発達障害は統合失調症の免罪符ではない
テーマ:広汎性発達障害、アスペルガー症候群僕はアスペルガーは正常域から重い人まで連続していることもあり、自分の判断でアスペルガーを狭くとっていると思っている。また狭くとか広くとかと違った意味で、特に正常に近い人たちの挿間性の精神病状態はできれば告知せず治療していく方針にしている。これはすべてそうしているのではなく、本人にとって最も良いと思えるような接し方をしているだけだ。この理由は、このブログをいつも読んでいるような人には、きっとわかっていただけると思っている。(参考)
昨日から、アスペルガーのテーマで連続的にエントリをアップしているが、これは突然、躁状態になってそうしているのではなく、ほとんどは今までに書いたもので、半ばボツ原稿だったものばかりである。なぜこれまでアップしなかったのかは、内容をみれば明らかであろう。僕のブログの読者は発達障害系の人たちがあんがい多いので遠慮していたのである。またこういう内容だからこそ、小出しにせずに一気にアップすることにした。こういうのを時間を開けて時々アップすると、その度にブログが荒れるだけだからだ。同じ荒れるなら、一度に思いっきり荒れた方が良い。
広汎性発達障害に属する様々な疾患群は一般向けの書物も多く、自ら専門家と言っている人たちも多い(参考)。またアスペルガーの当事者も本などを書いているので、情報は非常に多い疾患群といえる。だからこそだが、たくさんの書籍などの中であえて触れられないこともあるのである。それこそ、今回の一連のエントリで僕が書いたことである。僕は精神鑑定にも関与しているので、いろいろな奇妙な犯行を見ていることもある。
発達障害に関連する人たちがとても多いということは、そこに利害関係が生じる。それは書籍販売や講演会などである。もし、アスペルガーの暴力性や触法性などについて詳しく本に書いた場合、さまざまな批判を受ける上に、本も売れなくなるだろう。まして講演会にも呼ばれないだろう。つまり、ある程度発達障害の当事者、家族にリップサービスというか、ある種の迎合をしないとやっていけない面があるのである。だからこそ、真剣には語られないのであろう。
いつだったか、過去ログで、
書店に行ってみるとわかるが、精神科の一般向け、あるいはセミプロ向けの書物はあまりにも多すぎる。あれは玉石混交であるが、実際は石ころが大半であるのが実情だ。(「精神科は本が捨てられないこと」から)
と書いた事がある。結局、本などで食っている人たちは、ある程度のユーザーへの配慮が必要なのであろう。僕はなんでもかんでも発達障害などと診断しているように見える人たちが、いざ発達障害が疑われる少年による犯罪が起こった時、「彼は発達障害ではなく誤診である」とか「あの犯罪はアスペルガーらしくない」などと言い始めるのが信じられないのである。
人を殺した人は急に発達障害ではなくなるんですか?
と逆に聞きたい。なんでもかんでも発達障害と診断することは、ある種の家族へのサービスになっている。少なくともさほど抵抗がない診断名だからだ。こういう二重基準の原因は、彼らが常に当事者とその家族の支持を得なくてはならないからである。僕からはどうみても書籍や講演会の営業にしか見えない。彼らの書籍がアスペルガーを含む発達障害のすべてを語っていないことが誤解を生んでいると思う。
だから、今回の一連のエントリは「アスペルガーが誤解される」という意見が出るのである。実は全くの逆なのであるが。その点で、あの書籍群が「玉石混交どころか石ころ同然」と言われてもやむを得ない。
僕はアスペルガーと診断された時、家族が喜ぶのは「統合失調症でなかったこと」が大きいと思っている。なぜなら、それまで統合失調症と診断されていたり、あるいはその治療のために副作用が出ていたという過去の事実があるからである。アスペルガーの家族が時に精神科医に攻撃的となるように見えるのは、結局は優しい家族が多いからと思っている。
精神疾患全体で見れば、統合失調症より良いとか悪いとかいう議論はあまり意味がないし、アスペルガーだから特に良かったということもないと思う。カタカナで表示される診断名で、しかもよくわからないようなもので、一般の家族には世間体が良いだけだ。精神疾患はあくまで絶対値の軽重を重視すべきで、社会適応できるかどうかで疾患の困難さの判断が変わってくる。社会的な視線で見れば、アスペルガーが統合失調症より良かったかどうか微妙だ。
このブログは特に誰かにサービスする必要がないので、僕が臨床や鑑定で実際に見てきたことをそのまま書いている。時間が経てば、おそらくこのようなことも議論されて来るだろうとは思っている。なぜなら、いずれは避けて通れない精神症状と思うからだ。何かを隠蔽する姿勢はこの精神疾患の理解を阻み、しかも一般の人たちの偏見も生む。
実際、発達障害でも触法性のない人たちも多いので、その比較なども今の段階では語れないと思う。まず、すべての情報を提出しそれからいろいろ良い方法を考える。このブログでは臨床の経験から、恨み、暴力、触法性にも何か方法があるのではないかと、個人的な意見を書いている。
先ほど触れた二重基準なんてサイエンスとは程遠い。そういう姿勢が精神医学や精神鑑定が胡散臭い、信用に足らないものと思われる原因となっていると思う。
参考
①頭部外傷から統合失調症になるのか?
②統合失調症の寛解という意味
③社会的な目線での統合失調症とアスペルガーの共通点
④精神疾患と暴力、触法性
⑤2ちゃんねるとアスペルガー
⑥発達障害は統合失調症の免罪符ではない
⑦赤