独自のマーケティング戦略で、ハーレーダビッドソンは日本市場で圧倒的なシェアを得ている(画像クリックで拡大)

 ハーレーダビッドソン ジャパンは、2009年1月1日から代表取締役社長を奥井俊史氏から福森豊樹氏へと引き継ぎ、新体制となった。日本での二輪車販売台数が年々減少するなかで、ハーレーダビッドソンは24年連続で成長を続けている。その理由の分析と、福森新社長のインタビューを合わせてレポートする。

最盛期の1/6しかない日本の二輪市場規模

 まずは、日本の二輪市場の概要を見てみよう。日本で最も二輪が売れたのは1982年のこと。原付(50cc)のスクーターブームの影響が大きく、1年間で約328万台もの二輪が販売された。2008年の出荷台数は約52万台だから、市場は約6分の1にまで縮小したことになる(下図左:国内二輪出荷台数推移)。ちなみに四輪と比べてみると、08年の軽自動車を含む乗用車の販売台数は約508万台なので、その1割程度の台数でしかない。

 しかし二輪の販売台数は、原付の割合が非常に多い。原付を除いてみると、総台数ほど極端に縮小しているわけではない(下図右:二輪車51cc以上出荷台数推移)。といっても緩やかな減少傾向であることは変わらず、83年に比べて半分以下になっている。

国内二輪出荷台数推移。2008年には最盛期の6分の1程度まで減少したことが分かる(資料:JAMA)(画像クリックで拡大)

二輪車51cc以上の出荷台数推移。急に落ち込んでいる1999年は、二輪排出ガス規制が始まった年(資料:JAMA)(画像クリックで拡大)

 251cc以上の自動二輪クラスに絞ってみたのが下図左の「自動二輪出荷台数推移」だ。ここ数年は横ばいか、わずかに増加傾向にあるものの、長いスパンで見れば減少しているのが分かるだろう。しかしハーレーは24年連続で増加しており、07〜08年にいたっては、販売される4台に1台程度がハーレーになっている。

 さらに751cc以上の大型二輪のメーカー別登録台数(ハーレーダビッドソン ジャパン提供)を見ると、圧倒的なシェアを持っていることが分かる。ホンダよりも、ヤマハよりもハーレーが売れているのだ。グラフにはないが、84年のハーレーの年間販売台数は、わずか757台でしかなかった。それが今や1万5000台以上を販売している。これはちょっとすごい。

 ちなみに統計は社団法人日本自動車工業会(JAMA)のデータに基づいているが、JAMAは輸入車をカウントしていないため、統計の数値は国内メーカーだけの台数となる。このためハーレーについては、独自に出している新規登録台数を基にしている。

自動二輪(251cc以上)の出荷台数(青)と、ハーレーダビッドソンの登録台数(赤)の比較。青いグラフ部分にはハーレーの台数は含まれていない(出典:JAMA、ハーレーダビッドソン ジャパン)(画像クリックで拡大)

751cc以上の大型バイクのメーカー別登録台数(出典:ハーレーダビッドソン ジャパン)(画像クリックで拡大)

(画像クリックで拡大)