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雨あがる
改訂版
by.六面球
その二
シンジが部屋に戻ってから暫くの時が過ぎても、宴の賑やかさは変わらない。
板の間にいる者達の顔には、これ以上は無いほどの嬉しそうな表情で満ちている。
久方ぶりに味わう、美味い酒や料理を楽しみ、旅芸人達の歌や踊りを堪能しているのだから当然と言えるだろう。
隅の方では、ミサトもちびりちびりと酒を口にしている。
相変わらず不機嫌そうな顔だが、その口元が綻んでいるのは、気のせいだろうか。
子供達も、お腹が膨れたというのに、大人しくしていない。
満腹になって眠くなるどころか、ますます元気を出して、飛び上がるようにはしゃぎ回っている。
シンジとマユミは、そんな騒ぎから距離を置くかのように、部屋から出ようとはしなかった。
だが、それを咎めるような無粋な奴は一人もいない。
板の間の連中も、夫婦が水入らずでいられるように気を利かせたのだろう。
わざわざ部屋にまで行って、声をかけようとするような不心得者は存在していなかった。
おかげで二人は、外の喧噪から外れ、別世界のように穏やかな時間を過ごす事が出来ていた。
先ほどまで怒っていたマユミも、今ではすっかり機嫌を良くしている。
賑やかな喧騒より、二人で静かな時間を過ごせる方が彼女には嬉しかったのだ。
いつもは騒がしい宿なため、久方ぶりにシンジと静かに過ごせる時間は、マユミの心を楽しくするのに十分な働きをしていた。
ほどよく時間が経つと、酒が少々入っているためか、夫婦揃って頬が少し赤い。
酒精が原因ではあるが、それだけではない。
先ほどの食事も、大いに関係している。
シンジの謝罪を受け、許す事にしたマユミだったが、そのために一つの条件を出したのである。
お互いに料理を食べさせ合うのをしてくれれば、許すと言ったのだ。
言われた途端、シンジは女の手を握った事もないような子供のごとく、真っ赤になってしまったのは言うまでもない。
良い年して、夫婦にまでなっていると言うのに、純情な男である。
だが、駄目ですか?と上目遣いに尋ねられ、慌てて否定したのは言うまでもなく、シンジは妻の求めに応じてしまっていた。
ここいら辺、子供と違って不純な大人である。
行動に移る躊躇いが少ない。
誰も呼びには来なかったが、幸いと言うべきだろう。
若い男女が向かい合い、互いの頬を赤くしている姿は、それだけで胸がむかつくものがある。
その上、「はい、あ〜ん」などと言いながら、互いの口に料理を運び合っているのだ。
下手に見たら、体中がむず痒くなって転がりまくるか、泣きながら外へ走り出したい気分になっていた事だろう。
救いのある事と言えば、物事には必ず終わりがあるため、そんな時間も終了の時間が来ると言う事である。
端から見れば非常に気恥ずかしい時間が過ぎ去り、二人は微妙な時間を迎えていた。
「ねえ……」
酒が入って少し大胆な気分になったのか、シンジの胸元にそっとしなだれかかったマユミは、しどけなく口を開いた。
普段が慎み深いためか、こう言う顔をすると非常に色っぽい。
「本当に、もう賭け試合はなさらないと、約束してくださいね」
「うん」
素直な口調で、シンジは答える。
先ほどの一件で少しは懲りたのだろうか。
口調自体は素直な物だったが、初対面の人間ならいざ知らず。
何度約束しても、人の為についつい破ってしまう夫の過去をしっかり覚えているマユミは、その言葉を全く信じていない。
自然、疑わしそうな視線を向けてしまう。
「本当ですか?」
「本当だよ」
「本当に本当ですか?」
「本当に本当だったら」
しつこく言われて、さすがのシンジも語気を強めるのだが、聞こえないほどの小さな声なのが何とも情けない。
だが、何度言っても聞いてくれない、お人好しの過ぎる夫に対して、妻は慣れたものである。
「そう言って、約束を破って来たのは、これで何度目なんでしょうか……?」
「……………………ごめんなさい」
身に覚えがあり過ぎ、素直に謝る事しか出来ないシンジであったが、彼女の追及は止まらない。
「…………………もう、冗談じゃなくて」
そう言って、マユミはコツンと小さな音を立てながらシンジと顔を突き合わせる。
上目遣いで向ける瞳は、先ほどより微かに潤んでいた。
「本当に、心配なんです。あなたが人のために必死になれる人なのは、分かります。でも、そのためにシンジさんの身が危険に晒されるかと思うと……私………」
それ以上は言葉にならないのだろう。
う〜〜、と子犬が唸るような声でシンジを睨む。
端から見ると、怖いと言うより可愛らしい睨み方だが、見上げたり睨んだり、何とも忙しい話である。
だが、本人にはそんな事は分からない。
分かっているのは、ここでさらに駄目押ししなければ、夫は生活態度を改めないだろうと言う事だけだ。
「分かりましたか!?」
あうあうと、妻の潤んだ瞳に見つめられてパニックになりかけているシンジに念を押すように、いつもの小さな声より、ほんの少しだけ強い口調で繰り返す。
途端、シンジは慌てて首を上下に振った。
母親に叱られて、慌てて謝っている子供の顔が、こんな感じである。
