放送法の「契約」を考える


地域スタッフの来襲になすすべもなく敗北して3年、再度の襲撃を受けた。
「ケーブルテレビ入ってます?では衛星受信料が必要です」とのこと。BSなぞチャンネル変えるときに通過するだけ。
「そんなものに貴重な金を払えるかー!」此度は負けまいと理論武装するべく情報収集していたとき、あるサイトで「NHKの提示する契約内容を不服として、こちらからNHKに契約内容の代案を提示している」といった様な書き込みを発見した。
「へぇーそんなこと出来るんだ…………デキルノ?ナンデ?ドーユーリクツダ?そういえば「契約」ってナンゾヤ?」

これが以下の内容を考え出したきっかけです。この書き込みをしたお方は私の“心の師”と呼ばせてもらおう。今そう決めた。

(注:私はあくまで法律に関してはド素人です。ド素人の感想文にすぎませんのでそのつもりで。
一応専門家(かは存じませんがきちんと法律学として学ばれた方)からは、“契約”についての考え方としては間違ってないと思うよ みたいなお言葉はいただきましたが。裁判で勝てるかは別として ってのが暗に含まれてますけど)


(申し訳ないがいきなり話は脱線する。)

まず、最初に確認しておきたい事は放送法32条 『協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし…(略)』 "契約"がいつの時点で行わなければならないか、である。

放送法にはこれについて明確には記載されていない。
「日本放送協会受信規約」には

『第4条  放送受信契約は,受信機の設置の日に成立するものとする。』
とあるが、これはあくまで「受信規約」であって「放送法」ではない。

受信規約って何?と問われると 冒頭にこうある。
『放送法(昭和25年法律第132号)第32条第1項の規定により締結される放送の受信についての契約は,次の条項によるものとする。』 つまり、放送法第32条第3項
『協会は、第1項の"契約の条項"については、あらかじめ総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。』 に従って作られた契約内容である。

受信規約=法律と勘違いされてる方がいるようだが間違いである。
受信規約は法律ではない。
『第4条  放送受信契約は,受信機の設置の日に成立するものとする。』
は放送法第32条の
契約をした者のみが守らねばならない単なる約束事であって、契約をしていない者が守るモノではない。

(そもそもこんなおかしな文はないと思うのだが…私には理解不能です…

例えば地方から進学の為に上京した若者を想像してみよう。
4/1 引越。一人暮らし開始。と同時にテレビ設置。ホウソウホウ?なにそれ?うまいのか?
7/1 地域スタッフが
"御理解御協力の御願い"で来訪。いままではたまたま留守だったようだ。放送法?そんなんあったんだ…ふーん、知らんかった…まぁいい、契約しよう。

さてここで問題。
彼の契約日はいつ? 7/1? でも
“受信規約が拘束力を持つ”とすれば、第4条的には4/1に契約成立? その場合受信料は4月分から払うの?えっ?払わなくていいの?それって免除
それって放送法違反じゃーないのカナ?(放送法32条第2項.協会は、あらかじめ総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信科を免除してはならない。)
はい、NHKさん罰金ね。(放送法第55条.次の各号の一に該当する場合においては、その違反行為をした協会又は学園の役員を100万円以下の罰金に処する。 …第32条第2項若しくは…の規定により認可を受けるべき場合に認可を受けなかつたとき…)
となる?実際には罰金払ってないとすれば、
“受信規約が法的な拘束力を持つものではない”とNHKが自ら証明している、ということか?うーむ……。話がそれたので戻ろう)

では契約していない者はいつまでに契約しなければならないか?
結論としては、放送法には記載されていない為、
"期限は無い"のである。
期限を設けたければ 32条
『協会の…を設置した者は、〈いついつまでに〉協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし…』としなければならない。

さて、これをふまえて本題にはいります。

私は典型的な理系技術職の人間です。法律に関しては生活する上での最低限の知識しかありません。(それすら無いかも)そこでふと思いました。「契約」って何?

