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2009/05/16

昔話-その23-

さて、それでは「学園特捜ヒカルオン」の話です。
なんだかんだで長くなってしまったので、3回に分けます。

この作品は87年1月に発売されていますが、制作は86年の夏にスタートしています。
劇中の季節が夏なのは、そのためなんですね。

企画は、本当にすぐに決まりました。
たしか企画書すら作らなかったと思います。

発売元はネットワーク。
バンダイビジュアルの前身の会社です。
ただし、ヒカルオンはピンクノイズシリーズという15禁のシリーズだったため、C.MOONというブランドで発売されています。

ヒカルオンは、「コール・ミー・トゥナイト」に続くピンクノイズシリーズの第2弾だったと思います。
制作上の条件は、15禁作品なのでソフトエロのシーンを入れることくらいでした。
制作費は決して良いとは言えなかったと思いますが…
当時は、特撮ヒーローへの熱い情熱がほとばしっていた時期ですから、そんなことはどうでも良かったんですよ。

ただ…この作品で、思い入れとか情熱だけで作品は作れないということを思い知らされることになりました。

当時は、ワープロなんて持っていませんでしたから、脚本はレポート用紙に手書きで書きました。
脚本の段階では、形になった作品とはまったく違う内容でした。
イメージとしては、ヒーローものというよりは、2時間サスペンスドラマの方が近かったかもしれません。
特撮ヒーローものの模倣がしたくて始めたはずだったのに、脚本を書いているうちに、何故かそのヒーローものの要素が邪魔になってしまったんですよ。

とりあえず、その脚本でクライアントからのOKはいただけたのですが…
問題は、その脚本が長すぎて、とても30分では収まらないということでした。
それまで脚本なんて書いたことはありませんから、加減がわからなかったんですね。

脚本は手直しすることなく、そのままコンテに入ったのですが…
ヒーローものをやりたいのか、サスペンスドラマをやりたいのか、テーマがブレたまま作業に入ってしまったため、結果とっちらかってしまいました…

Aパートのコンテを終えた時点で、あまりにも地味だったため、Bパートからはヒーローものに強引に軌道修正したのですが手遅れでした…(スケジュール上、Aパートは既に作画に入っているので修正不可能…)
オールラッシュの段階で、正直やっちまった…と思いました。。。

それでも、この作品は必要以上に豪華な原画陣や渡辺宙明先生が音楽を担当してくださったこともあり、そこそこは評判になり、そこそこは売れたみたいです。
でも…正直、僕の中には後悔しか残りませんでした。
この後、あれほど好きだった特撮ヒーローものへの情熱も一気に冷めてしまったのを覚えています。

原画陣は本当に豪華でしたね。
ざっと書き出すと…

金田伊功 いのまたむつみ 亀垣一 松原京子 鍋島修 長岡康史 南波一(野田卓雄) 飯島正勝 つるやまおさむ 榎本明広 内田順久 大平晋也 山崎理 牟田清司 杉山嘉苗 田村英樹 山下将仁 本橋秀之 中山勝一 那州雪絵 高橋久美子 金田牧子 今隈眞一 越智一裕

うーん…凄いぞ(笑)
本当にありがたいことです。

オープニングは、コンテと作画監督は僕がやっていますが、原画は全部金田さんにお願いしています。
オープニングプレゼンターという表記は、原画という表記だけでは申し訳なかったので、僕の考えた造語になります。
金田さんには、オープニングの他にも、異世界でのぴえろのシーン、ジャストバンブレイクのシーンをお願いしました。

那州雪絵さんは、あの花とゆめで連載された「ここはグリーンウッド」の作者、漫画家の那州さんご本人です。
この時期は連載の準備をしながらナンバーワンに席を置いてアニメーターもされていたんですよ。
ヒカルオンでは、原画の他に主人公とヒロインの私服のデザインもお願いしています。

僕自身は、本作では原画はほとんど描いていません。
描いたのは変身シーンの数カットくらいでしょうか…

次回は音楽に関するお話になります。

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