「約束ですよ」
見ていて非常に情けない顔ではあるが、マユミは満足したらしい。
一応、追求の矛を引っ込めてくれる。
ふふ……と、表情を笑みに変える妻を見て、シンジは安心したような表情になるが、次第に別の事が気になり始める。
しなだれかかっている彼女の髪から、優しく甘い香りがシンジの鼻腔を刺激してくる。
胸元からは、着物越しでも分かる妻の肢体の柔らかさが、シンジの理性の下の方にある部分を突つき回しに来ていた。
ごくり、とシンジは唾を飲み込む。
声が丸聞こえの木賃宿に泊まっていたため、ここ数日は、とんと夜の生活がご無沙汰だったのだ。
若く、仲の良い夫婦である。
当然、夜の方も盛んだったりするから、ここ数日はお互いに欲求不満が溜まる日々でもあった。
武士は食わねど高楊枝などと言うが、溜まるものは溜まるのである。
『………………まずい………………膨張しそう………』
意思とは裏腹に、下半身の方に血液が溜まっていくのを、シンジは嫌と言うほど感じ取った。
マユミの方も、シンジの様子がおかしいのに気づいたのだろう。
一瞬、まじまじと彼の顔を見つめるが、その理由に思い至って顔を赤らめてしまう。
パッと身体を離し、真っ赤な顔のままで俯くが、おかしな話だ。
不義密通でも何でもなく、シンジとはれっきとした夫婦になっているマユミである。
当然、生娘な訳ではないし、男性との秘め事についても少なからず経験を積んでいた。
なのに、夫婦になって幾年か過ぎた現在でも、未だに恥じらいを捨て切れない所があるのだ。
庶民と違い、武家の娘は割合と貞操感が強かったとは言われている時代であるものの、マユミの奥手ぶりは相当な物である。
もっとも、シンジはシンジで純情な所があるため、お似合いと言えばお似合いなのであるが。
そんな二人は顔を赤くしたまま、しばし黙り込んでしまう。
「「あ…あの…」」
沈黙に耐えられなかったのは、二人とも同じだったようだ。
『逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ』
何から逃げるのかは不明だが、シンジは口癖とも言えるような言葉を心の中で念じながら、マユミに向かって口を開いた。
「あの………僕たち…夫婦だよね?」
今更な事を言う。
「は、はい」
夫が何を言いたいのかよく分からないが、取り敢えずマユミは同意した。
こういう時に気の利いた文句を言えないのがシンジらしい一面であるが、夫婦の営みを潤滑良くするには、なかなか難儀である。
「僕たち…夫婦がする事を…その……最近……して…ないよ…ね? だから…その……あの……」
「あ…あの……やっぱり…その……男の人って……何日もしないと………つらいんですよね? 本で読んだんですけど………」
対するマユミの方も、どっこいどっこいである。
何気に、凄い事を口にしているのだが、てんで気付いていない。
どんな本を読んだのか、普通なら非常に気になるところだが、生憎とマユミの夫はそこに思い至らなかった。
「う……うん」
妻の爆弾発言に気付かず、恥ずかしそうな顔でシンジは頷く。
「………そ…外の方は、大丈夫ですよね?」
マユミに言われるまでもない。
外の様子は、先ほどから確認済みである。
誰も彼もが宴を楽しみ、もう一刻(二時間)は騒いでいるだろう。
少しぐらいの声や音程度では、騒がしい音や声に紛れて聞こえないはずだ。
「………………………」
これ以上の言葉のやり取りは、堂々巡りにしかならないと思い至ったシンジは、無言で立ち上がる。
マユミが何か言う前に、手近にあったつっかい棒を板戸にはめ込んだ。
進入する者無し、の合図である。
そのまま無言で、部屋の端に畳んであった薄い敷き布団も、敷く。
状況的には、準備万端と言えた。
「えっと………その………いいよね?」
ついでに言えば、シンジの理性も今し方、全面撤退を遂げてしまっている。
真面目な奴であるほど、理性が飛んだ時の反動は強いようで、口調は先ほどまでと変わらないが、眼の色が既に違っていた。
「は…………はい」
近づいてきたシンジに抱き寄せられて、マユミは腕の中で赤くなりながら、コクッと小さく頷いた。
どうやらこちらも、覚悟完了したらしい。
「で…でも…」
「?」
「外に聞こえちゃいますから………………優しくしてくださいね」
恥ずかしそうに呟くマユミに、シンジはそっと唇を重ねて答えた。
紅をしていない、ほのかな薄桃色の唇に、何度も啄むように口づけを繰り返していく。
シンジの舌が、優しく彼女の唇を撫でるように愛撫していくと、恐る恐ると言う感じで、マユミの舌も姿を見せる。
二人の舌は少しの間、優しく睦み合うと、段々と音を立てて激しく絡み合いだした。
まるで蝶の夫婦が戯れるかのように舌を絡ませあい、お互いの唾液を味わう。
マユミの顔中に口づけを繰り返していくと、唇による優しい愛撫に緊張が解れ始めていた彼女は、気持ち良さそうにそれを受け入れ始めた。
その間に、シンジの手は彼女の着物の胸元に滑り込んでいる。
しっとりとした肌の滑らかさと、豊かな胸乳の柔らかで張りを持った弾力が、手のひらに心地良い感触を伝えてくれる。
「……………………ん………」
