高瀬大樹 ブログ

鈴木みのるさんとのプロレスデビュー戦。
そりゃあ緊張しましたよ(笑)

相手の技を受けないといけないプロレスのルールは総合だけをやってきた俺にはちょっと違和感があった。

とにかくゴングがなって俺は必死に動いた。 寝技になれば負けない。と思っていたが あっという間に試合が終わった気がする。
鈴木みのるさんは当時は三冠王者。もう怒涛のたたみかけで最後にパイルドライバーで撃沈した。
場外で鉄柵にブン投げられ、激突した時
「いってぇ」
と 不覚にも言ってしまったのだが、近くにいた女性客が 笑いながら 「いてえだって やっぱり痛いんだ(笑)」
と言っていたのだが

「やっぱりいてえよ！バカやろう！」

と言いたくなったよね(笑)。

試合後 リングで鈴木さんが
「ドップリプロレスやってみろよ！」
とおっしゃってくださり俺はあまりの悔しさに
「鈴木さんに勝つまでやりす！」
と言い返した。

メインイベントの重責をなんとか果たしたかな…と思ったが、 相手の技を受けなきゃいけないプロレスルールは本当に難しい。
ていうかお客さんも敵になるというか、お客さんに説得力のある動きをしなきゃいけないのは本当に至難の業だ。

まぁ これから何試合かプロレスをやらせて頂くのだが、毎回メインイベントに抜擢させて頂く事になる。
正直 プロレスが まだあまり上手くないのに 何故メインイベントに抜擢され続けたか。
それは総合の実績なども考慮して頂いたのもあるが、当時、上井ステーションのメインスポンサーだった“プチシルマ”で有名な株式会社レダの加畑社長との出会いだった。
加畑社長のご子息が吉田秀彦さんや瀧本さんなどが出身だった、柔道の名門施設“講堂学舎”で住み込みで柔道をやっていた。
初めは上井さんに加畑社長と学舎に見学に行く…と聞かされ 学舎のある桜新町で上井さんと待ち合わせ。
学舎の前で加畑社長と新入社員の方々とお会いした。
加畑社長は噂どおり、キリッとした方で
「これはちゃんと礼儀を尽くさないといけないな」とすぐに察知。
練習風景を見学した後、学舎の持田監督やオリンピック銀メダリストの泉浩選手らと談笑。
持田監督とは吉田道場の頃から顔見知りで とても良くしてくださった。泉君とも人を介して一緒に呑んだ事もあった。

談笑が終わり、桜新町にあるプロレスラーの天龍さんが経営されてるお寿司やさんに加畑社長と上井さんと３人で食事をする事になった。

俺は昔の事が甦った。
「ここでちゃんと礼儀をしっかりしないと昔の二の舞になる…」と。

俺は今までプライベートでお付き合いさせて頂いていた会社の社長さんやその後輩の方に “目上の方に対する行動や態度”をイヤと言うほど叩き込まれていた。
ここでは書くまいが、一般の人が気いたらひくような気の使い方だ。
しかし、俺はそれが出来なかったからＪロックでうまくいかなかった。だけどその反省をいかさないと理不尽な思いをした意味がない。

そして加畑社長は

「高瀬くん なかなかイイ人間だね」
とおっしゃった。

俺はホッと胸をなで下ろした。 加畑社長は高校から柔道を始めたご子息に寝技を教えてやってほしいというのもあったようだった。
加畑社長は気持ち良さそうに運転手付きのベントレーに乗り込み帰っていった。

何よりも嬉しそうだったのは上井さんだった。
「いやあ高瀬さん、気にいられたね！良かった！」
この日本は 上に気にいられないとチャンスがないという、独特かつ陰湿な国だから。俺は社会勉強した経験をいかしたわけだ。サラリーマン金太郎みたいに

「関係ねぇっすよ！！」
なんて生き方は 本当に漫画だけの世界だ。
いやらしいけど仕方ない。
生きてくためだから。
だけどね加畑社長は本当に男気のある方で俺は俺で社長と呑みに行ったりするのは楽しかった。

俺はこの時気付いたんだよね。
ゴマをするのは確かにいやらしいけど 縁を大事にするという事はとても大切な事なんだよ。
縁を大事にすればチャンスは広がっていくんだ。そう俺は悟った。

加畑社長と深い付き合いをさせて頂いて色々な人脈が広がった。
芸能界で言えば志村けんさんや研ナオコさん中山秀征さん川崎真世さんマリアンさん。相撲界などでも貴乃花親方をはじめとする方々。
昔のように “人に気にいられる努力”をしなければ出会わなかったろう。

そんなこんなで プロレスをやり 総合は全く決まらずの日々が続いた。

そして


ある日の事、ゴング(格闘技雑誌)さんから取材の依頼が来たのだ。

この取材をキッカケに久しぶりに会社と問題が起きる。 そして事態は急展開していくのだった。


続く