ニュース: 経済・IT RSS feed
【ネット動画攻防戦】(中)どうやって稼ぐ? 有料、無料で試行錯誤 (1/2ページ)
■放送48時間後に配信
今年1月、TBSとヤフーが共同で実施した“実験”が、テレビ業界に波紋を広げた。放送中の最新ドラマとバラエティー番組をそれぞれ1作品ずつ、地上波での放送終了から48時間後に動画配信サイト「TBSオンデマンド」と「ヤフー動画」で無料配信したためだ。
「今後の方向性を考える取り組み」(TBSメディア事業センターの高澤宏昌氏)として、3月末までの期間限定だったが、関係者には否定的な意見も少なくなかった。
欧米に比べ、ケーブルテレビや衛星放送など有料放送の世帯加入率が低い日本では、番組1本当たり数千万円ともいわれる制作費でつくられる地上波の番組が、視聴者の欲求を満たしてきた。
放送終了後、地上波の番組はDVDとして販売されるなど、収益の柱も担う。このため、1話当たりの単価が低いネットの動画配信への転用には、各社とも慎重で、「無料などもってのほか」(関係者)というわけだ。
■過去の番組で収益
ただ、「テレビは無料(タダ)で見るもの」という意識が、新たな収益を求めるテレビ局の動画配信事業の足かせになっている面もある。
実際、TBSは無料実験を行う一方、有料モデルの構築にも着手している。
4月29日、過去の人気ドラマの有料配信をスタートし、第1弾として平成5年に放送した人気ドラマ「高校教師」など3作品を配信した。1カ月に5〜6作品を配信し、1年後に50〜100作品まで拡大するという。1話当たりの価格を300円前後に設定した。
一定量の購入が期待される最新番組をDVDで売り出す一方で、過去の番組をネット配信すしていく。こうした“出し分け”によって「DVD制作の初期コストを抑える」(メディア推進局総合企画部の加藤龍人担当部長)のが狙いだ。テレビ局にとって作品は最大の売り物だけに「利益の最大化を図る」(加藤担当部長)と鼻息は荒い。