愛撫されていくたびに、マユミは久々に味わう快感に、小さく声を出し始める。
着物越しに愛撫するのが面倒になったシンジは、妻を布団に寝かせて彼女の帯を解き、着物を脱がせていく。
純白の肌襦袢姿にすると、扱帯も解いて前を開いた。
すると、押さえ込まれていたかのように、形の良い豊かな胸乳がぶるんと、微かに揺れながら姿を見せる。
苦労の連続で痩せているのに、彼女の肢体は豊満の一言だった。
腹部が握りしめたかのようにキュッと細いのに対し、胸乳とお尻は急激な曲線を描くように、豊かな盛り上がり方である。
そのため、腹部の細さから、余計に上下の豊かさが目立つようになっていた。
夫婦となって以来、シンジに愛情と精をたっぷりと注ぎ込まれてきたためか、優しく丸みを帯びた肌はしっとりとした潤いを見せている。
そんな、抜けるように白い肌をした豊かな胸を、シンジは両手で揉み上げていく。
得も言われぬ柔らかさを持つ乳肉は、シンジの手の動きに合わせて形を変えるが、抜群の弾力を持つために、少しでも動きを止めると元の形に戻ろうとするかのように、手の中で動く。
「………ああ………」
声を出すまいとしても、マユミの唇からは、耐えきれないように声が漏れ出てくる。
子供が、欲しくてたまらなかったおもちゃを与えられたかのように、シンジは熱心に妻の乳房を愛撫し、桜色の蕾も優しく撫でさすっていく。
肌が色白なため、余計に目立つ桜色の蕾を指でさすり、時々指で摘むと、その度にマユミの肢体にビクッビクッと震えが走っていった。
最初は柔らかく、乳肉の中に埋もれていた乳頭は、撫でさすられると、すぐに硬く尖っていく。
マユミの顎を愛撫していたシンジの唇は、そのまま彼女の首筋をくすぐると、胸元にまで到達した。
彼女の胸元に顔を埋めると、微かに汗の混じった甘い匂いが鼻腔を満たす。
木賃宿なので風呂は無いが、武士の妻らしく毎日、丁寧に湯で身体を拭いていたのだろう。
マユミの肌は、清潔感のある柔らかな香りを漂わせていた。
豊かな乳肉に唇を寄せ、舌を這わせていくと、汗の微かなピリッとする味わいと共に伝わる柔らかな弾力が、得も言われぬほど心地良い。
舌で突き込むだけで、柔らかな肉は自在に形を変えて、シンジの舌を楽しませてくれる。
舌をはじき返そうとするプルプルとした弾力までもが、舌先に快感を与えてくる。
白い膨らみの部分を味わうと、シンジは桜色の蕾に舌を這わせ始めた。
蕾の周りの乳輪のポツポツとした感触を楽しんだ後に、すっかり硬く尖っている蕾を口に含むと、マユミは「ふあっ!?」と、小さく悲鳴をあげる。
「…あふ……………………………」
チロチロと舌を這わせながら、時々唇で挟み込んだり、強く吸ったりしてみると、声を出すまいと耐えているマユミは快感に震えながら、それに耐えようとするかのようにシンジの頭をギュッと抱き締めた。
一頻り、乳房を愛撫すると、シンジは唇を右の脇へと滑らせていく。
同時に、右手が悶えている彼女の下肢を割り、太股を撫でさすりながら付け根へと辿り始める。
シンジの指先に、熱く潤った感触が伝わってきた。
甘い汗の匂いのする、腋下の毛並みの薄い窪みに舌を這わせながら、下肢を割ったシンジの指先は、精緻な動きを続けてマユミに快感を与え続ける。
ピクッピクッと身体を震わせる妻の下裳まで剥ぎ取り、完全に全裸にしたシンジは、下肢に両手を当てて、大きく脚を開かせようとする。
「嫌ァ………」
恥ずかしさの余り、マユミは目に涙を浮かべるが、それ以上に快感が大きいためか、抗おうともせずに容易く脚を広げられてしまう。
行燈の光の中で、剥き出しになった秘部に夫の熱い視線が注がれている。
そう考えただけでマユミの身体は、カアッと熱くなり、秘部の奥から熱いものが湧き出ていくのを感じた。
そんな彼女の状態を見て取りながら、シンジはマユミの身体を抱き起こすと、耳元で何事か囁く。
「……そんな…事…………」
言われて、あまりの恥ずかしさに涙を浮かべながら、彼女はシンジを軽く睨む。
僅かに逡巡していたものの、愛撫を途切れさせて欲しくないマユミは、覚悟を決めたように目を伏せてシンジの言葉に従った。
軽く後ろに反らせた上体を、後ろについた両手で支えながら、シンジの方に腰を突き出すようにして両脚を開いていく。
女性の最も恥ずかしい部分を、自分から夫の視線に晒していくという、あまりの恥ずかしさにマユミの閉じられた目から、一筋の涙が伝い落ちた。
羞恥に震えながらも、彼の言葉通りにしてくれる彼女が愛らしくて、シンジは手早く衣服を脱ぎ終えて下帯一枚の姿になると、彼女の脚の間に顔を埋めていった。
マユミの急所を知り尽くしているシンジは、唇と舌を彼女の太股に這わせ、快感を与えていく。
うっすらと脂がのった滑らかな脚に舌を這わせ、時々歯を立てたり、強く吸引して唇の跡をつけたりもするが、決して秘部には近づけようとしない。
濡れ闇色の、湿った若草の下にある亀裂の上端に位置している、肉の粒にも触れようとはせず、息を吹きかけたりして彼女の反応を楽しむだけだ。
蛇の生殺しのように焦らされ続け、マユミが何かを訴えるかのようにシンジを見つめるが、彼の方は悪戯っぽい視線を向け返してくる。
