【ネット動画攻防戦】（中）どうやって稼ぐ？　有料、無料で試行錯誤 (2/2ページ)

　■有料への拒否反応

　昨年１２月、有料での配信事業「ＮＨＫオンデマンド」をスタートしたＮＨＫは、開始４カ月でサービス内容の変更を余儀なくされた。３月末の会員目標だった８万人を達成できず、５万人程度にとどまったからだ。

　放送直後の番組を視聴できる「見逃しサービス」の配信期間を７日間から１０日間に延長し、ラインアップも開始時の９６番組から１２２番組に広げた。３月中旬から期間限定で見逃しサービスを無料視聴できるようにするなど、会員獲得に余念がない。

　不調の原因についてＮＨＫの福地茂雄会長は「広告広報が足りないとの声もある」と分析するが、「配信コンテンツの価格設定のバランスを誤った」（民放関係者）との指摘も出ている。無料の番組視聴に慣れた利用者が、どこまで番組に料金を支払うかは未知数。クレジットカード番号の入力など、ネットの課金方法への不安も有料サービスの普及が難しい一因となっている。

　視聴者の財布のひもを緩める魅力的なコンテンツを提供するとともに、視聴者の目線に立ったシステムをいかに構築していくか。今後の成否を左右する。（松岡朋枝）