【福森新社長インタビュー】商品価値を変えずに時代が求める楽しみを提案する

福森新社長。任命直後はプレッシャーを感じなかったが、実務を遂行して日を重ねるごとに職務の重さを実感しているという(画像クリックで拡大)

 パーティー終了後に短い時間ではあるが、福森新社長に新体制のビジョンを聞くことができた。

――日本は世界で一番規制が厳しくなりました。長年変わらない価値観が魅力のハーレーですが、この状況で魅力が失われることはありませんか?

福森新社長(以下、福森):  我々は、騒音規制や排ガスなどの規制に対応することで魅力が半減するとは思いません。メーカーには“社会環境に合致する製品を作らなければならない”という責任があります。ハーレーという商品には、スタイルや歴史、自分自身のために仕様を変えられるカスタム性という多くの魅力があります。

 確かに独特の音は、ハーレーの魅力の一つですが、騒音規制に対応しても、ハーレーの魅力が失われるとは思っていません。例えば、排ガス規制によりインジェクションを導入しましたが、それにより扱いやすさや始動性が向上しました。女性や初心者の方にとっては、キャブレーターモデルでは始動性や、冬場の乗り始めなど、いろいろ気になることが多かったと聞いています。インジェクション化により、そのような方々を多く取り込むことができました。

 ハーレーは今後も環境規制に対応しつつ、従来のハーレーらしい低速トルクの豊かさや乗り味を、極力変えないように開発しています。

――昨年秋からの金融不況で、ハーレーの売り上げに影響はありましたか?

福森:  HDJは19年連続で右肩上がりに成長を続けています。昨年も1年を通して見ると4%以上成長しています。しかし昨年9月以降だけをみると、販売網への来客数などが減っていて、販売台数も10月〜12月は前年比割れとなりました。その原因が金融不況なのかは分かりません。

 実は、去年の秋は正規販売網と組んだプロモーションをやらなかったため、それが関係しているのかもしれません。今思うと、不況で世の中が落ち込んでいた時期だったからこそ、ユーザーを元気づけるようなイベントを積極的にやるべきだったと思います。イベントは開催してから販売効果として反映されるのは3〜4カ月後です。不況の空気を読んで、打つべき手を打てなかったことが原因でしょう。

毎年、富士ブルースカイヘブンに参加しているイリュージョニストの引田天功さんもパーティーに駆けつけた(画像クリックで拡大)

――今後もイベントに力をいれていくのですか?

福森:  富士ブルースカイヘブンや、長崎ハーレー フェスティバルなどのイベントを楽しみにしているユーザーはたくさんいます。今後も購入後に楽しんでいただける企画を開催していきます。新規ユーザーを増やすために、実際にハーレーに乗って体感いただく大試乗、大展示、商談イベントである「アメリカンワールドフェスタ」というイベントを毎年冬から開催しています。この冬にもう4カ所ほどやっていますが、来場数は昨年以上ですので、それを販売に繋げていきたいと思っています。

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