「………もっと、して欲しい?」
そんな事を言われて、次に何を言われるか分かりつつも、マユミは目を伏せながらコクリと頷く。
「ちゃんと言葉に出して言わないと、してあげないよ?」
太股の付け根付近の、秘部に最も近い場所に舌を這わせながら、とぼけたような口調で言う。
案の定な反応だった。
これから自分が口にしなければならない言葉に、内心で恥らいつつ、マユミは口を開いていく。
「…………………………………してください………」
「もっと大きな声で言わないと、聞こえないよ?」
聞こえているのだが、彼女の口からねだらせたいシンジは、聞こえない振りをする。
完全に楽しんでいる口調だ。
「……………してください」
さっきより、少しは大きな声をマユミは口にするが、シンジはとぼけたままである。
「ふ〜〜ん。いいけどさ、でも、どこをどうしてほしいの?」
悪人の典型的な言い方である。
「そ…そんな……事…」
さすがに、名称を口にするのは恥ずかしすぎるのか、マユミはキュッと口をつぐむと、目を伏せたまま黙り込んでしまう。
あまり意地悪をしていても、自分が我慢できそうに無い事を知っているシンジは、そんな彼女の様子を見ながら助け船を出す事にした。
「してほしい所って言うのは……×××?」
ズバリな事を言われて、マユミの顔に、さらに朱が昇った。
口に出さずに、彼女は小さく頷く。
「×××を可愛がってくださいって言えたら、してあげるよ?」
そんな事を言いつつ、音を立てながらシンジは、彼女の脚を焦らすかのように愛撫していく。
「…………………………」
焦らされ続け、どんどん追い込まれていくマユミの口が、何事かを呟く。
「もう少し、大きな声で」
そう言われ、マユミは昼間なら、口にするどころか耳にしただけで真っ赤な顔で卒倒するような言葉を、遂に口にした。
シンジの顔を、柔らかなのに程良く締まった太股で締め付けながら卑猥な言葉を口走り、愛撫を求めるかのようにお尻を揺する。
そんなマユミの様子に薄く笑みを浮かべて、シンジは彼女の両脚に手をかけて大きく広げさせると、彼女が待ち望んでいた場所に顔を近づけた。
濡れ闇色の、濃い目の若草までしっとりと湿らせたそこは、ふっくらと盛り上がっている。
薄っすらと口を開いた亀裂からは、ほのかに赤みを帯びた桜色の二枚の花弁が性的興奮のために軽く充血して、恥ずかしそうに姿を見せていた。
何度も身体を重ねてきたというのに、醜いねじれ一つ見あたらない花弁は、赤ん坊の耳たぶを思わせるかのような美しさだ。
花弁から覗く花園は、既に溢れるほどの透明な蜜液を分泌し、シンジの愛撫を待ち侘びている。
ほのかに匂い立つ芳香は、シンジの脳髄を焼き、さらに興奮を誘った。
亀裂の上端にある、女性に最も強い歓びを与えてくれる、敏感な肉粒………古語で言うところの『雛先』も、皮鞘の中から恥ずかしげに顔を覗かせている。
シンジは皮鞘を剥いて、丸々と膨れ上がった雛先を、完全に空気の中に露出させる。
表面が、白く濡れ光っている肉の真珠を、ペロリと舌先で舐めあげた。
「………くはぁ………………っ!」
待ち望んでいたところに、いきなり強烈な快感を与えられ、マユミは身体に電流が走ったかのように、背を弓のようにしならせる。
休みなく、シンジは唇も舌も指も駆使して、彼女の秘部を愛撫していく。
「…………! ………!?…………ん………!!!」
両手で身体を支えきれなくなったマユミは、布団の上に身を横たえながら、シンジの愛撫を受け入れ続けた。
固く目を閉じて喘ぎながら、両手でシンジの頭を押さえ、太股でしっかりと挟み込む。
声にならない喘ぎ声を漏らしながら、お尻を浮かせて、夫の唇に濡れそぼった秘部を押しつけていった。
シンジの舌が、マユミの花園の深い部分にまで突き込まれ、柔らかくかき回しながら内襞の感触を味わっていく。
シンジは喉を鳴らしながら、彼女が分泌する愛液を飲み干していくが、舌で刺激する度に彼女の秘部からは泉のように、新しい蜜液が湧き出てくる。
飲み切れずに溢れ出た蜜液は、亀裂から濡れ伝い、花園の下に位置する後ろの門までをもしとどに濡らし、下の布団までをも濡らしていった。
まるで、そこから蜜液を分泌したかのように濡れそぼった後ろの門に、シンジは顔を近づけると、ペロリと舌を這わせる。
「ひ……………っ!?」
マユミは、ビクビクッと身体を震わせた。
マユミが嫌がる素振りを見せる暇すら与えないように、シンジは愛撫を続けていく。
秘めやかな姿をしている、妻の背後の門は、こちらも丁寧に浄めているためか清潔な感じがした。
過去、幾度も愛撫されているためか、ヌルリと舌は容易く進入していく。
排泄器官から止めど無く伝わって来る背徳の快感に、マユミは背を限界まで反らせて打ち震える。
その間にも、シンジの両手は彼女の花園を愛撫し、肉の粒までをも刺激して快感を与え続けていた。
何本も指が花園に進入して敏感な肉襞を抉り、もう一方の手は、すっかり皮が剥けきって勃起した肉粒を撫でさすり、指で摘んでいく。
汗ばんだ彼女の肌からは、男を引きつけてやまない女の香りが、むせ返るほど立ちのぼる。
前後の門から与えられる快感に、我を忘れたように顔を振りたくりながら、マユミはシンジの愛撫に身を委ね続けた。
