肢体が露になる。

 豊かな乳房も、絞ったかのように細い腰も、豊かなお尻も、足の間に息づく秘部と、それを隠す濡れ闇色の若草までもがシンジの目に余さず映った。

 裸身を隠そうともせずに、マユミはシンジの目の前に跪くと、今度は彼の着物を脱がせにかかる。

「………………」

 彼女の行いを止めようとするのだが、シンジの頭はどこか麻痺して、言う事を聞いてくれない。

 手慣れた動作で、青年は着物を剥ぎ取られていく。

 すぐに下帯一枚の姿にされたシンジは、いつの間にか敷かれた布団の上に横たえられていた。

「マユミ、一体どうしたんだよ? 」

 あまりにもあまりな彼女の突然の変貌に、シンジは躊躇いがちに声をかけてしまう。

「…………………………間違っていませんよ」

 そんなシンジの顔を、柔らかな乳房で包み込むかのように抱き締めながら、マユミは言った。

「?」

 戸惑いを隠せないシンジだが、温かく柔らかな乳肉に挟み込まれる心地良さに、徐々に安らかな気分になってくる。

「シンジさんは、間違ってなんかいません」

 そう、静かな口調で、きっぱりとシンジの耳元に宣言した。

「本当は、シンジさんなら、その人達を皆殺しにする事も出来たんでしょう? でも、そうはなさらなかったんでしょう?」

 何事か言いかけるシンジの反論を封じるかのように、さっきより強く抱き締めながら、マユミは続ける。

「怒ったのも、あなたが侮辱されたからじゃなくて、私のために怒ったんでしょう?」

 優しく優しく、マユミはシンジの髪を撫でさすっていく。

 まるで赤子をあやすかのような仕草の一つ一つに、シンジは母の胸に抱かれているような温かさを感じながら、心が解きほぐされていくのを感じた。

「シンジさんは、優しいから……。だから、自分が悪くなくても、自分の責任みたいに考えて苦しんでしまうんですね……」

「マユミ……」

「ですから………」

 そう言って、マユミはシンジを胸から解放すると、微笑んだ。

「私が、シンジさんの苦しさを受け止めてあげます」

「シンジさんの、苦しみも嫌な事も、みんな私が受け止めます。だから……」

 マユミは、シンジの下帯に手をかける。

「明日からは、いつものシンジさんに戻って……。もう、そんな風に自分で自分を傷つけたりしないでくださいね」

「マユミ……」

 妻の優しい言葉と、自分への不甲斐なさに、シンジの目に涙が浮かんできた。

 そんな彼に微笑みかけると、マユミはシンジの目元の涙を唇で吸い取って、顔中に口づけを繰り返していく。

 いつになく積極的な彼女の動作に、シンジは戸惑いながらも身を任せ続ける。

 柔らかな彼女の唇が首筋を愛撫し、喉元をくすぐる感触に、思わず声が出そうになるのを、シンジは必死に堪えた。

 優しい唇の愛撫は、胸にまで到達する。

 ほっそりとしているのに、逞しい胸板をマユミの柔らかな唇が這い回り、紅い口づけの跡を幾つもつけていく。

 そのくすぐったさと、微妙な快感を伴った感触に、シンジは何とも言えない顔になった。

 妻の唇が、シンジの小さな乳首を捉え、薄桃色の舌がチロチロと微妙な愛撫を加えていく。

 彼女の舌で、シンジの乳首が固くなっていくのを、マユミは嬉しそうに見つめる。

 思ってもいなかったところへの愛撫と、それに伴う快感に、シンジは思わず体が震えるのを押さえられなかった。

 上半身に丹念に愛撫を繰り返しながら、マユミのたおやかな白い手が下帯を解いていくと、そこから早くも固く屹立したシンジの男根が姿を見せた。

