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黄砂・酸性雨対策、日本が協力 日中首脳会談で合意へ

2009年4月29日5時56分

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 29日、北京で行われる麻生首相と中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相による首脳会談で、日本が中国の環境汚染や廃棄物対策に協力する「日中環境・省エネルギー総合協力プラン」で合意することがわかった。両国が重点的に取り組む4分野、計15項目を列挙。日本も大きな影響を受ける黄砂、酸性雨への対策や、膨大な二酸化炭素を排出する石炭火力発電所の設備改善などが盛り込まれる。

 日本政府関係者によると、深刻な環境問題を抱える中国に対し、日本が得意としている環境・省エネ分野での協力を進め、両国の「戦略的互恵関係」を支える柱にする狙いがある。さらに、中国の参加がカギとなる13年以降の地球温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都)づくりに向け、中国側の意識を高めるきっかけにしたい考えだ。

 石炭分野では、地球温暖化対策や施設の安全性向上を目指し、石炭火力発電所の設備改造や人材育成で協力。今年度中に約1万人の中国人研修生を受け入れるほか、現地指導も行う。

 水の分野では、農村地域での排水処理モデル事業への協力を進め、湖沼などの水質を浄化する日中共同プロジェクトを立ち上げる。水質汚濁の原因となる窒素やリンの削減に向け、日中の共同研究も進める。水質汚濁が深刻な渤海湾の浄化対策にも協力する。

 大気汚染対策では、光化学オキシダントや黄砂、酸性雨に関する研究・技術協力を推進。廃棄物に関しても、3Rと呼ばれるリデュース(排出抑制)、リサイクル(再生利用)、リユース(再使用)のための技術支援を行う。

 対策が遅れがちな地方を支援するため、次回で4回目となる日中省エネルギー環境総合フォーラムを年内に中国の地方都市で開き、日本の優れた省エネ技術などを紹介する「技術集」の中国語版を配布する。

 環境対策に日本政府が力を入れてきた姿勢を示すため、麻生首相は30日、熱エネルギーの有効利用や粉じん飛散対策を日本が技術指導した北京市郊外の「首都鋼鉄」を視察する予定だ。(東岡徹)

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