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2009年5月18日 (月)

アニメビジネスがわかる本137

音楽関連本1〜『アニメソング ヒットはこうしてつくられた』(木村英俊/角川書店:絶版)

アニメと音楽との貴重ビジネス史

今回からアニメと音楽の関係についての書籍を紹介する。尤も、多分ほとんどはアニメとは関係なく趣味に走るかと思うので予めご容赦頂きたい。

1999年に出版されたこの本の存在を知ったのは筆者の木村さんが4月の朝日新聞の夕刊で紹介されていたのを見たからである。さっそくアマゾンでこの本(中古本しかありません)を取り寄せて読んでみた。

一時期アニメ音楽といえばコロムビアというイメージがあったがその立役者であったのが木村さんである。中でも白眉はヤマト関連の音楽商品であろう。レコード売上だけで総額150億円もあったとのことで、おそらく当時のヤマトはエヴァ以上の経済的波及力があったと思われる。

TVアニメ創世記の音楽商慣習についても触れられている。レコード会社は、「アニメ制作会社とレコード化の契約をし、最低補償金額を前払いすることになる。これがアニメ製作会社の制作資金の一部として充当される」とある。

本書によると、この「最低補償金額」とはMGであり、それは「版権使用料(増田注:映像著作権使用料)と原盤使用料(音源はアニメ制作会社の所有であるため)」であったとある。この頃は、製作会社が音楽制作費を持ち、それをレコード化するときに原盤使用料のMGをレコードメーカーから得ていたようである。

この形が崩れ、レコードメーカーが自前で原盤を製作するようになったのは、1980年代に入ってのキティレコード製作『うる星やつら』あたりからであると思われる。木村さんはそのような現象を、ホームページにある「TVアニメ25年史」で「81年頃から新人歌手のデビューの場として利用されはじめた」と述べおられる。

そして、主題歌が楽曲のプロモーション・ウィンドウとして明確に意識されるようになったのは、朝日新聞で木村さんも述べておられたように『キャッツ・アイ』からであろう。新人歌手がヒットメーカー作家と手を組んでアニメ発のヒットソングを出すようになる。その結果、アニメ本編と主題歌のイメージがどんどん乖離して行くといった現象が起きはじめるのであるが・・・

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