 そろそろと顔を近づけていくと昼間に動き回ったためか、ムッするほどの強い牡の性臭と、汗の匂いが鼻腔を刺激する。

 その強い匂いにマユミはくらくらしそうになるが、同時にうっとりとした表情を浮かべる。

 外気に晒された男根は、マユミの視線を感じてさらに大きくなり始め、天を向くどころか、臍に付かんばかりに雄々しく屹立して見せた。

 優しく撫でさすると、先端の切れ込みから、透明な滴がトロトロと流れ出していく。

 それは、すぐに肉茎の全体を濡らし始め、愛撫するマユミの手までも濡らしていった。

「ふふ………」

 シンジの男根が、微かに震えながら彼女の愛撫で快感を感じているのに気を良くしたマユミは、しっとりと握りしめながら、上下に扱き始める。

 最初は静かに愛撫し始めるが、段々と大胆な手つきで愛撫の手を強め始めた。

 シンジの男根から滲み出てくる透明な粘液は、止めどもなく湧き出てマユミの手も濡らし続ける。

 湧き出てくる滴を男根全体に満遍なく塗りつけるかのように、彼女はねっとりとした手つきで肉茎への愛撫を続けていった。

 ネチャネチャといやらしい音が、部屋中に響いていく。

 濡れた音を立たせながら肉茎を、顔を赤くしながら愛撫していくマユミの姿に、シンジは心臓が張り裂けるかと思うほど興奮を覚えた。

 羞恥のためか、顔を真っ赤にしているのに、瞳には淫らな光を宿して、積極的に自分の肉棒を愛撫してくれるマユミ。

 いつにない姿すら、シンジに快感を与えてくれた。

 シンジの男根を、手で限界まで扱き上げると、マユミは顔を近づけていく。

 強い汗と雄の匂いを発散させている肉茎に、かわいらしい唇がそっと近づいていくのを、シンジは興奮しながら見つめ続けた。

「んふ………」

 シンジの肉茎に、チロリチロリと舌を這わせ始める。

 青臭いほどきつい雄の性臭と、乾いた汗の香り、微かに乾いた尿の混じった臭気を一杯に吸い込んで、香しい香りでもないのに、マユミは興奮を抑え切れない。

 這わせていく舌を、塩気のあるピリッとした汗の味が刺激してきた。

 トロトロと透明な液体を吐き出し続けている、青臭い匂いの源である先端の切れ込みを、触れるか触れないかの微妙な舌使いでチロチロと愛撫していくと、肉棒全体がブルッと震える。

 切れ込みに口を付けて、チュウチュウと音を立てて吸い立てていくマユミの口中が、青臭く塩気のある味の先走りの汁の匂いで満たされていった。

 ひとしきり味わうと、シンジの肉棒の汚れを洗い浄めるかのように、マユミは満遍なく舌を這わせ続け、唾液を塗し付けていく。

 大きく傘を膨らませた亀頭の部分から、その下のくびれた部分、裏筋まで丁寧に舐めしゃぶって奉仕を続けるマユミの献身的な姿は、シンジをさらに興奮させるのに一役買っていた。

 しどけなく、邪魔にならないように髪をかきあげる仕草の一つ一つすら、今のシンジには堪らない。

 まるで、猫が液体を舐めるかのような、ピチャピチャと濡れた音が部屋を埋めていく。

 その間も、空いている手は茎の下の袋の部分を包み込むように撫でさすり、やわやわと愛撫するのを止めようとしない

 唇での愛撫を袋の部分にまで伸ばしたマユミは、片方ずつ口に含むと、口腔内で舌で転がすように愛撫し始めた。

「うわっ」

 袋の皺の一本一本まで伸ばすように舌を這わせていくと、くすぐったいような微妙な快感に、シンジは思わず声を出しそうになる。

「ふん………………」

 子供があめ玉を無心に舐めるような熱心さで、シンジの男根を舐め浄めていたマユミだったが、そのうちに舐めるだけでは飽き足らず、小さな唇を精一杯に開いて夫の肉茎を飲み込む。