なんとなくイメージはあるものの、じゃあ契約の定義って何?と聞かれると皆さんは答えられます?営業職なんかについてる人はある程度は分かっているのでしょうか?私にはサッパリワカリマセン。
ということで現代はインターネットという文明の利器があります。「契約」でいろいろ検索して調べてみました。でるわでるわ。今訪問販売とか悪徳商法とか盛んですからね〜。
その絡みが多いのですが、とても明快に書かれているものを発見。

『契約には近代市民法の原則として「契約自由の原則」があるとされています。契約自由の原則というのは、

@「契約の相手方は自由に選択できる(当事者の自由)」
A「契約の中身も自由に決められる(内容の自由)」
B「契約に一定の様式は要求されない(様式の自由)」
C「契約を結ぶ義務はない(締結の自由)」

……ということを指します。実際にはこれらのことは例外もあるのですが、この例外は法律でたいてい定めてありますから、法律をあたればわかるということになりますし、法律がなければ契約は契約であるがゆえに拘束力を持ちます。
 さて例外にあたる法律なのですが、契約の存在は認めて、しかし契約の拘束力を否定する理由というのはかなり限定的です。ある種の契約についてはその契約について定めてある中で、契約の拘束力を否定する規定を探すことになります。
…中略…
(中略部分はチンプンカンプンだったりして)
ところで契約はいつ成立するかと言えば、それはお互いの気持ちが通じた時です。……って言うとなんかなんかですが……。契約は通常「……してほしい」「いいよ」ってやりとりでお互いの希望が合致していることをお互いが確認して成立することとなります。あくまで「合意が拘束している」のです。そしてこの合意が一見成立しているように見えて、実は成立していない場合というのが、世の中には結構あって結構問題になります。
 あと、意外に誤解があるのが「契約の方式に制限なし」ということで、「書面に押印がないと契約は成立しない」って誤解が結構あります。契約は書面なんかなくても押印がなくても、合意があることを双方が確認できれば契約は成立です。(略)』

(いや〜、これはとっても分かりやすい文章で助かりました。全く無知の私でもとても理解しやすいです。ちなみに私が一番理解しやすいのを選択して引用させていただきましたが、「契約自由の原則」で検索してみてください、同内容の記述が他にもあるはずです)

『契約は通常「……してほしい」「いいよ」ってやりとりでお互いの希望が合致していることをお互いが確認して成立することとなります』『契約の方式に制限なし…』
うんうん、なるほど。契約書のやり取りもなしに受信料払った行為で契約だというNHKの理論はこの辺からか…。 ン?いや無理臭くないか?
「お互いが確認」しとるとは言えんだろ。
『そしてこの合意が一見成立しているように見えて、実は成立していない場合というのが、世の中には結構あって結構問題になります。』
ソコだー!!NHKはまさにそれ。この先が詳しく知りたいが今回の路線とはちょっとズレるから別の機会に勉強しよっと。

本題に戻すと、ここで注目したいのは契約自由の4つの原則です。
そして
『実際にはこれらのことは例外もあるのですが、この例外は法律でたいてい定めてありますから、法律をあたればわかるということになりますし、法律がなければ契約は契約であるがゆえに拘束力を持ちます。
フンフン、ナルホド。 ってことは
"契約が契約であるがゆえの拘束力"を持つ為には "法律で定められた例外"以外については、契約自由の原則が守られなければならない と読み替えて間違っていないだろう。(と思う)

では、放送法第32条に言う「契約」の場合はどうだろうか?"法律で定められた例外"はどこにあるか?
もう一度放送法(第32条)を確認してみましょう。
『"A:協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者"は"B:協会"と"C:その放送の受信について "の"D:契約をしなければならない"。…(略)』

