ハーレーダビッドソンの使命は「ユーザーの夢をかなえるお手伝い」
09年2月19日、正規販売網の経営者、取引先関係者、各マスメディアなど約1000名もの人を集め、HDJは「新世代創業パーティー」を開催した。福森豊樹氏はすでに1月1日から代表取締役の職務に付いているが、その就任のお披露目と、前代表取締役である奥井氏への労いの意味をもったパーティーである。
新社長に就任した福森氏は、1963年生まれの46歳と若い。そのことからも新世代の感覚を取り入れ、HDJをさらに発展させたいという奥井氏の意図が感じられる。福森氏は伊藤忠商事に入社して自動車輸出部門に勤務。HDJには2000年10月に入社、07年10月からゼネラルマネジャーに就任したという経歴の持ち主。次世代後継政策が始まった03年9月当初から、次のリーダー候補として選ばれていた。福森氏によれば、今から約1年半前に次期社長の指名を受け、奥井氏自身は08年度末に退くことを伝えられたという。
新社長就任のあいさつで福森氏は、販売店や取引先関係者、各界の有識者、プレスに感謝の意を述べたあと、昨秋以来の世界同時不況の中でHDJのやるべき姿勢について語った。「今の世の中は、世界中が不況一色で元気がありません。今回の世界同時不況は金融問題が原因だと思いますが、今の景気を悪くしている一番の原因は、我々の心だと思っています」と分析。「日本中全体が自信喪失状態で、HDはモーターサイクルという土俵の中でやるべきことをやる。自信を回復すること、元気を取り戻すことが、ビジネスに従事する商人に求められていることだと思います」と述べた。
また、ハーレーダビッドソンの世界的な企業使命は「ユーザーのモーターサイクルライフの充実という夢をかなえるお手伝い」だとして、不況のような厳しいときこそ、ハーレーの真の真価が問われると語った。HDJも19年連続の成長を続けているが、改善すべき課題はまだ残っているという。「できていないこと、やり残していることに、一つひとつ愚直に取り組んでいこう。」と、就任パーティー前に販売店と話し合ったことを報告した。最後に「HDJの新世代として、今年も連続成長ができるよう、そしてさらなる20年、25年と飛翔できるよう全速力で取り組んでいきます」と締めくくった。
あいさつの後は立食パーティーとなり、福森社長の周りには、多くの人が祝いの言葉を伝えるため列を作って集まっていた。ハーレーは飲酒運転撲滅にも力を入れているため、会場の飲み物はすべてノンアルコールドリンクだ。こうした形で自らのポリシーを伝えるのも、マーケティング戦略の一環なのだろう。