「く………っ」

 思わず、シンジは呻いた。

 手と舌で散々に愛撫された上、温かな口中の粘膜に包み込まれる快感に、シンジは必死でお尻を引き締めて絶頂を迎えまいと努力する。

 簡単に絶頂を迎えて、今味わっている快楽を手放したくはない。

 そう思ってしまうほど、自分の肉茎を優しく包み込んでくれる、マユミの温かな口の中の感触は心地良かった。

「んふ……」

 シンジが感じている光景に気を良くしながら、マユミは本格的に肉茎を口に含んでいく。

 むせないように注意しながら、ズズッと一気に喉奥まで深々と呑み込み、キュッと根本を唇で締め付けた。

 そうして、ヂュルヂュルといやらしい音を立てながら、上下に顔を振りたくりはじめる。

 肉棒を温かく濡れた粘膜で包み込まれ、柔らかな唇で愛おしむように扱かれる感触に、シンジは恍惚となりながら、その快感を享受し続けた。

 ジッと自分を見つめるシンジの目から視線を外さないままで、マユミはキュウッと、頬骨が浮かぶほど強く唇をすぼめ、彼の肉棒をしゃぶりたくる。

 シンジの視線の先では、マユミの空いた右手が、彼女自身の足の間の若草に滑り込み、恥知らずな動きを見せていた。

 クチュックチュッと、濡れた音がシンジの耳にも聞こえてくる。

 マユミの秘部から溢れ出た蜜液は、既に太股までをも濡らし始めていた。

 そんな自分の恥知らずな行為にすら、夫が興奮しているのに喜びを感じつつ、口の中ではくびれの部分を舌で巧みにねぶり、先端の切れ込みにも舌でつついていく。

 キュッと亀頭全体を舌で包み込まれるかのようにねぶり回され、先端の切れ込みをこじ開けるかのように軽く舌を突き込まれ、シンジは声を殺せないほどの快感に声を出すのを止められなかった。

