「現状は警戒度6」と警告 押谷仁東北大教授

 国内で急激に感染者が増えている新型インフルエンザについて、世界保健機関(WHO)に勤務経験がある東北大大学院医学系研究科の押谷仁教授(感染症対策・微生物学)は18日、河北新報社の取材に対し、国内の感染者が既に数千人に上るとの見方を示した。「個人的見解」と断りながら、現状の警戒水準(フェーズ)は世界的大流行(パンデミック)を意味する「フェーズ6だ」と警告を発した。

 押谷教授は「関西では既に数千人単位で感染者がいると考えられる」と推測。感染はねずみ算式で広がるため「この状態が数週間続くと、国内で少なくとも数十万―数百万人の患者が出る」と指摘した。

 4714人の感染が確認されている米国でも実際の感染者は10万人近いとの見方がある。押谷教授は「個人的には、実態はフェーズ『6』だと受け止めている」と述べた。

 ワクチンの十分な準備には少なくとも4カ月はかかるとみられる。関西のような学校を起点とした急激な流行を防ぐには「兆候が出たら早めに学校閉鎖するなどの対応が必要だ」と語った。

 重症患者が発生した場合の受け入れ態勢については「地方の病院の多くは医師不足もあって普段から手いっぱい。ICU(集中治療室)はどこも満杯だ」と収容先の確保を課題に挙げた。「妊婦に感染した場合は産科医不足の問題にもぶつかる」と医療機関側の備えに懸念を示した。

[おしたに・ひとし] 世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局(マニラ)に感染症地域アドバイザーとして勤務した後、2005年から現職。厚生労働省「新型インフルエンザ専門家会議」委員。東京都出身。東北大医学部卒。50歳。


2009年05月19日火曜日

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