そして、前後の門に進入した舌と指が深々と抉り込まれ、空いた手が敏感な肉の真珠を強めに摘んだ途端、急激な快感にマユミに早くも、一度目の絶頂が訪れる。
「………〜〜〜〜〜っ!!?」
最後の理性を動員して、声が漏れないように布団を噛みながら、マユミは絶頂に達する。
全力でシンジの頭を太股で締め付けながら、ビクビクッと身体を震わせると、脱力したかのように布団に崩れ落ちた。
秘所から顔を上げたシンジは、汗まみれになってしどけなく横たわる彼女の肢体を、ほれぼれと見つめる。
うっすらと目を開けたマユミは、興奮した様子で彼女を見つめる夫に気が付いた。
一度絶頂に達し、最後の恥じらいを護っていた理性の一線が切れたのか、気だるげに身を起こした彼女の口元には、薄っすらと笑みが浮かんでいる。
先程までと違い、妖しい、男を誘う淫らな笑みだ。
「あなた………」
彼女は身を起こして、シンジを見つめる。
「……………ここを、こんなにして……窮屈でかわいそう………」
そんな事を言って、マユミは先程から、下帯を突き破るのではないかと思うほど猛り狂っている夫のものを慰めるかのように、手で優しく撫でさすった。
白くたおやかな手でさすられる度に、シンジのものはビクッと震え、彼女の手の中で暴れる。
「今、楽にして差し上げますね」
そう言って、マユミはシンジの下帯に手をかけると、優しい手つきで脱がせていく。
本来は、はしたない行為なのだろうが、夫が喜ぶため、羞恥に震えながらも彼女は夫の求め通り、応じてきたのだった。
今では、すっかり手慣れて、必ず彼女が脱がせるまでになっているのだが。
優しい手つきで解かれた下帯からは、へそに付きそうなほど猛ったシンジの男根が姿を見せた。
夫以外の男性を知らないマユミだが、それが非常に大きなものだと言う事ぐらいは知っている。
長さも太さも惚れ惚れするようだし、興奮で充血した肉茎には、うねうねと太い血管が蔓草が絡みつくかのように這い回っている。
逞しく脈打つ男根の、玉冠の縁から下へのくびれの段差も大きい。
そんな逞しい肉茎を、マユミは手で軽く握ると、優しい手つきで撫でていく。
外出し、掛け試合をするなど激しく動き回って来たせいか、顔を近づけなくても、ムッとするほどの強い男性の性臭が彼女の鼻腔を刺激した。
牡の匂いまでもが、彼女を刺激し、興奮をさらに強めていく。
シンジの顔を見上げながら、そっと顔を近づけていくマユミの頭に、一つの考えが閃いた。
「シンジさんは………これが、お好きでしたよね?」
夫と付き合っていた頃の呼び名で言うと、マユミは、それまでの振る舞いからは想像もできないような妖しい笑顔になる。
かがみ込んだ姿の彼女の両腕に挟まれて、豊かな乳房が形を変えながらも、ゆさりと揺れた。
マユミの視線に促されるように、布団に横たわったシンジの脚にまたがると、彼女はその豊かな乳房で夫の猛りきったものを挟み込んだ。
柔らかくて張りのある、たまらない弾力に満ちた乳肉に、ムニュッムニュッとまとわりつかれて、シンジの肉茎はそれだけで快感に包まれる。
「ん…………」
チロリチロリと、マユミの小さな薄桃色の舌が、シンジの男根の先端を愛撫し、先端の切れ込みを割って刺激し始めた。
「……んふ……」
先端をひとしきり愛撫すると、乳房の間から突き出ている亀頭をぽってりとした唇を開いて口中に迎え入れると、中で丹念に舌で愛撫していく。
恍惚とした表情で頬を窄めながら、マユミは舌で亀頭を舐め回し、くびれの下の敏感な部分にも熱心に舌を這わせていった。
そうして、挟み込んだ両の乳房も交互に、自分の手で揉み始める。
形を変えていく、大きな毬のような乳肉の動きに合わせて、シンジの肉茎にも快感を伴う刺激が伝わってくる。
シンジが快楽を感じているのに気をよくしたマユミは、今度は挟み込んだ乳房で肉棒を直接上下に扱き始めた。
滑らかですべすべした肌の上に、彼女の舌で愛撫されていくうちに伝わった唾液が潤滑油となり、スムーズに肉棒が乳房の間を上下する。
時折、太股をかすめていく、マユミの固くなった乳頭の感触も、シンジには心地良かった。
先走るかのように、肉茎の先端から滲み出てくる透明な液体を残らず舐め取り、チュウチュウと音を立てて吸いながら、マユミは嬉しそうに奉仕を続ける。
「ああ………あなたの、シンジさんの………………おいしいです………。だから、もっと…もっと私で気持ちよくなってください……」
そう言って、シンジの目を見つめながら丹念に愛撫をしていく。
肉棒を包み込む乳肉の柔らかさ、太股をかすめる乳首の心地良さ、亀頭をねっとりと包み込み、吸い込んでくれる唇の感触。
尿道口を割って刺激してくる舌の快感……全てが、シンジにはたまらないほど心地良かった。
マユミの愛情のこもった熱心な愛撫に、夜の生活がご無沙汰で溜まり気味だったシンジは、早くも肉茎の先端に絶頂感が溜まっていくのを感じる。
少し顔をしかめて、絶頂を迎えるのを耐えているシンジの顔を見ながら、自分の身体で快感を与えられている事に、マユミは嬉しくなって微笑んだ。
「そんなに、我慢しなくてもいいんですよ。いつでも、あなたが好きな時に出してくれていいんですから……。私が、全部飲んであげます……」