 肉棒を舐め回すうちに、彼女の口中から溢れ出た涎が、だらだらと彼の下腹部とマユミの胸元を濡らしていく。

 男根そのものを貪り尽くすようなマユミの愛撫に、シンジは肉茎の根元の袋で生成された白濁が、早くも先端の切れ込みのすぐ下にまで充填されていくのを感じた。

 シンジが早くも一度目の絶頂に達しかけているのに気づいたマユミは、嬉しそうに微笑むと、なおも激しく肉棒を締め付け、口中で無茶苦茶に舌でねぶり立てる。

 いきなり、今までよりも激しい愛撫に晒され、シンジはあっけなく陥落した。

「くうっ……!」

 マユミから身を離す暇すらなく、シンジは妻の口中に、今まで溜め込んでいた白濁を一気にぶちまけてしまう。

 シンジが必死に耐えている事を知っていたマユミは、肉茎が射精しようと一気に膨らみ、切れ込みが微かに口を開ける寸前に、軽く舌で蓋をするかのように押さえた。

 射精されたそのままの勢いだと、喉奥に当たってむせ返る危険があるからだ。

 寸前で蓋をした瞬間、舌に、火傷しそうなほど熱く、箸で摘めそうなほど粘っこい感触の白濁がぶち当たる。

 痛いぐらいの激しさで、ビュクッビュクッと放出され続ける精液が、マユミの舌で勢いを軽減されながら口内に充満していく。

 濃い白濁は匂いもきつく、歯で噛み切れそうなほどの固形状に近くなっている。

 青臭く、粘っこい液体が口内に満ちていく感触に、マユミは快感すら感じながら、喉を鳴らしてシンジの精液を呑み込んだ。

 染み一つない、白く滑らかな喉が膨らみ、精液が嚥下されていくのを、シンジは半ば呆然としながら見つめてしまう。

 何度も体を重ねてきたとは言え、自分の汚い排泄器官を、汚れ一つ知らないようなマユミの唇が口内に迎え入れ、排泄された白濁液を飲み干しすらしている。

 シンジは、心臓が止まるのではないかと思うほどの興奮を抑える事が出来なかった。

「ふ……うあっ!?」

 射精直後の敏感な肉棒が、新たな刺激を受けて、シンジは思わず女の子のような声を出してしまう。

 自身の吐き出した白濁で汚れた肉棒を舌で舐め浄め、マユミはさらに、軽く頬をすぼめて、茎の中に残留していた精液まで吸い出していく。

 口中に出された精液を一滴残らず飲み干し、切れ込みからトロトロと滲み出てくる残り汁まで、彼女は嬉しそうに舐め取っていく。

 射精して小さくなりかける肉棒を、口中で愛おしむかのように丹念に愛撫される快感に、シンジの男根が先程の雄々しさを取り戻すまでに時間はかからなかった。

 マユミが、シンジの肉棒を綺麗に舐め終わる頃には、既に先程の雄々しさが完全に戻っていた。

 臍に付かんばかりに雄々しい姿を見せている肉茎からマユミが唇を離すと、白濁が混じったためか、粘り気を含んだ唾液の透明な糸が、何本も名残惜しげに糸を引く。

 愛おしむかのように、何度か肉茎にチュッチュッと口付けすると、マユミは身を起こした。

「ふふ……。まだ元気みたいですね? 今度は、こちらのお口でシンジさんを慰めてあげますから」

 そう言って、はしたなくもシンジの上に跨る。

 喉がカラカラに乾くのを覚えながら、シンジは瞬き一つせずに、マユミの動きを見守る。

 シンジの腰に跨ったマユミが、人差し指と中指で、秘部を開いた。

 粘液が糸を引く音と共に、割れ目に隠されていたマユミの秘部が姿をシンジに見せる。

 興奮で軽く充血した薄桃色の花弁が、とろとろの蜜をたたえながら口を開いている光景を瞬き一つせず見られている事に、マユミは恥ずかしいと思いつつも、夫を喜ばせている事に嬉しさを感じた。

 軽く腰を落としていくと、粘っこい音を立てて、マユミの花弁が下で待ちかまえているシンジの男根の先端を、軽く咥え込む。

 熱い肉塊が花弁に食い込む感触を楽しみながら、マユミはシンジが反応する前に、息を吸い込むと、一気に腰を落とした。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!?????」

 音が立つほど激しい落とし方で、マユミの秘部は一気に抉り抜かれ、子宮口にまで容易くシンジの肉棒を迎え入れてしまう。

 その一突きで、マユミは軽く絶頂を迎えかけるが、必死でそれに耐え抜くと、そろそろと体を持ち上げて上下に動き始めた。

 最初は緩やかだったのが、徐々に激しく豊かな尻を振りたくり、マユミは夫の肉棒を夢中になって貪っていく。

 彼女の方で動いてくれるので、シンジは楽に快楽を享受し続けた。

 目を結合部分に向けてみると、マユミの分泌した蜜液で濡れた肉茎が、彼女の体内に食べられるかのように呑み込まれていくのが見える。

 いわゆる、四十八手の一つで『時雨茶臼』と呼ばれる体位であった。

 湯気を立てそうなほどの、熱く濡れそぼった秘部に肉棒を包み込まれ、激しく上下に擦られていく快感に、シンジは声もなく腰を突き上げ始める。

「ふあっ!?」

 突然のシンジの反撃で、マユミは敏感な部分を抉られ、かわいらしい声をあげた。

 快感を倍増させるために、シンジと腰の動きを合わせ始めたマユミは、単調な動きだけでなく、前後の運動や捻りなども加えていく。

 白くすべすべしたお尻が丸くくねる度に、シンジの肉棒を強く刺激していく。

 固く勃起した男根と、濡れそぼった秘部が擦れ合う快感は、お互いに素晴らしいものだった。

 夢中で腰を突き上げながら、シンジは目の前で揺れしなるマユミの、巨大なまでに豊かな乳房を両手で掴む。

 柔らかな白い乳肉は、手の平に収まり切らないほどの巨大さだったが、それでも掴み取ろうとするかのように、シンジは指を食い込ませていった。

「んぅっ!」

 痛いぐらいの強さで乳房を捕まれて、マユミは少し痛そうな声を出すが、すぐにとろけそうな表情へと変わった。

 興奮しきったマユミの脳内は、多少の痛みでも、それが最愛の夫から与えられる物であれば、快感へと変えてしまうほど爛れきっているのである。

 それが分かっているのか、シンジの方も、子供が粘土をこねて遊ぶかのように、指が食い込むほど柔らかなのに、すぐに指を追い出そうとほどの弾力に満ちた乳房を存分に弄んだ。