@(当事者の自由)…A及びBによって"相手方"を定めている。
A(内容の自由)…C?→後述
B(様式の自由)…これは定めていないな。確かにNHKの契約方式は
「悪い意味で」様式がない。
C(締結の自由)…
Dで思いっきり例外として定めている。アイタタタ…。
(本来はまず、「契約」を上記の様に制限する法的拘束力があるのか自体の議論もあるのですが、ここではそれは敢えて100万歩譲って拘束力があるものと仮定して先の話をしたいと思います。)

さて、ここで注目したいのがA「契約の中身も自由に決められる(内容の自由)」です。
"
C:その放送の受信について"だけでは"契約の中身"とは言えません。
これ以外で契約内容についてうたっているのは
放送法第32条第3項
『協会は、第1項の契約の条項については、あらかじめ総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。』
です。ここでもやはり
"契約の中身"までは定めていません。 又、"誰が契約内容を作成するか"についても定められていません。
定められているのは、
条項(つまり契約の内容)変更する時を含め、 「協会」「総務大臣」の「認可」「受けなければならない」ことだけです。
(ポイントは「協会」「受けなければならない」というところです。これは後で使います

契約内容「契約自由の原則の例外」として法律で定められていなければ、 契約が契約として拘束力を持つのは「契約内容の自由」が守られている場合に限られる。
守られなければそれは
「契約」と名のついた別物である。

さて、じゃあ「契約内容」はどう決めるか?
現在は
NHKが一方的に都合よく作った契約内容が、 唯一総務大臣の認可を得たものとして存在しています。

我々はこの契約内容を受け入れなければならないか?
もう一度参考文の文章を思い出してください。
『契約は通常…お互いの希望が合致していることをお互いが確認して成立することとなります』 つまり「お互いの希望が合致」「お互いが確認」がなければ契約は成立しません。
放送法に
『…契約をしなければならない』って書いてあるけどいいの?なんて心配は無用です。 「お互いの希望が合致」「お互いが確認」のない契約は「契約」って呼び名がつこうが 32条でいう拘束力を持つ契約とは別もんです。

例えば通常の社会の中で、「契約する意思はあるが、条件が気に食わない」ってことは普通にあるでしょ?その場合最初に提示された契約内容を絶対としないで、お互いが合意できる契約内容にする様話し合ったりもするでしょ?(もちろん契約拒否という手段もあります)
これがつまり
「契約内容の自由」だと(私は)思ってるんですが、 これと全く同じ事がNHK受信契約でも可能です。可能でなければ前述の通り「契約」としての拘束力を失う事になります。

【※今回の文章を製作中にガボ氏から「これを明記したら?」的に(もしくは「オマエの言い方はワカランノジャ!もちっとまとめて書かんカイ!」と)下記のコメントを頂きました。私がここまでゴチャゴチャと書いたことをギュギュッと凝縮して明確に記しておりますので、言葉を変えずにそのままの形で記載させて頂きます。
(注:( )内は私の幻聴です。ガボ氏のお言葉ではありません。)
ここまで読んでくださった方には申し訳ありませんがコレだけ読んだ方が分かりやすかったりして。

1.NHKの希望通りの条件で契約をしなくてはいけない、という法的根拠はない。
2.「放送受信規約」はNHKが作成した「単なる希望条件」であり法律では無い。ゆえになんら拘束力は有しない。
3.契約を受ける側にも希望条件を提示する権利があり、これを妨げることは法的にみても許されない。
4.「契約が合意に達さないこと」は日常的なことであり、違法ではない。

スゴイでしょ?分かりやすいでしょ?最初からガボ氏に書いてもらえって?ワタシモソウオモウ(泣)


結論としては、放送法の契約の場合でもこちらから契約内容を提案してよいのです。
なんせ放送法には誰が契約内容を作るかまでは決めてませんからね〜。私なら、受信料200円/月くらいで視聴者の意見を反映することを条件に入れたり、アンナコトやコンナコトを盛り込みますが。

