Central Review
2006年11月号 第百二十一年第十一号
定価800円(本体762円)
編集後記
★三〇〜四〇年ほど前、大阪府高槻市の教育委員会は、市立中学校から府立高校を受験する際、中学校ごとに生徒が受験する高校を一方的機械的に割り振る進学指導、「高槻方式」を周りは自由選択なのに単独で導入しました。「全ての生徒に一〇〇%合格」を目標に、教育関係者が勝手に始めたもの。生徒にしてみればいい迷惑で、志望は一切勘案されず拒否すれば嫌がらせを受けます。他校ですが私の友人は体育館に全校生徒を集めた中でつるし上げを食いました。私も希望があったので担任に徹底して苛められました。後にも先にも、あれほど程度の低い環境に身を置いた事はありません。その後、進学した隣町の高校がナンバースクールの旧制中学以来の充実した教育環境であったことから、なおさらその感を強くします。
★「戦後民主主義」を、公立の教職者の方々が力説されるのをよく耳にします。しかし、現実の教育現場で生徒達が晒されていたのは、民主主義とは一八〇度反対の「戦後社会主義」。結果としての平等を達成するために、生徒の希望、努力までも、集団の暴力で圧殺する。公立教育への非難が、この実態に対する民主主義的な怒りであることを関係者は理解しているでしょうか。
★話は変わりますが、今号限りで長らく副編集長としてこの雑誌を支えてくれた木佐貫治彦が書籍編集局に異動になります。会社員としては必要なステップですが、いずれこの欄の執筆者として帰ってきてくれると思います。
(間宮)

公立校は立ち直るか
学校には“経営力”が必要だ
三〇〇〇人の民間校長をリクルートせよ
対談
 藤原和博 中井浩一

ルポ●品川区教育改革の今
親子の本音が招く、
人気校への雪崩現象

小林哲夫

安倍新政権のキーマンが語る
水準を満たさない学校と
不適格教師は退場してもらう

下村博文

“公教育”の
知的プラットホームを再建せよ

内田 樹

「空中戦」と「地上戦」の見えない行方
「自民」化する小沢民主党は、
「民主」化する安倍自民党に勝てるか

伊藤惇夫

連続企画●新世代の日本政治研究(5)
国民とコミュニケーションをとれるか

安倍首相のメディア戦略がはまる隘路

逢坂 巌

『お腹召しませ』第一回中央公論文芸賞受賞記念
武士だって腹を切るのは嫌だった
対談 浅田次郎 磯田道史


親王ご誕生
「世継ぎ待望」という重圧に打ち克つ
扇 千景








フランス王侯貴族断絶に学べ
鹿島 茂

日本の財産のため、議論は慎重に
工藤美代子

早急に悠仁親王を支えるシステムを
八木秀次

皇室典範改正は避けられない

井上茂男

「日ソ共同宣言」の罠、プーチン領土発言の背景を読む
北方領土は本当に返ってくるか
袴田茂樹

日韓間領土問題の大胆な打開策
竹島を「消す」ことが
唯一の解決法だ

芹田健太郎

「恐怖の文化」と対峙するアメリカ
“自由社会の盟主”はどこに行く

渡辺 靖


ノーベル賞作家の「告白」の波紋
ギュンター・グラスが落ちた
「歴史リスク」の罠

熊谷 徹


北朝鮮帰還事業の爪痕
日朝間の問題は“拉致”だけではない
脱北帰国者は
我々の行動を待っている
対談 坂中英徳 田 月 仙

旧ソ連極秘文書から読み解く
「北」のシナリオと工作
菊池嘉晃

より幅広い集団的自衛権の検討を
T・S・フォーリー


時評 2006
ローマ法王の誤算 池内 恵
「都市のカリスマ」が東京にあるか 茂木健一郎
死刑執行をテレビ公開せよ 藤原智美

日本人の体育
徹底データ解析
子どもを蝕む
肥満と筋力・持久力低下
藤原勝夫

サッカーくじと共倒れする
日本のスポーツ環境
共同執筆● 新 雅史 中澤篤史

古武術からの発想▼
日本人古来の動きを取り戻せ
甲野善紀

平成十八年度谷崎潤一郎賞発表
選評
井上ひさし/筒井康隆/池澤夏樹/川上弘美
文学的近況
蛹のような小説  小川洋子

スターリン批判をめぐる
半世紀前の情報戦と日本の無邪気

佐瀬昌盛

ルポ▼ 日本漁船の銃撃、拿捕事件の現場を歩く
国の領土“無策”が招いた悲劇
菊地正憲

連載小説
孤灯〈第七回〉赦免
横山秀夫

鎌倉傘張り日記(69)
養老孟司

自由時間(23)
池内 紀

『細雪』とその時代 (8)
川本三郎


連載小説 (7) 蓮の花
宮尾登美子



グラビア 連載/コラム