I.前後左右、自由自在に動かせる関節
股関節は、皆様御承知のように、骨盤と大腿骨の間の関節です。
大腿骨の先端(骨頭部)がほぼ球形になっており、この部分が骨盤のアーチ状の部分(寛骨臼という)に収まって、前後左右自由自在に動かせるようになっています。
ただこのままでは外れやすいので、筋肉で骨盤と大腿骨をつなぐような形になっています。
II.股関節の欠陥はなぜ起きるのか?
育児の際、おむつなどで締め上げるのが最大の原因だと言われています。
締め上げることにより、大腿骨の中心が寛骨臼の中心と一致しなくなり、臼蓋部に欠陥を生じたり、最悪の場合は脱臼を招きます。(私の場合は完璧に脱臼していた。)
「先天性」とはいわれていますが、発生原因を考えると「先天性」という病名は妥当とも言い切れません。
いったん痛みが発生し始めると、なかなか改善しません。運動障害のために、可動域制限が拡大し、筋肉の拘縮も発生します。
III.発生した欠陥は元に戻せるのか?
残念ながら戻すことはできません。
詳しくは後述しますが、この変形性股関節症は、安静にしていても悪化する、厄介な病気です。
むしろ股関節を適度に運動させることで、症状の悪化を抑えるのが妥当です。
このため、やたらと運動を制限する医者から引き続き診察を受けることは、当方としては誤診の経験もあり、あまりお奨めできません。(特に患者が学童期にある場合)
IV.進行の程度と症状
●前股関節症:臼蓋形成不全のみで、痛みは全く発生しない。運動障害も少ない。
●初期:寛骨臼に硬化が認められるが、痛みはほとんどない。運動障害も少ない。
●進行期:寛骨臼や大腿骨頭部に硬化が認められたり、表面がざらざらになったり毛羽だったりする。痛みも発生する。運動障害が出始める。
●末期:寛骨臼や大腿骨頭部がボロボロになる。激しい痛みを伴う。運動障害のため、歩行は困難、ないし不可能。
(私の股関節は、1982年11月の手術直前にはこの状態にありました)
手術により状況を改善することは可能ですが、前股関節症のレベルより改善することは不可能です。それは、電気製品を故障のために電器店に修理に出しても、初期状態の性能に戻らないのと同じことです。