えっ?総務大臣の認可?変更する時も必要?なるほど、確かにそうです。でも思い出してください。32条第3項に「協会」が「受けなければならない」と書いてあったでしょ?だから私が総務大臣に認可をもらうことはしたくともできません。できないからダメということはありません。 協会(NHK)が認可してもらってきてください。ただそれだけの事です。

ナニ?NHKが断るトナ?そうですね。拒否してはいけないと法文で書いてあるわけではないですしね。当然の権利かもしれません。
しかし、少なくともこちらの提示した契約内容を持ち帰りNHKとしてどこまで受け入れられるか、私に対してどう譲歩を求めるか云々の検討はするべきではないですか?私だって自分の契約内容をゴリ押しする気はありません。モノによっては譲歩する気はありますよ。
そういった事もせず一方的に拒否するとゆーことは、
私が放送法の32条の契約をNHKに求めて拒否されたって事で良いのカナ?そーゆーことだよね?NHKさん?

まぁ少なくとも私が契約を拒否してるとは言えないですよね。交渉してるだけですから。
「契約交渉中」又は「契約の保留の状態」という言葉が妥当でしょうか。

ちなみにわざわざ自分で契約内容を考える必要は無かったりします。
「私が合意できる契約(内容)を作って持って来なさい。あ〜早く放送法守りたいな〜 と言っても同じ事ですね。私の場合も実際は契約内容考える頭がないのでこっちのパターンになっちゃうでしょうね。

最後にもう一度。NHKの放送の映る環境にあるテレビがあるにもかかわらず、 「テレビがないから」と言ってウソをついて契約拒否することは確かに違法行為にあたるかも知れません。
しかし代替契約内容を提示して(又は提示を求めて)それをNHKが拒否し、契約が成立しない場合は、違法行為にはあたりません。
ごくごく「当り前の」且つ「法的に認められた」主張を「当り前に」してるだけです。

【YONE殿より以下の御指摘を頂きました。

『放送法施行規則に下記の項目があります

> (契約条項に定める事項)
>第六条  法第三十二条第三項 の契約の条項には、少くとも左に掲げる事項を定めるものとする。
> 一  受信契約の締結方法
> 二  受信契約の単位
> 三  受信料の徴収方法
> 四  受信契約者の表示に関すること。
> 五  受信契約の解約及び受信契約者の名義若しくは住所変更の手続
> 六  受信料の免除に関すること。
> 七  受信契約の締結を怠つた場合及び受信料の支払を延滞した場合における受信料の追徴方法
> 八  協会の免責事項及び責任事項
> 九  契約条項の周知方法

よって、代案の契約書もこれらの条項が最低でも必要になるかと思います
もっとも、
七項の契約の締結を怠ったの項目はNHKの規約でも欠落してますから、受信規約は、施行規則違反、よって放送法三十二条にも違反していると解釈していますが(^^;)』

御指摘ありがとうございました。
皆様、契約内容の代案を提示する場合は「○○を□□と置き換える」とか 「△△を追記する」とかは大丈夫ですが、「○○を削除する」という場合には この部分にかからないように気をつけてくださいませ。】


(04.05.24)
NHKの
インターネット営業センターの[Q.受信料を払っていない人もいる]の説明の中で「契約自由の原則」についてちょろっと書いてあるそうです。皆さんも是非御覧ください。
あえて詳しくは書きませんが、かな〜り苦しい言い訳してます。それを書いちゃったら逆効果じゃないの?ってくらい。ちなみに「契約内容の自由」に関しては何にも書いてありません。


(05.07.29)
「受信契約にも契約自由の原則は適用される」こと自体については過去国会でも確認されているようです。(
71-衆-逓信委員会-6号 昭和48年03月08日91-参-決算委員会-6号 昭和55年03月28日) 詳しくはトップページからもリンクさせて頂いているfriendly様の「NHK受信料を考える」内にて国会答弁抜粋含め言及されております。是非御覧ください。