股関節はこうして壊れる(その8) 

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ショートカット→股関節の構造 運動の影響
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        私が受けた手術 2次障害と心のケア
        現在の運動能力

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アンケートはこちらです。このページと同一内容のPDFドキュメントを現在作成中です。(変形性股関節症用 変形性膝関節症・変形性足関節症用)

変形性股関節症の患者が提案する、変形性股関節症の方へのアドバイスです。
変形性膝関節症や、変形性足関節症の方も御参考になさって下さい。

Part-8.患者様・御家族の方、また職場の方へ

I.患者様のための豆知識
●身体障害者手帳の交付 ぜひとも申請したほうがよろしいでしょう。軽度の場合、股関節の運動能力に著しい制限がないとみなされるため、認定はほとんどないでしょうが、5級(両足の場合は4級)認定の目安としては、関節の可動域が前後方向・左右方向とも90度に到達しない場合が対象になります。ほとんど動かせないか、股関節固定術を施した場合か、もしくは人工関節であれば4級(両足の場合、一方が人工関節でも3級)の認定になります。また、片足だけの場合でも、変形性膝関節症を同時に診断されていれば4級認定の可能性があります。
●公共交通料金の割引 手帳を提示すれば、公共交通機関の運賃が一定の条件下で半額になります。ただし、介助を必要とする場合は、残念ながら変形性股関節症の場合、介助者の運賃までは半額にならないようです。また、JR線の場合、半額になるのは運賃のみで、指定席/自由席特急料金や寝台料金・グリーン料金については半額にはなりません。
●公共施設利用料金の割引 半額になるところが多いようです(一部は無料)。ただし、これは国や地方自治体が運営する施設がほとんどで、私立の施設は適用にならない場合があります。
●高速道路の通行料金割引 運転する人が障害者であれば、高速道路やその他の有料道路は通行料金が半額になります。ただし、同乗者に第1種身体障害者の認定を受けている人がいても、重ねて割引を受けることはできません。
●駐車禁止除外指定対象車両の認定 最寄の警察署に、障害者手帳を提示すると申請可能なようです。
●自動車税の免除 軽自動車以外の自動車を運転する場合、自動車税の納税が免除されます。
●所得税・住民税の軽減 本人だけでなく、同居者に障害者がいる場合も納税額が大幅に軽減され、場合によっては免除もあります。

II.御家族の方への豆知識
●障害者福祉年金 変形性股関節症ではせいぜい第2種の認定しか認められないので、あまり期待できません。
●生命保険会社の健康診断 加入前に、必ず健康診断が行われますが、変形性股関節症は免責条項には含まれませんので、安心してお受けになって結構です。
●運転免許の取得について 障害の程度により、事前に最寄の警察署などに手続きが必要になる場合がありますが、自動車の運転操作に最小限必要な運動能力を備えていれば、普通自動車運転免許については、変形性股関節症は欠格事項には該当しません。
●住宅のバリアフリー化改造 自治体からの補助を受けることが可能です。
●給与所得の年末調整 障害者手帳のコピーを添えて申請書を提出すると認めてもらえます。かなり金額が大きいので、ぜひとも申請しましょう。

III.職場の方への豆知識
●障害者雇用対策に関する助成金 各事業所とも、一定の比率以上の障害者を雇用することが義務付けられていますが、障害者の社会参加を円滑にするため、最寄のハローワークに申請して助成金を受ける制度がございます。
●レクリエーションタイムの充実化 一般にレクリエーションタイムはスポーツイベントが多く、障害者は二の足を踏むことが多いですが、障害者に無理をさせず、可能な範囲で多くの参加者が等しく楽しめるイベントにできるようにしましょう。
差別待遇の廃止要望 日常業務の中に、障害者が遂行不可能、もしくは困難なものがあるという理由だけで、真っ先にリストラの対象にしたり、身分を契約社員や嘱託社員に留め置いたり、昇進で差別を行う、ということがあってはなりません。基本的な人権にも関わる問題です。
●障害者ハラスメントに対する注意 セクシュアルハラスメントと同様、障害者に対する侮辱行為が問題になっています。差別待遇と同様、職場の方には配慮をよろしくお願い申し上げます。

IV.一般に通用している常識の信憑性
●遺伝について(1) 一般的に、先天性股関節脱臼や変形性股関節症については、遺伝の可能性が古くから指摘されています。私の親類の者でも、両足の変形性股関節症が末期状態で、両足とも人工関節を使用しているにもかかわらず、前途歩行不可能で車椅子を必要としている人がいます。(本来ならば認定は3級なのだが、人工関節を入れる際にいったん両足を切断して左右の足を入れ替えるというとてつもない規模の大手術を受けたため1級の認定を受けている)
●遺伝について(2) ただ、先天性股関節脱臼の原因については、前述したようにオムツで締め上げることや、出生時に身体測定で無理に足を伸ばすといった行為も要因ではないのかといわれており、その証拠に欧米やアフリカ・中南米での変形性股関節症患者は、先天性股関節脱臼の2次障害によるものがほとんどいません。生活習慣も重要な要因と考えられます。
●男女比 Webアンケートの結果にもありますが、患者の男女比は圧倒的に女性優位です。その原因は、骨の構造そのものも、また股関節につながる筋肉も女性のほうが男性に比べて弱く、また女性にとっては妊娠も股関節に多大な負担をかけます。変形性股関節症に気づかずにスポーツを続けてきた人が、妊娠前後に症状が急激に悪化するケースが多いのが、何よりの証拠です。
●運動 最近、大学病院や大都市の大規模病院では、スポーツ医学との共同研究で患者に無理のない運動方法がいろいろ編み出されています。ところが、相変わらず地方の病院では、医師も理学療法士も、変形性股関節症には安静が第一として、まったく運動をさせない人が相変わらず多いです。しかしこの考えはどこがいけないのかというと、適度な運動が変形性股関節症の症状悪化や鬱病などの2次障害発生を抑制する、ということをまるで考慮していないのであり、私としてはこういった医療機関には三行半を突きつけても構わない、とさえ声高に訴えております。
●家事 一般に変形性股関節症の患者には負担が大きいですが、御家族の方が理解されているかというと、残念ながら一部に無理解があり、そのために離婚などで患者が配偶者から一方的に遺棄されるという悲劇も実際に起きております。患者の苦しみは、周囲の人にはほんの一部しか見えません。

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