一段と愛撫を激しくしながらの優しい言葉を聞いて、限界近くまで耐えていたシンジは、あっけなく陥落した。
「くぅっ…………っ!?」
瞬間、ビュクッと音が響くのではないかと思うほど激しく、亀頭の先端が膨れ上がると、切れ込みから白濁した熱い粘液がマユミの顔に迸る。
「……………あふっ……………」
火傷しそうなほど熱い、黄色みを帯びた白濁は、マユミのメガネにも顔にも、開いた口の中にまで激しく叩きつけられていく。
ビクッビクッと震えながら、なおも肉茎に溜まっていた精液が放出され、彼女の顔から胸元までをも白く汚していく。
目の前のシンジの肉茎から熱く白濁した精液が吐き出されるのを、マユミはメガネ越しに、うっとりとした顔で見つめた。
白い糊のようにべっとりとした、生臭い粘液まみれになったと言うのに嫌な顔一つせず、逆に嬉しそうな顔をしている。
たっぷりと顔とメガネにかかった白濁が、タラリタラリと自分の重みで伝い落ち始めた。
頬を伝い、口元に付着していた精液と合流した粘液を、マユミは舌を出して舐め取る。
青臭い、箸で摘めそうなほど濃いシンジの精の匂いが口の中いっぱいに広がり、マユミは恍惚とした表情を浮かべた。
「ふふ………沢山、出しましたね……。私の身体で気持ちよくなってもらえて……嬉しいです……」
そう言いながら、挟み込んだままの乳房で射精を終えたシンジの肉棒を挟み込みながら、軽く圧迫して残留していた精液を絞り出していく。
トロリトロリと白濁が滲み出てくる、敏感になっている先端に、痛みを感じさせないように優しく舌を這わせて精液を舐め取り、茎の中に残った分も吸い出していく。
残留していた精液を一滴残らず吸い出すと、今度は指で、乳房や顔、メガネについた精液までも残らず集め、全て舐め取ってしまう。
顔も、胸元も、口の中までもが、シンジの出した精液の青臭い匂いで充満し、マユミは恍惚とした表情すら浮かべた。
指に付いた精液までしゃぶり終えたマユミは、白濁液や彼女の唾液、先走りの汁で濡れ汚れたシンジの肉茎に、再び舌を這わせて舐め浄め始めた。
「………綺麗にしてあげますね……」
そう言って、柔らかな唇で優しく亀頭を咥え、汚れた肉棒に濡れた舌を絡めて、愛おしむかのように愛撫していく。
そう言われながら、丹念に舌を這わせられるまでもなく、興奮しきったシンジの肉棒は、射精してもなお、猛り狂ったように隆起したままだった。
綺麗に舐め終えたマユミは、そんな様子に気づきながら、シンジの目を見る。
小さく、マユミが頷いたのが合図になったかのように、シンジは彼女を抱き寄せると、うつぶせの形で横たえた。
彼女の方も心得たもので、シンジがやりやすいように、お尻を浮かせて彼の方に突き出す。
奉仕していても快感を感じていたのか、しとどに濡れた花園を、背後からシンジは猛り狂った肉棒で一気に貫いた。
「ああァっ!!?」
待ちに待ったものに深々と肉襞を抉り抜かれ、マユミは仰け反った。
上体がうつぶせに寝そべって、下半身が四つん這いの体勢の女性を貫く体位。
四十八手で言う、『ひよどり越え』である。
高く掲げられた、お尻から背中へと下っていく曲線の美しさを楽しむ事から、義経のひよどり越えにちなんで付けられた体位だ。
豊かな肢体を有するマユミだと、その美しさもまた、素晴らしいものがある。
子宮の入り口にまで届くほど深々と貫いたシンジは、惚れ惚れとした顔で、快感にむせび泣くマユミの肢体を見つめる。
彼の肉茎を受け入れた秘部の上に位置するお尻の美しさも、格別だった。
甘い果汁と肉汁がたっぷりと詰まった、白くすべすべとした、桃のような豊かなお尻。
キュッと持ち上がった形も、目もくらむほど深い割れ目も、全てがシンジを興奮させるのに一役買っていた。
そんな彼女のお尻を、両手でしっかりと保持すると、シンジはゆっくりとした動作で彼女の花園を抉り始める。
やけどしそうなほど熱く、ドロドロに濡れそぼった花園は、シンジの肉茎に食い付くかのように吸い付き、噛みしめて味わうかのように微妙に形を変えながら締め付けてきた。
マユミも、真っ赤に焼けた太い鉄の棒のごとき男根で、敏感な秘部を抉りまくられ、快感ですすり泣きすら漏らしながら、豊かな尻を振って少しでも快感を味わおうとする。
「ひあっ!? あっ……………あ………ああん」
胃の腑が突き破られるかと思うほど深々と貫かれたかと思えば、引き抜かれようとするときには張り出した玉冠で肉襞を抉り取られるかとすら思えるほどの快感に、彼女は髪を振り乱しながら、泣き叫ぶ。
二人とも、既に外に声が聞こえるかどうかなどは、考えもしていない。
完全に、没頭しきっていた。
温かい肉が溶けたかのような感触に、シンジが夢中になって肉棒を突き込んでいくと、マユミの方も夢中で尻を振りたくって応える。
彼女がうつ伏せになったままで、豊かな乳房が潰れっぱなしなのを我慢出来なくなったシンジは、深々と肉棒を突き込んだままの姿勢で、彼女の右足を持つとぐるりと肩に担いだ。
それに合わせて、うつ伏せになっていた彼女の身体が横の体勢に変わる。
肉棒を受け入れていた肉襞が、動きに合わせて捻られるかのような感触に、マユミは悦楽の叫びをあげた。
