I.人工股関節
文字通り、股関節の形状を再現したパーツです。
末期患者は、骨のダメージが非常に大きく、各種骨切り術が困難なため、ほとんどは人工股関節で対応するようです。
手術により当座の痛みの発生はなくなりますが、寿命が短く(最長でも20年しか保障できない)、若年の患者には不向きです。
転倒事故については人工股関節のほうがダメージが大きいので、杖は必需品です。
II.股関節固定術
これ以上症状が進行しないように、大腿骨を骨盤にボルトで固定する手法です。
片側にのみ症状が発生している患者に対して行われます。両側に対して行うと歩行が不可能になり、腰を曲げることも困難になるので、両側に変形性股関節症が発生している患者に対しては、症状の悪い側に対してのみ行われます。
患部を動かす必要がなくなりますが、反対側の股関節の可動域が不足していると歩行困難になり、非常にデメリットも大きい手法です。
III.RAO(寛骨臼形成術)・スピッツィー式(Spitzy Method)
最も一般的な手法で、股関節のすり合わせの部分を三日月形に切り取り、外側にずらして固定するものです。
場合により、他の骨を移植する場合があります。
比較的手間がかかる手術のため、所要時間が手術の規模に比較して長くなる傾向があるようです。
手術後は、正常な股関節とほとんど見分けがつかないほど成績は良好ですが、ベッドから離れるには他の手法による手術よりも時間がかかります。また、リハビリはよほど時間をかけて念入りにやらなければならないようです。
臼蓋形成不全に対応するには、他から移植した骨を、股関節のすり合わせの部分の延長部分に固定する方法もあります。
スピッツィー式などの手法がありますが、RAOのほうが一般的です。
IV.キアリ式(Chiari Method)
骨盤の、股関節のすり合わせの部分より上を、外側にずらして固定するものです。
私の場合は、RAOとの併用になりました。
この方法も治療成績は良好なようですが、出産に悪影響があるというデメリットのため、女性には不向きとされています。ただ、最近ではキアリ式も方法が改良され、女性の患者に適用するケースも増えてきました。
V.ソルター式(Salter Method)
股関節のすり合わせ部分の真上に、楔形の骨を差し込む手法です。
主に幼児向けの手法とされているようです。
VI.内反骨切術・外反骨切術
外傷による脱臼や、重症の先天性股関節脱臼で歩行困難の患者に対して行われる手法です。
骨盤側にはメスを入れません。このため、変形性股関節症の手術としては一般的ではないようです。
VII.手術に伴う副作用
手術後に、患部付近の血管に血栓が生じ、それが流れて肺の血管をふさぐ「肺塞栓症」の発生が報告されています。肺塞栓症が発生すると、呼吸困難から最悪の場合死亡に至るケースもあります。
ただし、肺塞栓症の主たる原因は生活習慣病なので、運動による生活習慣病の改善が困難である以上、食生活を改善する以外に方法はありません。すなわち、動物性脂肪やコレステロールを多量に含む食品の摂取を極力減らす、野菜&魚中心のメニューに改める、間食を減らす、禁煙や禁酒、といったことを実行するのが肝要です。
VIII.手術以外による矯正法
各種整体治療が行われています。
末期患者で手術が不要になった事例も多数報告されています。
「太平洋海霧研究所」のアンケート結果においても、重症の患者ほど医療機関を信用できないという意見が多いので、整体治療は選択肢に含めて間違いはないと思います。
現在医療機関を利用されている方も、整体師からセカンドオピニオンを戴くのは一向構わないでしょう。