「やおら立ち上がりましたRX78ガンダム、ルナチタニウム白銀(しろがね)おどしの装甲に白檀(びゃくだん)みがきの籠手(こて)すね当て……」。人気アニメ「機動戦士ガンダム」と伝統芸能の「上方講談」を融合させた「ガンダム講談」で人気を集める講談師の旭堂南半球さん(33)が17日、東京・阿佐ヶ谷で講談会「第2次ガンダム講談一年戦争」を開いた。
アニメに登場するモビルスーツ(ロボット)「ザク」をイメージした薄緑と濃緑のはかま姿で汗だくになりながらアニメの名シーンを再現する。張り扇で講釈台を「バン、バン」とたたきながら、歯切れの良い軽妙な語り口で観客を「ガンダム」の世界へと引き込んでいく。この日は、「ガンダム大地に立たすな!」など3話を披露し、集まった観客から拍手喝采(かっさい)を浴びた。
ガンダムとの出会いは7~8歳。「魅力は奥の深さ。講談とガンダムは構造が似てるんです」と語る。南半球さんは低迷する講談の世界を憂い、子供のころから大好きだったガンダムをネタにすることを思いつき、「絶対にいける」と確信。06年から大阪で「ガンダム講談」を始めた。昨年9月からは大阪と東京で8カ月にわたり、毎月1回ずつ「ファーストガンダム」の世界を講談にして演じきった。
今月からは「第2次~」と題して大阪と東京で毎月1回のペースで再開。今月23日には横浜市内でも講談会を開催する予定のほか、札幌や福岡での開催も検討中だという。
メディアにも取り上げられるようになると知名度も上がったが、野望は尽きない。「夢はガンダムのアート展。ガンダムの水墨画やガンダムの演劇、バンドや紙切りや伝統芸能。ただのおもちゃじゃなくてアートにまで高めて、世界規模で開催したい」と目を輝かせる。そして「ガンダムのテーマパークも作りたいし、コロニーも本当に作りたいんですけどね」と笑った。【栗原拓郎】
2009年5月17日