股関節はこうして壊れる(その6) 

来訪者No. (2004/11/14カウントアップ開始)

ショートカット→股関節の構造 運動の影響
        誤診に至った経過 手術の手法
        私が受けた手術 現在の運動能力
        豆知識

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アンケートはこちらです。このページと同一内容のPDFドキュメントを現在作成中です。(変形性股関節症用 変形性膝関節症・変形性足関節症用)

変形性股関節症の患者が提案する、変形性股関節症の方へのアドバイスです。
変形性膝関節症や、変形性足関節症の方も御参考になさって下さい。

Part-6.2次障害と心のケア

(このセクションは、経験者としての見解をコメントするものであり、専門家のコメントと矛盾する点は御容赦願います。)

I.よくある2次障害(整形外科系の疾患)
●変形性膝関節症 股関節の動きが悪くなることそのものが原因で、あるいは股関節をかばうことが原因で膝に極度の負担がかかり、膝痛を訴えるようになります。
●変形性足関節症 股関節の動きが悪くなることそのものが原因で、あるいは股関節をかばうことが原因で足首に極度の負担がかかり、足首の関節痛を訴えるようになります。
●ぎっくり腰 長時間同じ姿勢を保つことが原因です。特に、椅子に座ることが意外に股関節に負担をかけることを知らずにいるケースが多いようですが、変形性股関節症の方は予防体操が困難な場合が多く、有効な対策が望まれます。
●慢性腰痛 長時間同じ姿勢を保つことや運動不足が原因です。特に、変形性股関節症の方は予防体操が困難な場合が多く、有効な対策が望まれます。
●脊柱側彎 骨盤が水平にならないことが原因です。左右の足の長さに差が出ると、発生しやすくなります。
●骨粗鬆症 加齢に伴うカルシウム分の欠乏が原因とされています。運動不足になると、骨がカルシウムを取り込めなくなり、発生しやすくなるようです。女性ホルモンの減少も原因に挙げられており、男女比も圧倒的に女性のほうが高いようです。
●大腿骨骨頭壊死 臼蓋形成不全などで骨盤と大腿骨のすり合わせが悪いと発生しやすいようです。

II.よくある2次障害(内科系)
●肥満 運動不足が主たる原因でしょうが、股関節の性能を保ったままダイエットを行うのは、一般には困難です。
●高血圧 やはり運動不足が主たる原因だと考えられます。運動不足に起因する高血圧は血流が悪く、拡張期血圧(最高血圧)はそれほど高くないのに収縮期血圧(最低血圧)が異常に高いという傾向を示すようです。
●糖尿病 やはり運動不足が主たる原因だと考えられます。

III.よくある2次障害(その他)
●鬱状態 治療の進み具合が遅いと今後に不安を抱え、鬱状態に発展するケースもあるようです。また、外出が億劫になるため引きこもりになり、鬱病や冬季鬱病の発生が多くなるようです。
●心的外傷後ストレス障害(PTSD)(1) 幼児期に手術や検査などで注射やX線の撮影機器などに恐怖感を覚え、それがトラウマとなって感情を破壊するケースが見られることがあります。また、身体障害のためにいじめの被害に遭うと、大多数のケースは人間関係に恐怖感を覚え、最悪の場合は自殺をするケースもあります。医療事故の被害経験もPTSDの原因になると言われています。
●PTSD(2) PTSDがいったん発生すると、頻繁にフラッシュバックが起こるようになり、いじめの被害を直接受けている場面や、医療事故の発端となった治療を受けているシーンが目の前に蘇って、リハビリを著しく妨げます。時にこのフラッシュバックは精神的にも錯乱状態を招くことがあるので、御家族の方や会社の同僚の方、学校関係者や医療関係者は無神経な対応のないよう、常に御配慮願います。
●強迫性障害 健康情報を扱ったバラエティ番組で生活習慣病などの不安を煽られた場合、生命への危険を恐れて運動に一所懸命になるあまりに、無理なリハビリで股関節をますます悪化させるケースが考えられます。生活習慣病の不安を和らげるためのメンタルケアが必要でしょう。
●その他 運動不足が原因で、認知症の進行が早くなるケースがあるようです。

