民主党は鳩山由紀夫代表の下での新執行部が19日に正式発足する。前代表の小沢一郎氏が選挙担当の代表代行、代表選を争った岡田克也氏が幹事長に就任する。形のうえでは「挙党態勢」を整えたが、党運営の実権を小沢氏が握り続ける二重権力の懸念をはらんでの始動となる。
鳩山新代表がまず取り組まねばならないのは、西松建設の巨額献金事件による小沢氏の公設秘書の逮捕、起訴で党が受けたマイナスイメージをいち早く断ち切ることだ。
小沢氏自身による献金の使途などの説明責任が十分に果たされたとは言い難く、党としての対応が問われ続ける。この点で小沢氏が執行部の重要ポストに残り、当面の最大の課題である衆院選の責任者に就く今回の人事は極めて分かりにくい。
事件の最終的な決着は法廷闘争の行方を見守るとしても、代表の辞任にまで至った政治責任への評価をあいまいにした印象はぬぐえない。まもなく始まる西松事件の裁判の過程で詳しい構図が明らかになれば、党執行部は再び強い逆風にさらされるリスクを背負う形となった。
日本経済新聞社とテレビ東京が週末に実施した緊急世論調査では、民主党支持率は4月末から10ポイント上昇し38%まで回復。逆に自民党は3ポイント低下の33%となり、西松事件が3月初めに明るみに出る前の水準に近づいた。衆院選の比例代表の投票先も民主党は41%と、自民党の28%を上回っている。
ただ民主党への信頼がこれで完全に戻ったとみるのは早計だろう。鳩山新代表への評価は「期待する」が47%、「期待しない」が49%とほぼ拮抗(きっこう)している。調査は新執行部の布陣が固まる前だったが、小沢氏が要職にとどまる点には54%が反対し、賛成の32%を大きく上回っていた。
国会は20日に2009年度補正予算案の参院での実質審議が始まる。9月の衆院議員の任期満了を控え、解散・総選挙をにらんだ与野党の攻防は最終局面に入る。
党代表選では「全員野球」「一枚岩の結束」などやや内向きな主張が目立った。鳩山新代表は党首討論などの機会を通じ、自民党への対立軸を明示する重い責務を負っている。