 そうする事によって、マユミのすすり泣くような声が、徐々に甲高い透明感を帯びていく。

「ひぃぃっ!」

 揉みしだかれて赤みを帯びてきた乳房の先端の、固く隆起した乳首を、シンジの両手が強めに摘み、いじくり回すと、たまらずマユミは悲鳴を上げた。

 その瞬間、ギュッと濡れた膣肉が、シンジの肉棒を一際強く食い締め、痺れるかのような快楽をもたらしてくる。

「……ま…マユミ……僕、もう……」

 さっき出したばかりだというのに、急激に締め付けられて、シンジは情けない声を出した。

「ふぁ……。いいんですよ。あなたが出したい時に、好きなだけ出してくれれば……。私も、気持ちいいから……。好きなだけ、私の中に出してください………っ!」

 顔を真っ赤にして、耐えているシンジの表情を可愛いと思いながら、マユミは慈母のように優しい声で言う。

 その間も、腰の方は淫らな動きを止めようとはしない。

 先程からのシンジへの奉仕の間、自慰をしていたのもあり、マユミの方も最初の本格的な絶頂を迎えかけていた。

 出来るなら、夫と共に絶頂を迎えたいマユミは、淫乱そのものの激しさで、腰を振り立てていく。

 お尻に力を込めながら、急激に高まっていく快感が、頂点に達しようとしたその瞬間に、シンジの肉棒の先端が膨らみ始めたのを、マユミは膣肉に感じた。

「…マユミ……っ!?」

「くっ!? ふあああああぁぁぁ!」

 絶頂の瞬間、シンジはマユミの腰を掴んで、一気に打ち付ける。

 深々と子宮口に肉棒が食い込んだ瞬間、耐えに耐えていた射精を、シンジは解放した。

 深々と膣肉を抉り抜いたままの姿で、シンジは溜め込んでいた精液を射精する。


 ドクンッ!