IV.2次障害を防ぐためには…
●変形性膝関節症や変形性足関節症 軽い運動で発生を食い止めることが可能です。特に、膝や足首の運動は椅子に座った状態でも可能なので、合間を見てこまめに膝や足首の曲げ伸ばしをするのがよろしいでしょう。
●慢性腰痛やぎっくり腰 同じ姿勢を長時間続けないように気を配る必要があります。詳しいことは生活アドバイス編でもコメントしています。予防体操は健常者向けなので、変形性股関節症の患者には不向きなものがあります。理学療法士と相談してから始めるのがよろしいかと思います。
●足腰のしびれ 運動不足で、かつ長時間椅子に座りっぱなしの状態で発生することがあります。血行不良が起きていると思われるので、時々椅子から立ち上がって軽いストレッチで筋肉をほぐすと予防できます。不自然な姿勢も原因になるので、座面の高さを調整するなど、自然な姿勢がとれるように配慮しましょう。
●生活習慣病 軽い運動を習慣付けるだけで効果が表れます。くれぐれも無理をしないように。
●肥満(1) 食生活への配慮はもちろんですが、減食に頼るダイエットは栄養不足から疲れやすくなったり、基礎代謝が低下して病気にかかりやすくなるといった現象が出やすいので、「太平洋海霧研究所」としては推奨できません。栄養を十分に摂って可能な範囲で体を動かし、基礎代謝量を増やすのがベストでしょう。
●肥満(2) 最近、ダイエットサプリメントが通信販売などで出回っていますが、効果は未知数です。また一昨年(2002年)から昨年にかけて、中国から直輸入したダイエットサプリメントを服用した人が肝機能障害などを訴えて死亡者を出したという事件は記憶に新しいところです。
●鬱状態・PTSD 治療の経過が思わしくない場合、職場や学校などのコミュニティで症状を理解してもらえないために人間関係が悪くなっている場合や、患者自身が誤診や医療事故を経験している場合は要注意です。セカンドオピニオンが重要になると思われます。また、治療経過が悪い場合や誤診の場合は医療機関を信用できなくなっているケースが多いので、インターネットを利用できる場合は、変形性股関節症の患者が開設したフォーラムが多数ありますので、そちらに参加されたほうがよろしいでしょう。同じ悩みを抱えている人が集まっているので、生活アドバイスなどで貴重な意見を戴くことが可能ですし、時には評判の良い医療機関や整体師・鍼灸師などを紹介してもらえるかもしれません。
●強迫性障害 健康情報を扱うバラエティ番組は、確かに重要ではありますが、それが唯一のものではありません。不安に感じたら、内科(循環器科・呼吸器科・消化器科・糖尿病専科)で診察を受けましょう。その結果、異常なしだと判定されれば気楽でしょう。ただ、このときに「病は気から」などという暴言を受けるとドクターハラスメントによるPTSDに発展する可能性があるので、事前に口コミなどの情報を参考にして医療機関を選択することをお奨めします。

V.起きてしまった2次障害のケア

●変形性膝関節症や変形性足関節症 これらの運動療法のうち、一般向けは変形性股関節症の患者に不向きなものがあります。理学療法士から指示を戴くか、整体師・鍼灸師などのセカンドオピニオンに基づいて運動を行うのがよろしいかと思います。
●慢性腰痛やぎっくり腰 いったん発生すると厄介です。理学療法士や整体師・鍼灸師などと相談してから運動を始めるのがよろしいかと思います。
●足腰のしびれ これはもう、プロに任せたほうがよいかもしれません。
●生活習慣病 特に循環器系の病気が発生すると厄介です。運動の内容についての検討は、プロに任せましょう。くれぐれも無理をしないように。
●鬱状態 治療の経過が思わしくなかったり、誤診に遭っていたりすると、リハビリが億劫になったり投げやりになったりします。無気力状態は鬱状態の前兆なので、心理的なケアやセカンドオピニオンが重要になると思われます。
●PTSD 医療事故が原因の場合、整形外科以外の医療機関も信用できなくなっている可能性もありますので、早めに心療内科でのカウンセリングをお奨めします。また、学校や職場でのいじめが原因の場合、コミュニティから一刻も早く引き離す必要があるので、精神科で入院治療を受けられるか、もしくは遠隔地に引っ越すのが最善策でしょう。
●強迫性障害 無理なリハビリはかえって股関節の寿命を縮めます。早めに心療内科、もしくは精神科での対応をお奨めします。

VI.発達障害や認知症との相互作用
ADD/ADHDやアスペルガー症候群などの発達障害は、運動神経の情報処理に破綻をきたしていることが多いため、リハビリの成果が上がらない場合があります。
●健常者であれば、深呼吸しながらのストレッチングではたちどころに効果が表れますが、発達障害があると筋肉の拘縮を取ることがなかなかできないために効果が上がらないことが多いようです。
発達障害があると、2次障害の鬱状態やPTSD、自律神経失調症などの発生率が格段に高くなる、というデータがあります。
●認知症がある場合も、セロトニンの分泌が正常でないために運動能力に悪影響が出てきます。
●健常者であれば、ADD/ADHDやASは日常生活の工夫や周囲の人の適切なフォローアップで乗り切ることは可能ですが、身体障害がある場合は軽めのADD/ADHDやASでも悪影響が出てきます。
●手先が不器用だったり、あるいは他人の動作を真似ることが困難なため、リハビリの器具や機器を上手に取り扱うことができない場合があり、通常考えられない事故が起きる可能性が危惧されます。
平衡感覚が異常に悪く、路面のわずかな凹凸でも転倒の原因になりますが、転倒時股関節へのダメージが健常者の数倍も大きくなるにもかかわらず、平衡感覚を養う運動は大半が変形性股関節症の患者にはドクターストップなので、発達障害の薬物治療&作業療法は最優先で行われるべきだと考えられます。運動としては、転倒事故に常時リスキーであることを考え、安全に転ぶ方法をマスターするため、柔道の受身や合気道の動作を取り入れる方法も必要と思われます。
ただし、何らかの悪影響は出ても、発達障害はリハビリの成果を著しく抑制するものではありません。工夫次第で影響をいくらでも減らすことが可能ですので、悲観するには及びません。

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