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児童買春の悲劇なくしたい 「かものはしプロジェクト」村田早耶香さん 

5月19日10時30分配信 産経新聞

児童買春の悲劇なくしたい 「かものはしプロジェクト」村田早耶香さん 
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「かものはしプロジェクト」共同代表の村田早耶香さん(写真:産経新聞)
 貧しさゆえに親に売られ、売春を強要される子供たち。そんな悲劇をなくそうと学生時代に立ち上げた「かものはしプロジェクト」で、カンボジアの児童買春の根絶を目指して奔走する。

 児童買春の最大の原因は貧困。解決策の一つとして一昨年、同国の世界遺産「アンコールワット」近郊の農村に、財布やバッグなどの民芸品を作る工房を開いた。村人に職業訓練と仕事の機会を提供し安定収入をもたらすことで、被害防止につなげる試みだ。

 「親に仕事があれば子供は売られずにすむし、教育を受けられる。物やお金の寄付ではなく、親が自分の力で稼ぎ安心して暮らせる支援の道筋を探りたい」

                   ◇

 「アフリカでは飢えに苦しむ人が大勢いる。肉の一切れで命が助かる人もいるんだよ」。若いころからボランティア活動に熱心な父親は、食べ物を残すたびに優しく諭してくれた。父の影響もあってか、中学生のころには「人の役に立つ仕事がしたい」と思うようになった。大学では国際交流学部を選び、授業で東南アジアの児童買春の悲惨な実態を知った。売春宿でドラッグ漬けにされたり、エイズで命を落としたりする少女も少なくない。年齢が近いだけに強いショックと怒りを感じた。

 「私は運良く日本に生まれただけで、彼女たちと同じ境遇だったら同じ被害に遭っていたかもしれない。同じ時代に生きる1人として何かしなければ」

 大学2年の夏、現地に旅立った。タイの保護施設で出会ったのは、買春被害に遭った母親からHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に母子感染した5歳の孤児。カンボジアの施設にいた幼い姉妹は、電気ショックを与えられ働かされていた。生々しい傷跡と生気のない顔が目に焼き付いた。

 惨状を知るまで、おとなしくて目立つことが嫌いな普通の女子大生。帰国後、「この問題を伝えることが私の使命」と一人で行動を開始。学内で講演したり、NGOの勉強会や国際会議に参加した。地道な活動を続け、出会った仲間と平成14年に設立したのがこのプロジェクトだ。

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 今、現地の工房で働く女性は30人に増えた。電気もない質素な工房には、ミシンを踏む音と明るい声がはじける。「甥(おい)っ子2人が学校に行けるようになった」「都会の出稼ぎから戻ってこられた」。現地から続々と届く報告を聞くときが一番うれしいという。

 「そんなことは不可能という人もいるけれど、子供の未来と笑顔を守るため、いつか世界中から児童買春をなくしたい」

 強い正義感と行動力が磁力のように多くのサポーターを巻き込み、一歩一歩確実に前に進んできた。日本の事務所には、彼女たちの笑顔の写真が壁いっぱいに並んでいる。(中曽根聖子)

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【プロフィル】村田早耶香

 むらた・さやか 昭和56年、東京都生まれ。フェリス女学院大卒業。学生時代に横浜で開かれた「第2回児童の商業的・性的搾取に反対する世界会議」に参加。平成14年、「かものはしプロジェクト」を設立。6月に初の著書『いくつもの壁にぶつかりながら』(PHP研究所)を出版予定。

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最終更新:5月19日10時30分

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