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開城工団:韓国政府、閉鎖に備え「非常計画」立案(下)

 韓国政府は現在、北朝鮮の無理な要求で撤収する企業が出た場合、経済協力・交易保険で損失を補助する案を最優先で検討中だ。大統領府(青瓦台)の当局者は、「昨年末に北朝鮮が開城工業団地への出入りを統制したときから、閉鎖の可能性を考慮し入居企業に保険加入を求めていた。経済協力保険の補償額も、現在の50億ウォン(約3億7700万円)から70億ウォン(約5億2800万円)まで限度を増額する案を有力な候補として検討している」と語った。

 開城工業団地に入居している各企業は、北朝鮮当局の一方的な合意破棄などで事業が継続不可能となった場合、建物・機械といった設備投資に対する損失の90%までは補てんを受けられる。保険金は政府が助成する南北協力基金(年間1兆5000億ウォン=約1132億円)から支給される。統一部の関係者は、「入居予定の企業を含め、121社すべてが保険に加入している」と語った。しかし、入居企業側は「100億ウォン(約7億5000万円)以上を投資した企業にとって、保険金の額は到底足りない。純粋な投資額のほか、よそに投資した際の機会費用まで考慮して、南北協力基金で企業の損失を十分に補てんすべきだ」という立場だ。

 工業団地の閉鎖が視野に入ったとしても、韓国政府が企業に対し一括して撤収を命令することは難しい、という見方も少なくない。政府消息通は、「北朝鮮の新しい条件は分からないが、事業を継続したいという企業があれば、強制的に撤収させる方法があるだろうか」と反問した。

 残りたいと考える企業があるとしても、開城工業団地に滞在している韓国国民の身辺に重大な問題が発生すれば、政府としては黙っていることは難しいと見られる。「49日間抑留されている現代峨山の社員の身辺に問題が発生したり、追加で人質を取られたりしたら、政府としてもすべてを企業の自律に任せるのは難しい」(安全保障部局関係者)というわけだ。

安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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