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2009/05/18

昔話-その25-

ヒカルオンの話も、今回で最後になります。

ヒカルオンは、とにかくヒーローのデザインが難産でした。
他の方にデザインをお願いして描いていただいたりもしたのですが、結局いろいろあってモーションコミックでの漫画に登場させていた「宇宙戦士ギャリバン」をベースに手直しをしていって、なんとかあのデザインに落ち着きました。

アイキャッチの実写スーツは、シルエットで目を光らせることを前提にしていたので、自主映画用に作ったギャリバンのスーツを使用しています。
夜中にナンバーワンのあったマンションの駐車場で、ジムニーをバックに撮影しました。
スーツは僕が着ているので、カメラマンは亀垣さんです。

あのスーツの目のライトは、本家と同じハロゲンランプを使用していたので、はっきりと光ってくれましたが、目のライトをセットすると視界はゼロですし、かなりの熱を持つので長時間の装着は無理でした。
胸のマーカーランプも、回路で自動点滅したんですよ。
撮影時の電源は、リール式延長コードで対応しています。

スーツはカビてしまったので、もうずいぶん前に処分してしまいましたが、面(頭)だけはいまでも僕の机の上に飾ってあります。

肝心の自主映画は、カナメプロにいた頃に作ろうとしていたのですが、このときにはスーツが間に合わず、結局スーツが完成したのは僕がカナメとの縁が無くなってからでしたので、お手伝いしていただくスタッフの問題もあって映像を作ることはできませんでした。

カナメ時代に、怪人のスーツだけは出来ていたので、一部アクションシーンのテスト撮影はしたのですが、撮影後フィルムを入れ忘れていたことが発覚…なんて笑えない話もありましたっけ…

ギャリバンのスーツは、実は一着目の出来があまり良くなかったので数年後に作り直したのですが、このアイキャッチで使ったのは作り直した二着目のものです。

一着目は、ウレタンの表面に塗装をしただけもので、見栄えがよくありませんでした。
作り直した二着目は、デザインも変更して、ウレタンの表面にビニールシート(当時のアクション用の戦隊ロボの表面にも使用されていた素材です)を貼った非常に出来の良いものでした。

この二着目は、当時自主映画を作っていた方(ライダーBLACKの時に、オフィシャル企画として開催されたライダーの自主映画コンクールで優勝された方でした)にお願いして作ってもらっています。
銃のホルスターやブーツ、手袋などのパーツは自分で加工して作りました。

面は最初に頼んでいた人が、石膏原型の段階で放り出してしまったのですが、数年後に別の方に仕上げていただきました。

ヒカルオンのアイキャッチは、こうして撮った紙焼き写真をセルに貼り付け、アニメの撮影台で撮影するという実にアナログな方法で処理をしています。
ネガがどこかに残っているはずなので探したのですが、残念ながら今回は見つかりませんでした…

最後にキャストに関してのエピソードを…

主役の四方堂光だけはオーディションで決めています。
ベテランの方から、新人の方まで…10名くらいはオーディションにいらっしゃったと思います。
僕はオーディションには立ち会わず、あとでテープで聞かせていただきました。

色々な裏事情ですったもんだがあった後…
最終的に、我々スタッフサイドの純粋な判断で決めたのが関俊彦さんでした。
関さんは僕と同じ年の生まれ(学年では僕がひとつ上)ですので、当時24歳だったはずです。
主役は初めてとのことでした。

関さんのオーディションテープは、叫び声がひっくり返るくらい熱演してくださっていて、それが逆にとても好印象でした。
録音時、変身後は声質を少し低めにしてくださいとだけお願いした記憶があります。
関さんが電王でライダーの声を演じられたときには、なかなかに感慨深かったですよ。

あとは、実は高山みなみさんがヒロインの友人役で声優デビューされているんですよね。
高山さんと関さんのお二方には、後にコズミック・ファンタジーでも主役を演じていただいています。
お二人が、ずっと第一線で活躍されているのは本当に嬉しいです。

そういえば、作品のプロモとして、当時関さんと同じ事務所だった水島裕さんのラジオ番組にも出演させていただきました。
このとき、水島さんご自身がお話しになっているので問題はないとは思いますが、実は水島さんもオーディションを受けてくださっていたんですよ。
上手さでは間違いなく水島さんが一番でした。
ただ、主役はフレッシュな新人で…という視点から関さんの起用になったと記憶しています。

音響制作に関しては、81プロデュースの中野徹さん(今は音響監督としてもご活躍されています)に、すごくお世話になりました。

正直、僕にとってのヒカルオンという作品は、アクロバンチと並んで今でも後ろめたさや苦さの残る作品ではあるのですが…
それでも、好きだと言ってくださる方がいらっしゃるのは本当にありがたいことだと思っています。

本作も、僕が一生背負っていかなければならない試練の一作なんでしょうね。
でも、自分にとってそういう作品があるということは、もしかしたら幸せなことなのかもしれません。

次回は、北斗の拳の話になります。

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