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【社説】

民主新体制 まずまずの再始動だが

2009年5月19日

 鳩山民主党が挙党一致をキーワードに新布陣を整えた。一時離れた支持は戻ったが、「民主政権」誕生には世論のためらいも感じられる。この壁を乗り越えられるかどうか。新体制の試金石になる。

 「未来に向けていい花を咲かせたい。いいスタートが切れた」−。鳩山由紀夫代表は新執行部人事をこう自賛した。

 小沢一郎氏と距離を置き代表選で争った岡田克也氏を幹事長に、小沢氏は選挙担当の代表代行に起用。幹事長代理には岡田氏を支持した野田佳彦氏を充て、小沢色一掃を求める次世代クラスにも配慮した。

 政権交代の一点を見据え、結束を最優先させる。待望論のあった岡田氏を選挙の表の「顔」とし、実務は小沢氏に仕切らせる−。鳩山流の総選挙シフト人事だ。小沢氏の要職起用に多少の批判は出たとしても、与党の恐れる「選挙の小沢」で勝負するしかない、との現実的な判断からなのだろう。

 ただ、候補のテコ入れなどで選挙戦の陣頭に立つ岡田氏と小沢氏の役割分担をどうするのか。すみ分けはできているというが、今後、摩擦が起きないとも限らない。懸念される「小沢院政」色が強まれば、一転して有権者の「民主離れ」を引き起こそう。

 各メディアの緊急世論調査ではどちらが首相にふさわしいかで、鳩山氏が麻生太郎首相を大きく上回った。衆院比例代表の投票予定先でも、民主が自民を依然リードし、鳩山民主に朗報となった。

 一方で、共同通信の調査では「鳩山氏に期待しない」が50・6%で「期待する」の47・5%を超えた。政権交代を望むが、民主党にできるのか、世間は懐疑的に見ている。

 党首交代で表紙は変わったが中身はどうか、政権を任せられる力はあるか、民主の経済政策に財源の裏付けは十分か−。有権者が抱く疑問、不安だ。これを一つずつ解消しなければならない。

 終盤国会での論戦がその格好の機会になるだろう。無駄な基金創設などが指摘される本年度補正予算案の参院審議、党首討論である。鳩山氏は首相との論戦に積極的に臨み、具体的な政権ビジョンを示してもらいたい。

 鳩山代表をくみしやすし、とみていた与党には、想定を上回る民主の復調はショックに違いない。相変わらず国民の厳しい目が自公政権に注がれている。あっさりと「支持逆転」を許した背景などを早急に分析すべきだろう。

 

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