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「配置転換は不当」 病院機構を提訴 静岡

2009.5.19 02:55

 静岡県立こども病院(静岡市葵区)で医師不足のため新生児集中治療室(NICU)の新規患者受け入れが制限されている問題をめぐり、病院から不当な退職勧奨や配置転換命令を受けたとして、前新生児未熟児科長の男性が18日、院長と運営する県立病院機構を相手取り、慰謝料550万円の損害賠償などを求める訴えを静岡地裁に起こした。

 訴状などによると、男性が4月1日付で、同科から実体のない新規ポストに不当に配置転換されたことから、病院に不信感を抱いた医師らが相次いで辞職。事態が予想できたにもかかわらず、県中部の新生児未熟児医療の崩壊を招いたとして、配転命令は無効と主張している。

 また、男性は訴状で昨年11月以降、院長が県内の小児科医109人に「(男性が)辞めると公言しており、希望をかなえさせます」と事実と異なるメールを送ったことなども指摘した。「不当な退職勧奨を繰り返し受け、鬱病(うつびょう)を罹患(りかん)するなど精神的苦痛を受けた」とも訴えている。男性は現在、休職中という。

 こども病院は、高度な周産期医療を提供する県中部唯一の医療機関だが、医師の減少でNICUの新規患者受け入れを静岡市内に限定している。県は、ほかの地域の患者は順天堂大付属静岡病院(伊豆の国市)と聖隷浜松病院(浜松市)に対応を要請し、「6、7月をめどに医師を確保したい」としている。

 この日、会見した原告側の家本誠弁護士は「長年地域の新生児医療に貢献してきた原告に対して、信じられない対応」と話した。

 県立病院機構は「訴状を見ていないのでコメントできないが、適切に対応したい」としている。

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