 そんな音が聞こえてきそうなほど、激しい勢いで肉茎の先端から二度目の射精が、マユミの子宮目がけて始まった。

「ああ………熱い……熱いの………」

 逃げられないように腰を両手で押さえつけられ、マユミはそのままの姿で、子宮に煮えたぎった精液を注ぎ込まれて身悶える。

 二度目の射精とは思えないほどのたっぷりとした量の熱い白濁が、時間をかけて子宮を灼く感触に、マユミはすすり泣きすら漏らすほどの快感を味わった。

「ああ………」

 腰を上下に動かせないため、ゆるゆると結合部分を擦るかのように体を揺らして、まだ吐き出され続ける粘液の熱さを堪能し続ける。

 ようやく射精が終わり、マユミはそれを確認し終えるとシンジの胸板に倒れ込もうとするが、それは叶わなかった。

 身を起こしたシンジが、マユミと向かい合うようにしながら、再び腰を突き上げたのである。

「くあっ!?」

 突然の衝撃に、マユミは叫び声を上げた。

「ああ……嘘でしょう? 今、出したばかりなのに………」

 マユミが驚くのも無理はない。

 今、二度目の射精を終えたばかりだと言うのに、シンジの肉棒は未だ勃起したばかりのように、隆々と固いままだったのである。

 絶頂を迎えたばかりで、敏感になっている膣肉を抉られる刺激の強さに、マユミは先程までの媚態も忘れてよがり鳴き始めた。

 四十八手の『座り茶臼』と呼ばれる体位のままで、シンジはマユミの秘部を抉り抜いていく。

「ああ! ああっ!」

 最も快楽を感じる部分を貫かれながら、マユミはよがり抜いた。

 真夏の暑さに晒された犬のように、ハアハアと息の荒い彼女の唇を、シンジは半ば強引に奪う。

 舌を差し入れると、マユミも積極的に応えてきた。

 既に、お互いに汚いという常識観念など、心の片隅からすら消えてしまっている。

 たっぷりと舌を絡め合い、喉の渇きを癒すかのように、お互いの唾液を喉を鳴らして飲み干した。

「ああ、シンジさん……そんなに激しくしないで……堪忍してぇ…っ!」

 激しく突き上げられ、一擦り毎に絶頂を迎えるかのような激しい快感に泣き狂いながら、マユミはシンジに懇願する。

 そんな彼女の表情に、軽く微笑みながらシンジは動きを止めて、マユミを抱き締めた。

「シンジさん?」

 荒い息を吐きつつも、マユミは突然、動きが止まった事に訝しげな声を出す。

「大丈夫だよ」

 耳元で、シンジは囁いた。

「約束するよ、マユミ。明日までには……ううん……もう少ししたら、僕は……いつもの僕に戻るから」

 そう、酷く優しい口調で言う。

「シンジさん………」

 マユミは嬉しそうにシンジの顔を覗き込むが、そこには何故だか悪戯っぽい表情が浮かんでいた。

「マユミが、あそこまで恥ずかしいのを我慢してくれたんだから、僕も頑張らないとね」

 そんな事を言われて、マユミは、今まで以上に顔を赤らめてしまった。

 そして、ばれてました?とでも言いたげに、恥ずかしそうにシンジの顔を覗き込む。

 慈母のような優しさと共に、娼婦のような積極さでシンジを愛してくれたマユミだったが、そこは武術の達人のシンジである。

 彼女の鼓動が、興奮していると言うには早過ぎるほど、緊張していたのを感じ取っていたのだった。

 下手をすれば歯の根が合わないほど、緊張していたのだろう。

 恥ずかしがり屋で、未だに積極的に愛を交わす事に慣れていないマユミである。

 最初から、ここまで積極的な行動をとるのは、さぞかし勇気のいった事だろう。

 それでもシンジを慰めたい一心で、献身的に愛してくれたマユミが、愛しくてならなかった。

「だから…」

 そう言って、シンジは少しだけ悪ぶった笑みになる。

「はい?」

「元に戻れるまで、もう少し頑張ろうね?」

 言った瞬間、繋がったままの腰の動きが再開された。

「あぁ! く……ふああ!」

 返事をする暇すらなく、マユミは再び快楽で脳髄を灼かれていく。

 シンジがマユミの白いお尻を、ギュッと両手で引き寄せるようにしていくと、背を反らせるようによがり狂っていたマユミは、後ろに両手をついて姿勢を安定させた。

 これも四十八手の一つで、『向こう突き』と呼ばれる体位。

 食い込んだ指からはみ出るほど柔らかく、弾力に満ちたお尻の感触を存分に堪能しながら、シンジはなおもマユミの秘部を抉り抜いていく。

 両手でしっかりと踏ん張りながら、夫の攻めを堪能するマユミは、天井を向いて甲高い叫び声を上げ続けた。

 背を反らせているため、ちょうど目の前で、ぶるんぶるんと揺れまくる乳房に顔を埋め、存分に舐めしゃぶりはじめる。

 汗の塩味がピリリと舌に染みるが、それが逆に興奮を強めた。

 舌でも食い込むほど柔らかいマユミの乳房を、シンジは存分に舐めしゃぶり、甘噛みしては歯形をつけ、強く吸引して口づけの跡を付けていく。

 薄桃色の固く隆起した乳首に吸い付かれ、舌を這わせられ、優しく歯で挟まれた上に唇で扱き抜かれるという嬲りように、マユミはすすり泣いて、夫が与えてくれる快楽を貪り続けた。

