昔話-その26-
今回は「北斗の拳」の話になります。
僕が参加したのは#59・#71・#90の三本になります。
どういう経緯で北斗をやることになったのか、あまり覚えていないのですが、この頃、劇場版の制作が平行して進んでいたのでスタッフが手薄だったのかもしれません。
劇場の原画にもお誘いいただいたのですが、とてもテレビと平行は出来ませんでしたので、お断りしています。
だって、最後に売れ残っていた大変なモブシーンだったんですもの…
原画の手配も含めてどっぷりとやったのは最初の#59だけですね。
#59「天をおおう暗黒の星! 死闘の果てに時代は動く!!」は、シュウが初登場する回でした。
シュウのアニメ用設定は、僕が描いたものに、須田さんがラフ修正を入れてくださって、最終的なフィニッシュは僕がしています。
#59は、エンディングには表記されていませんが、かなり豪華な原画陣だったんですよ。
Aパートは、当時結成されたばかりの南町奉行所にお願いしています。
冒頭のラオウは大貫健一さん、村のマリをついている少女のあたりがヤマサキオサム君、孤児たちが隠れている小屋を輩が襲うあたりを大張正己さんに描いていただいています。
大張さんは、先日わざわざこのブログを見ましたとメールをくださいました。
嬉しかったですよ、ありがとうございました。
エンディングには「南町奉行所」と表記してくださいとお願いしたのですが、そんなふざけた名前は出せないと断られてしまいました…ヒドイ。。。
初のスタジオ名のクレジットになると、ヤマサキ君たちも楽しみにしてくれていたのに申し訳なかったです…
Bパートは、鍋島さんや那州雪絵さんにもお願いしています。
那州さんには、バットとリンのシーンをやっていただきました。
ほとんど初原画でしたが、上手かったですよ。
那州さんは、この後すぐに連載が始まって漫画に専念されたはずですので、たぶん原画はこれが最後だったのではと…
僕が原画を担当したのは、ケンシロウとシュウが対峙して戦い始めるシーンからラストまでですが、一部歯抜けで他の人にも手伝ってもらっています。
数カット、亀垣さんにもお願いしていますね。
自分の原画としては、シュウが鉄球を振り回して投げるカットのタイミングが上手くいったのを覚えています。
PAN-UP+マルチストロボ撮影(手が千手観音みたいになるアレ…)とか、大変な撮影も、撮影さんが頑張ってくださいました。
そういえば、1カット魚眼レンズを使ってくれなんて無茶もいいましたね…
ラストカットで、ケンシロウのアップがセル画からイラストにオーバーラップして終わるんですが、このイラストはハーモニー処理ではなく、自分で描いています。
まず鉛筆で原画を描いて、それを那州さんにお願いして画用紙にペン入れしてもらい、それに僕が水彩で彩色しました。
サイズが大きくて大変でした。
あのイラストは記念に回収しておけは良かったなぁ…
とにかく、この北斗では原作に似せて描くというテーマで取り組みました。
制作担当の方から、この回はプロデューサーが褒めてくださったとお聞きして嬉しかったのを覚えています。
あ、そうそう…余談になりますが、この#59の制作進行は、後に演出家になりガオガイガーの監督をすることになる米谷良知さんでした。
次の#71は、コンテと作画監督だけの担当で、原画はムッシュオニオンのグロスでした。
正直、修正はかなり辛い作業でしたが…一人だけすば抜けて上手いアニメーターがいました。
それがまだ、原画を描き始めたばかりの新人らしいんです。
この人の原画だけは、修正は全く入れる必要はなかったんですね。
僕のタッチとは違うのですが、ほぼそのまま通しました。
それが、北斗の後半の作画を支えることになる羽山淳一さんの原画でした。
最後の#90は、作画監督だけだったので、あまり記憶には残っていないのですが…
この回は確かBパートで原画も描いていますね。
山のフドウとか雲のジュウザを描いた記憶があります。
そういえば容赦なくタッチを入れていたので、動画さんはさぞ大変だったろうなぁと…
最後に、とびっきりのネタを…
実は、この作品…
番組が始まる前に、テレビ局のプロデューサーからのご指名で、貞光さんと金田さんに監督とキャラクターデザインのオファーがあったんですよ…
作風が違うということで、お二人ともお断りになったみたいですが…
もし決まっていたら、どうなっていたんでしょうね。。。
次回は「レディレディ!!」の話になります。
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