「これが友人を遇する米国人の方法なのか」
同議員はこの言明の結論部分でさらに2007年3月のギャロップ世論調査の結果に言及して、米国の一般国民の74%、指導層の91%が「日本は信頼できる同盟国」と答え、一般国民の48%、指導層の53%が「日本はアジアで最も重要な米国のパートナー」と答えたことを強調した。そして一般国民の83%、指導層の94%が「日本は米国と共通の価値観を分かちあっている」と答えたことも指摘した。そのうえで次のような疑問を提起して、声明全体を締めくくったのだった。
「なぜ我々はこれほど良好な日本との関係を特定の立法行動によって危険にさらさねばならないのか。これが友人であり、同盟相手である日本人を遇する我々米国人の方法なのか」
ハワイ生まれの日系二世のダニエル・イノウエ氏はすでに82歳、米国の国政の場で名声を築いた民主党リベラルの政治リーダーである。第二次大戦では米陸軍の日系二世部隊442連隊の将校として欧州戦線で活躍した。ドイツ軍の銃弾で右腕を失い、ヒーローとして帰国したイノウエ大尉がサンフランシスコの理髪店で「ジャップはお断りだ」と拒まれた話は有名である。戦後はハワイで弁護士や検事として活動し、1959年には連邦議会の下院議員となり、62年には上院に転じた。もう上院議員を45年間も務めている大ベテランなのである。
イノウエ氏は民主党では全国委員長だけでなく、大統領候補を選ぶ党大会での基調演説役をも何度も果たしてきた。1970年代のニクソン大統領辞任をもたらしたウォーターゲート事件では上院特別調査委員会の有力メンバーとしてハイライトを浴びた。要するに米国議会での最長老の一人であり、日系社会では絶大な敬意の対象となってきたリーダーなのだ。
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
この連載のバックナンバー
- 北朝鮮のミサイル発射があらわにした日米同盟の希薄化 (2009/04/14)
- 間近に迫るテポドン2号の脅威を読み解く (2009/03/31)
- 保守派の論客、ラッシュ・リムボウを知っているか (2009/03/17)
- 社会主義色が濃厚になったオバマ大統領の施策 (2009/03/03)
- ヒラリー訪日の意味 (2009/02/17)