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領空警備で武器使用基準を緩和へ 「任務遂行」の追加を検討
年末の防衛計画大綱改定に向け、政府・与党内で自衛隊法改正による領空警備の見直しが浮上していることが5日、分かった。
武器使用を正当防衛、緊急避難に限定したままでは実効ある対応が難しいため「任務遂行のための武器使用権限」の付与を検討する。米中枢同時テロのような旅客機ハイジャック対応も盛り込まれる公算が大きい。
防衛大綱は政府が策定する安全保障政策の基本方針。麻生内閣は今年1月に見直しに向けた有識者懇談会を設置し、年末の改定を目指している。
自衛隊による領空警備は自衛隊法84条に対領空侵犯措置の規定があり、外国の航空機が国際法や国内法に違反し、日本の領空(日本の海岸線から12カイリの上空)に侵入した場合、防衛相が自衛隊部隊に命じ、着陸や退去などの強制措置を講じることができる。
ただ、武器使用(危害射撃)は正当防衛、緊急避難に限られ、相手が攻撃の意思を示さず挑発的な飛行を繰り返すだけでは「武器使用が困難で強制的に排除する手だてがない」(航空自衛隊幹部)のが実情だ。
防衛省によると、領空侵犯の可能性がある国籍不明機への空自の緊急発進(スクランブル)では、ロシア機が全体の8割を占め、中国機がこれに次いでいる。
4月5日の北朝鮮によるミサイル発射では、ロシアが情報収集機を派遣し、公海上に展開させた日本のイージス艦のミサイル防衛(MD)システムの運用を偵察した。ロシア機が、飛行計画の提出が必要な防空識別圏に入ったため、戦闘機を発進させたが、公海上で領空侵犯のような排除措置はとれなかった。そのため政府内には「防空識別圏でも空自に十分な対処権限を認める必要がある」との考えがある。
また、米中枢同時テロのようなハイジャックされた旅客機の攻撃を想定。治安出動などでは時間がかかるため領空警備で対応し、領空侵犯の対象に外国航空機だけでなく、国内航空機を加える案が浮上している。