右足を肩に担ぎながら、身体を安定させるかのように、マユミの右手を持って、そのままの体勢でシンジは再び律動を繰り返していく。
四十八手の『燕返し』というやつである。
激しく突き込みながら、彼の肉棒を食い締めているマユミの秘部に手を伸ばすと、シンジは彼女の肉粒を再び愛撫し始めた。
時折、秘部を愛撫している右手で、揺れしなる乳房をもみくちゃにしたり、担いだ白い脚に好き勝手に味わい、歯を立てていく。
その間にも、熱い蜜液を吐き出し続ける花園を抉り抜いていくことも忘れない。
「………〜〜〜〜〜っ!!?」
強烈な快感に、マユミは声にならない叫び声をあげながら、背中を弓のようにしならせて彼の行為を受け入れていく。
『燕返し』は、空を飛翔する燕の美しさのごとく、弓なりに反った女体の曲線の美しさを楽しむ体位でもある。
豊かな乳房を揺らしながら、美しい弓なりの肢体を見せる光景は、シンジの興奮をさらに掻き立てた。
「…う………んんん!?…………………ふあ…あ、あ、あ…………」
お互い、滴るほどの汗を振りまきながら、シンジはマユミに快感を与え続けていく。
「……………………………」
夫の顔を見上げながら、マユミが彼の唇を見つめ、パクパクと唇を動かす。
口づけを求めているのだろうとシンジは思ったが、この体位だと、少々やりにくい。
肩に担いでいた脚を下ろして、彼女の身体を完全に仰向けに寝かせると、シンジはマユミの上に覆い被さった。
意図を察した彼女は両手を広げて夫を迎え入れると、ギュッと抱き締める。
二人の胸の間で、マユミの豊かすぎる乳房がシンジの胸板に当たって柔らかく潰れ、動く度に微妙に形を変えて、それだけでも彼に快感を与えてくれる。
空気を求めるかのように、半開きになっているマユミの唇を吸うと、貪られるかのように吸い付かれてきた。
たっぷりと舌を絡ませ合いながら、のどの渇きを癒すかのようにお互いの唾液を、喉を鳴らしながら飲み込んでいく。
「あふ………………………」
唇を離すと、二人の間を透明な滴の糸が、名残惜しげに繋いでいた。
再び力強い動作でマユミを貫き始めたシンジに強く抱きつきながら、彼女は両脚をシンジの腰にしっかりと交差させるように絡め、隙間が無いほど密着する。
一部の隙間無く女が男を抱き締める、情熱的な女性の体位。
『とんぼつり』と呼ばれる、これもまた四十八手に入る体位だった。
隙間無く密着するマユミを、こちらも強く抱き締めながら、シンジは器用に腰を回して、花園を抉っていく。
夫の、華奢な外見からは想像も付かないほど、広く逞しい背中に爪を立てながら、彼女は無心に悦楽を味わった。
二人が繋がる結合部からは、まるでマユミの胎内で果実が握りつぶされたかのように、大量の蜜液が卑猥な音を立てながら溢れている。
汗と愛液を飛び散らせながら、二人は、再び限界まで高まっていくのを感じる。
「…………ん……んん!?…………………ふあ…あ、あ、あ…………」
摩擦で白濁した蜜液にまみれた男根が、湿った音を立てて激しく秘所を出入りしていく。
動きが激しさを増していくのに合わせ、彼女の口から溢れる声が、透明感を強めていった。
日頃の慎み深い姿からは、想像も付かないほどの乱れ方をしているマユミの姿に魅了されながら、シンジは限界を感じながらも肉棒を突き込んでいく。
先程から熱い蜜壺に締められ続け、痺れすら感じながら、自身も無心に快楽を貪るにつれて、耐えに耐えていた射精感が限界を迎えようとしていた。
お互いの高まりが急激に上昇するにつれ、マユミの荒い息遣いが、さらに浅く速くなっていく。
マユミを絶頂へと導くべく、シンジは必死に耐えながら、彼女の花園を、ここぞとばかりに抉り抜いた。
絶頂へと高まりつつあるところに、とどめとばかりに抉られた彼女の全身に、遂に最後の一瞬が訪れる。
「んんん……!!!……………ふあ、あ………ああぁ!!!??」
シンジが子宮の入り口をズンッと、腹に音が響くのではないかと思うほど強く貫いた次の瞬間、マユミは女悦の頂点に達した。
普段は色白な肌が、今は薄く色づいた桜の花のように染まり、珠のような汗が至るところから噴き出す。
「く………っ!」
耐えに耐えていたシンジも、マユミの秘部が、絶頂に合わせて痙攣しながらギュウッと締め付けてくるのに限界を迎えた。
彼女が絶頂に達した次の瞬間、限界まで突き込んだ男根の先端から、二度目とは思えないほど大量の白濁した精液が吐き出される。
火傷しそうなほど熱い精液を子宮に注がれ、満たされていく感触すら快楽に変換して、マユミはすすり泣いた。
肉茎を震わせながら、呆れるほど大量の精液を放出し続けるシンジを、マユミの肉襞はひくひくと震えながらも、優しく締め付けてさらなる射精を促す。
溢れ出た蜜液を押しのけ、逆流した精液が布団を濡らしていく頃になって、ようやくシンジの射精は一応の収まりを見せた。
妻の子宮に、溜まっていた精液を一滴残らず注ぎ込む心地良さに、シンジは荒い息をしながらも、満足そうな笑みを浮かべる。
全身を汗にまみれさせ、汗に濡れた髪を額に張り付けて、ひくひくと身体を震わせるマユミの姿が、シンジにはたまらなく愛おしかった。