 乳房への嬲りを続けながら、力強い動作で突き込みまくられるうちに、とうとうマユミは踏ん張っていた手に力が入らなくなってくる。

 それに気づいたシンジは、彼女を抱き締めて姿勢を安定させると、繋がったままの体勢で布団の上に横たえた。

「はあ………」

 布団の上に横たえられたマユミが、軽く声を漏らす。

 いわゆる正常位。

 四十八手でも一番基本的な形とされている、『本間どり』である。

 しどけなく横たわりながら、夫に期待するかのように視線を向けてくる妻の姿に、否応なく興奮したシンジはマユミの上に覆い被さると、猛烈なまでの動きを再開した。

「くぅ…っ! ふ…あぁ……ああ…あああああ!?」

 散々なまでに嬲られ続けたマユミは、最早、意味のある言葉を喋ることは出来ない。

 意味不明の叫び声を上げながら、ひたすら泣き狂い、膣肉を抉り抜いてくれる夫の肉棒の味を堪能し続ける。

 力強い動作で突き込まれてくるのに合わせて、淫猥に尻を突き上げ、さらなる快感を貪り続けた。

 激しく突き込みながら、シンジが結合部に手をやる。

「ひぃっ!!」

 鞘からすっかり露出した肉の真珠を摘み、指で軽く潰すかのように刺激していくと、マユミはあまりの刺激に背を反らせ、激しく顔を左右に振りながらよがり泣いた。

「ああ……シンジさん……私、もう…もう……っ!」

 口から流れ出る涎にすら気づかないほど激しく喘ぎながら、マユミは絶頂が近づいてくるのを感じてシンジを見上げる。

「うん……僕もそろそろ出そう……」

 そんな妻の口元から溢れ出る唾液を残らず舐め取りながら、シンジも三度目の射精に向けて、最後戸ばかりに激しく腰を打ち付けていく。

「…ああん………くぅ!?…………………あ…あ、あ…………」 

 下からお尻を突き上げ、離れないようにシンジの背中に両手を回してしっかりと抱きしめながら、マユミは急速に、最後の絶頂への階段を掛け昇っていった。

「ああ、シンジさん………私、わたし、いっちゃうのぉ………!?」

「僕も!」

 先端の切れ込みのすぐ下にまで精液が、待ち切れないかのように貯まり込んでいく感触に、シンジはたまらず、一際激しく肉棒で膣肉を抉り、子宮口にまで突き込んでいく。

 それが、二人の絶頂への最後の呼び水となった。

「んん……!!!……………ふあ………ああぁ! いく…イク……イクぅぅぅぅぅっ!?」

「マユミっ!」

 マユミが、一足早く子宮まで抉り抜かれて絶頂に到達した瞬間、シンジも限界から自分を解放した。

 子宮口まで到達した亀頭が一瞬、膨らみ、先端の切れ込みが開いて、一気に白濁が放出される。

 ドクッ!ドクッ!と、先端近くにまで来ていた精液を、一気に吐き出していく。

 三度目だと言うのが信じられないほど、呆れた量の精液が、マユミの子宮に直接射精されていった。

「くああ………」

 再び、熱い精液で子宮を灼かれる快感に、マユミは悶え泣く。

 妻の体をギュッと抱きしめながら、シンジは、なおも残った精液をマユミの子宮に注ぎ続けた。

 お互い、ガクッガクッと震えながら、射精と、子宮に精液を受け入れていく快感に酔いしれる。

 結合部からは、子宮に入りきらなかった精液が、コポコポと音を立てながら漏れ出して布団を汚していった。

 呆れるほど長い射精がようやく終わり、妻の子宮と膣を白濁で満たし終えると、シンジはホッと一息ついて、マユミの体に体重を預けていく。

 絶頂感の後で力が入らないものの、マユミは力尽きたシンジを、優しく抱き締めてくれた。

 お互いの耳を打つ、荒い息遣いすら心地良い。

 互いへの愛しさと、体と心までもが溶け合うような快感に、二人は暫しの間、固く抱き合ったままで余韻を楽しんだ。





 暫くの間、シンジとマユミは布団の上で、お互いの身を寄せ合いながら静かに横たわっていた。

