新型インフルエンザの感染拡大を受け、医療機関の受診者にA型インフルエンザの感染が判明した場合には、海外渡航歴がなくても遺伝子検査を行うなど、従来より対象を広げる対応を実施するか、予定している都道府県が34自治体に上ることが毎日新聞のまとめで分かった。
静岡県は18日、県内137カ所のインフルエンザ指定届け出医療機関で、受診者がインフルエンザA型陽性かつB型陰性と判定された場合、県などの施設で遺伝子検査を行うと発表した。滋賀県は既に16日から、渡航歴の有無にかかわらず、簡易検査でA型とされた発熱外来の受診者を対象に遺伝子検査を実施。18日までに167人が検査を受けた。
検査などの拡大対象としては、大阪や兵庫など関西方面へ行った受診者としているのが少なくとも13道県に達する。愛知県は、すべての発熱患者ではなく、大阪や神戸へ行った人を対象に追加した理由について、「遺伝子検査をする施設の処理能力の問題」などを挙げる。
また、富山県は発熱外来の受診者でインフルエンザの陽性反応が出た場合は渡航歴がなくても遺伝子検査を行うものの、一般の医療機関に同様の対応をさせる予定はないという。千葉県や大分県は遺伝子検査を行う条件に「患者の同意」を挙げるなど、対応法は各自治体によって異なっている。
対応を拡大していない自治体の間でも、「関西方面に出向いたことがある人などを対象に一定の線引きを検討している」(神奈川)、「静岡県の対応を注目したい」(福井)など、拡大を検討する動きが広がっている。
毎日新聞 2009年5月19日 東京朝刊