Print this Post Article Lists Back

「世襲王国」日本の政界で繰り広げられる珍事

自民党の「生みの親」の孫が民主党新代表に

 国会議員も親から子へ、子から孫へと受け継がれる「世襲王国」日本で、半世紀前に政権をめぐる争いを繰り広げた政敵の孫同士が、今度は正反対の立場に立ち、国家権力をめぐって真っ向から対決するという、史上まれに見る事態が起こっている。

 日本の最大野党・民主党は今月16日、鳩山由紀夫幹事長を新しい代表に選んだ。鳩山氏は今年9月までに行われる衆議院議員総選挙で、麻生太郎首相が率いる与党・自民党と対決することになる民主党の司令塔になる。参議院ではすでに民主党が第1党となっている。これで衆議院でも過半数の議席を獲得すれば、自民党の独走の歴史は終わることになる。1955年の「保守合同」で誕生した自民党は、93年-94年の約1年間を除き、半世紀にわたって政権の座を守ってきた。

 鳩山氏は「打倒・自民党」の先頭に立ったわけだが、その鳩山氏の祖父はといえば、自民党による「55年体制」を築いた鳩山一郎元首相だ。吉田茂元首相を権力の座から引きずり下ろし、保守政党を統合して自民党を作り上げた。当時、鳩山元首相に引きずり下ろされた吉田元首相の孫が、現在自民党を率いている麻生首相だ。自民党の生みの親の孫が遺産ともいえる自民党を倒そうとし、一方で政敵の孫がこれを守ろうという政治ドラマが、脚本もなく演じられているというわけだ。

 吉田、鳩山両元首相の家系がこれほどまでに複雑な関係になったのは、自民党内部の事情や、鳩山新代表の政治家人生に起因する。佐藤栄作元首相をはじめとする吉田元首相の後継者たちが、鳩山元首相の退任後に自民党へ合流し、吉田元首相の路線を継承する派閥を形成した。タカ派の麻生首相は、このとき形成された派閥の一つ(池田勇人元首相の系列)に属し、権力を世襲して首相の座に上り詰めた。

 一方、ハト派の鳩山新代表は、自民党内部での対立の末、1993年に同党を離党した。鳩山氏は「日本の再武装」を主張した祖父とは違い、日本の核武装に反対し、旧日本軍の従軍慰安婦問題についても日本の謝罪を求める、代表的な親韓派の政治家として歩んできた。むしろ、祖父の路線を受け継いだ自民党内のタカ派とは距離を置いてきた。

 現在の政界の構図は、鳩山氏が多少有利であるとされている。小沢一郎・前民主党代表が辞任を発表した直後に行われた共同通信の世論調査では、民主党の支持率が36.5%となり、自民党(26.7%)を上回った。麻生内閣の支持率も28%にとどまり、これ以上支持率が上がる可能性もないとみられる。

 だが、鳩山氏は学者的なイメージのため、国民的な人気は高くない。そのため、果たして民主党を政権交代が可能な状態にまで持っていけるかどうかは未知数だ。民主党が過半数の議席(240議席)を獲得するためには、現在の議席数に加え、その数以上の127議席をさらに獲得しなければならない。政権交代のためには、このような「奇跡」を成し遂げる必要があるが、鳩山氏が小沢前代表の支持によって当選を果たしたということがネックになる。秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕・起訴されて以降、小沢氏の存在は民主党の支持率を下げる要因となってきたためだ。なお、鳩山氏は17日、小沢氏を選挙担当の代表代行に任命した。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る