 行燈の薄明かりと、月の柔らかな光が窓から差し込んで、二人の裸身を照らし出している。

「今日は、皆さん出立して、静かになってしまいました……」

 シンジのほっそりとしつつも、逞しい胸板に心地良さげに顔を寄せながら、マユミは口を開いた。

「皆さん、優しい、善い方ばかりでした……。自分の暮らしでさえ満足でないのに、哀しいぐらいに思いやりの深い、温かな人達でしたね」

「貧しい者は、お互いが頼りだからね」

 汗に濡れた体に、窓から差し込む風が心地良い。

 妻の豊かな黒髪を優しく撫でさするシンジの目は、もう、いつもの優しい表情に戻っている。

「自分の欲を張っては、生きにくいからかもしれないね」

 そう言って、妻の、まだ少し汗に濡れた体を撫でながら、シンジの脳裏には数日前の宴の賑やかな様子が浮かび上がっていた。

 秋田踊りを踊っている女房。

 楽しそうに笑いながら、陽気な曲を三味線で弾きながら歌い踊っていた旅芸人達。

 宿の亭主まで加わって、客達は手拍子を打っていたものだ。

 あの、最初は刺々しかったミサトまでもが、穏やかな表情で酒を飲んでいた。

 説教師の爺さんも、ミサトへの怒りも何処吹く風で、満面の笑顔。

 どれもこれも、シンジの脳裏はいい顔で埋め尽くされる。

 シンジが、宴の時の事を回想しているのだろうと思ったマユミは、そっと夫の胸に顔を寄せた。

 そのまま、温かな体温と確かな鼓動を感じる心地良さに目を細めながら、言葉を続ける。

「説教師のお爺さん……あんな嬉しかった事は、生まれて初めてだった。世の中はいいものだという事を、この年になって初めて知りましたって……。そして、若くはないけれど、どんなに嫌な思いをしても、生きている事は素晴らしいって、仰ったんです。私……胸が詰まってしまいました……」

「よそう。僕には、そう言うマユミの方が……」

 何事か続けようとするが、シンジは途中で止めた。

 今、思い出すと、せっかくのマユミの気遣いを無駄にしそうな気がしたのだ。

「でもね」

 そう、無理なほど明るい表情を浮かべる。

「それも、もう終わりだと思うんだ。………多分」

 最後が、少し自信無さげである。

「………」

 シンジの胸に顔を寄せたマユミは、ジッとすぐ上にある夫の顔を見つめる。

「実は、今日の御前試合そのものは、全部勝ってるから……。ただ、まあ…度が過ぎた所もあったけど。ほぼ、内定したんじゃないかな?」

「そう言って、前にも一度ありませんでした?」

「いや、今度の殿様は、他のとは桁違いだから」

 マユミの鋭い指摘に苦笑しながらも、シンジはトウジへの信頼を口にした。

「絶対とは言わないけど、殿は信頼出来ると思うんだ」

「シンジさんがそう言うなら、私も信じます」

 二人ともきっぱりとした口調で言うが、次の瞬間、互いのお腹が音を立てて鳴った。

 顔を見合わせて、二人は笑いつつも赤面してしまう。

「そう言えば、何も口にしていませんでしたね。これから、お食事になさいますか?」

 何も食べないで、あれだけの激しい運動をすれば、腹が鳴るのも当然だろう。

「そうだね。うん、食事にしようか」

 言われて、改めてシンジは空腹に気づいた。

 城の方でも、トウジを池にはめ込んでしまったため、それが気になって、振る舞われた食事が喉をろくに通らなかったのである。

「では、すぐにご用意しますから」

 そう言って、マユミは身を起こすと、手早く着物を身につけていく。

 戸を開けて外に出て行ったマユミの背中を見送るシンジは、何とか彼女を安心させてやりたいと言う気持ちで一杯だった。

 それと、宿の客がほとんどいなくなっているので、彼女がからかわれずに済みそうで幸いだったな、と馬鹿な事もついでに考えてしまった。  





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