固く目を閉じながら、荒い息を吐きつつも、マユミの口元には満足そうな笑みが浮かんでいる。
妻の、いやらしくも美しい姿に深い充足感を覚えながら、シンジは身体を起こした。
もう少し、柔らかな妻の裸身の上に寝そべる心地良さを味わっていたかったが、あまり時間をかけていると、重みを感じて苦しがるだろうと思ったのだ。
同時に、結合している部分も離そうとするが、なかなか抜けてくれない。
よほど強く食い締められていたのか、シンジが肉棒を花園から引き抜いた瞬間、瓶にきつく詰めた栓を抜くような音が響いた。
未だ荒い息を吐きながら、マユミがうっすらと眼を開けると、シンジは優しく微笑みかける。
「あの……………………やっぱり、外にも聞こえちゃってますよ……ね?」
少しだけ理性が戻ったのか、恥ずかしそうに胸と秘部を両手で隠そうとしながら、マユミは先程とは違った意味で顔を赤らめて言った。
「だろうね」
マユミの側に横たわりながら、シンジは苦笑混じりに答える。
今更ながらに、そんな事を言う。
未だに騒いでいる声も聞こえてくるが、外の何人かには、確実に聞かれてしまっている事は、火を見るより明らかだった。
「まあ、こうなったら、毒喰らわば皿まで…かな?」
「?」
恥ずかしそうにしているマユミの顔を見ながら、シンジはそんな事をのたまった。
「どうせ、外にもばれてるんだったらさ。続けても、別に構わないよね」
そう言われて、マユミは、さらに顔を赤らめてしまう。
だが、体に先程の交わりの名残が残っているためか、それほど嫌がる素振りは見せない。
再び抱きすくめられて、唇を奪われても、マユミは抗おうとはしなかった。
一度火のついた体が、再び刺激を受けて、早くも疼き始める。
「駄目?」
「………そんな事は、ないです………」
夫の悪戯っぽい視線に、マユミは微笑みながら、身を起こした。
「でも、それなら……まずは綺麗にしてあげますね……」
そう言って、寝そべっているシンジの、早くも固くなりかけた肉棒を優しく手でさすりながら、亀頭に舌を這わせていく。
「さっき、あれだけ出したばかりなのに、もう、こんなに固くなるなんて……………」
嬉しそうに言いながら、こびりついた白濁と蜜液を舌で舐め取っていく。
先程から、シンジが自分の裸身を鑑賞し続けていた事は、目を閉じていても、視線が痛いほど感じられていたから知っていた。
自分の裸を見て夫が興奮したのだと思うと、マユミは恥ずかしいとは思うが、それよりも誇らしい気持ちとシンジへの愛おしさが先に立ってしまう。
仰向けに寝そべったシンジの下腹部に屈み込んで、献身的に奉仕を続けるマユミの秘部から、子宮に注がれた精液が逆流して、トロリと糸を引いて流れ落ちてくる。
「……………あ…………」
自分の胎内から、次々と精液と自身の分泌した愛液が流れ落ちてくる感触に加え、それをシンジに見られている事に、マユミは恥ずかしそうに顔を伏せた。
それから逃れるかのように、彼女は手の中で熱く脈打つ夫の男根に舌を這わせ、亀頭を唇に包み込んでいく。
男根には、自身が放出した精液とマユミの分泌した愛液が、べっとりと乾き切っていない状態で、覆い尽くすかのように付着していた。
先程の行為を思い出させる、肉棒にこびり付いた残滓を、マユミは嫌な顔一つせずに全て舐め取っていく。
それどころか、逆に愛おしむかのような優しい舌使いで、シンジの男根を舐め浄めた。
ジュルジュルと唾液の音を立てながら、先端から根本、さらには精液を作り出す二つの皺のある袋にまで、隈無く唾液まみれにしていく。
ひとしきり肉棒を綺麗にし終えると、再び深々と喉奥まで咥え込み、頬をすぼめながら根本まで吸い上げると、甲高い唾液の音を響かせながら顔を振りたくった。
先程、自分の胎内を突き、抉り抜いていた時以上の逞しさになった男根に、マユミは白い指を絡め、巧みな動きで刺激し続ける。
それが好きでたまらないかのように、熱く上気した滑らかな頬にシンジの男根を寄せて、愛おしげに頬ずりすらして見せる。
何かに取り憑かれたかのように肉茎を貪りながら、熱い喘ぎを漏らし続ける妻の姿に、シンジは興奮を抑え切れなかった。
彼女の頬に手を寄せて眼で促すと、マユミは嬉しそうな顔をして身を起こす。
シンジの前で、獣のように四つん這いになり、白い桃のようなお尻を向けて、ふるふると誘うように揺らした。
再び彼女の花園に男根を突き入れていくと、マユミは嬉しそうに、歓びの声をあげる。
歓びを全身で現すかのように激しく喘ぎながら、少しでもシンジの肉棒を咥え込もうと、豊かな尻を振りたくった。
もはや、外に聞こえるなどと言う心配など、どこかに捨てたかのように、あられもない声を出して、快感を貪っていく。
夢中で尻を振る妻の秘部を抉り抜き、脇の下から手を入れて、突き込みに連動して激しく揺れる乳房を食い込ませた指の間からはみ出るほど激しく揉み嬲ると、マユミは快感にすすり泣きすら漏らした。
汗に濡れた白い背中に覆い被さり、後ろに顔を向かせると、唇を吸っていく。
夢中で舌を差し入れてくるマユミに舌を絡めて応えながら、シンジはふと心の隅で、
『朝になるのが、本当に怖いな』
一瞬だけ、そんな愚にも付かないことを考えるのだった。