ファースト・チルドレンは健在なり

第壱話 はじめに

第参使徒、サキエル襲来

使徒と呼ばれる巨大な謎の生き物が第3新東京市に襲来した。
僕は碇シンジ。
ほとんど捨て子同然に親戚の家に預けられていた僕だけど、突然父さんに呼ばれて第3新東京市にやってきた。
捨て子同然に放置していたクセにいきなりなんなんだよ!?
しかもやって来て早々、いきなり巨大ロボット…じゃなかった、人造人間エヴァンゲリオン(略してEVAらしい)に乗って戦えと言われた。
…放任主義で扶養の義務を放棄したヒトがいきなり何言うんだ!!
と僕は思ったから、その時父さんにきっぱりと「イヤだよ!!」って言って断ったんだ。
そしたら目の前に移動式ベットに包帯グルグル巻きの、どう見ても重傷な女の子を運んできて、彼女を乗せるとか言い出したんだ。
(後に彼女は綾波レイという名でファースト・チルドレンでエヴァ零号機専属パイロットだと知った。)
何だよ、ソレ。
断るとまるで僕が悪人のようじゃないか!!
…なんだか乗らざるおえない状況に追い込まれてしまった僕は、かなり嫌々エヴァに乗ることになった。
(この後、父さんが"ニヤリ"と笑いしたらしい。これもシナリオの内だってことなの?)
エヴァに乗り込んだ時に僕はそれまで生死について真面目に考えたことなんてなかったのに、もう遺書を書かなきゃいけないのかと、僕はエントリープラグの中で数十秒ほど悩んだ。

…で、僕はこの正体不明の"使徒"に勝ってしまった…。
普通に戦って、ミサトさんの指示を聞いて攻撃して…
(本当言うと、ミサトさんの指示なんて聞いちゃいなかった。)
え? 初号機が暴走して勝ったんだろうって?
違うよ。暴走とか、そんなわけのわからないもので勝ったりしてないよ。
ちゃんとエヴァを操縦して使徒に勝ったんだ。
そりゃもう、使徒なんかボコホゴに蹴って蹴って蹴りまくって勝ったんだ。
リツコさんが言うにはエヴァは0.1%も動く可能性のないものだったらしい。
だからある意味、この戦いで僕が勝った事は凄いコトだったみたい。
僕って実は天賦の才能があるのかな??
いい気になってもいいのかな?
僕はその時、一気に"世界を救った勇者"気取りになった。

第弐話 〈彼女がいない〉のだった――本当だ!

第四使徒、シャムシエル襲来

僕はいつの間にか、
『エヴァ初号機専属パイロット、サード・チルドレン』
ということになってしまっていた。
思い切り、どさくさにまぎれてネルフスタッフの一員にさせられてしまったようなんだ。
…で、なしくずしに事が進んで、気が付くと大酒飲みの作戦部長(ミサトさん)とほぼ半強制されて、一緒に生活することになってしまったんだ。
そして僕はそのまま第3新東京市に住むハメになってしまった。
ああ、まるでゴキブリの湧きそうなマンションに家事と命がけの戦いを14歳の子供に押し付けるような人と一緒に住まなきゃいけないなんて…

なんて自分の人生を嘆いている間に使徒が襲来。
今回は共に戦う仲間が…綾波と零号機が…
と、思ったら零号機担当の綾波はまだ入院中。
今回も僕一人。
前回の戦闘の結果で、僕は今回も『楽勝かな?』と、高をくくった。
…と、思ったら使徒にボロクソに叩かれて初号機暴走。
気が付くと僕は見知らぬ天井を見ていた。
そう、僕はしばらく入院するハメになってしまったんだ…。

第参話 ここに、そしてシトに

第伍使徒、マトリエル襲来

…僕は入院中なのにいきなり使徒襲来。
…初号機のみ参戦。
零号機は? 綾波は?
そう思って抗議したら、どうやら綾波はまだ入院中らしいので僕と初号機が出撃することになったらしい…。
………
って、ソレってなんだかおかしくないか?!?!
その僕だって入院してるじゃないか!!
僕はいいのかっっ?!?!
僕はものすごく不公平を感じつつ、一応、その戦闘では勝った。

第四 時間のかかる戦闘

第六使徒、レリエル襲来

僕はやっと退院出来た。
でも綾波はまだ退院してない。
でも…次こそは綾波は参戦してくれるハズ。
と、思ってたら今回も参戦は初号機のみ。
また僕一人だけなの?!?!
憤慨に思って、嫌々戦いに出たのだけど、気が付くと僕と初号機はディラックの海に飲み込まれてしまった。
僕がディラックの海に飲み込まれている間、僕の心はアッチの世界に行きかけたけど、どういうわけか自力で脱出した。
初号機が暴走したらしい…。
後から話を聞いたところによると、僕(というよりも初号機)の強制サルベージ作戦をしようとしていたらしい。
その強制サルベージ作戦の要項は、
現存するN2爆雷を全て投下、さらにエヴァのA.T.フィールドで使徒の虚数空間に1000分の1秒だけ干渉してその瞬間に爆破エネルギーを利用してディラックの海破壊する
…というものだったらしい。
(ちなみにリツコさん曰く、『パイロットの生死は問わない』らしい…ヒドイよ、リツコさん…。)
…でもちょっとおかしな作戦だよね?
初号機が一機だけしか参戦してないのにさ。
その初号機がディラックの海に飲み込まれてるのに、一体どのエヴァが使徒にA.T.フィールドをぶつけるつもりだったんだろう?
僕の初号機はディラックの海の中で音信不通だったんだ。
A.T.フィールドを発生させろと命令されても聞こえるはずなかったんだ。
…というか、本当に初号機をどうやってサルベージしようとしていたのか謎。
…………
もしかしてこの時だけ綾波と零号機を参戦させようとしたのかな…。
…で、奇跡的に還って来た僕はディラックの海の中でトイレにも行けず、食事もせずに閉じ込められていたせいか、かなり衰弱していたので入院。
はぁ…ついてないよ…。

第伍話 銃

第七使徒 ラミエル襲来

ディラックの海から生還してからずっと入院していたのだけど、やっぱり使徒、襲来。
今回の使徒は鉄壁の防御(A.T.フィールド)と強力な加粒子砲で100%狙い撃ちな奴らしい。
僕はいい加減戦いたくなくなったから病室のベットでふて寝していたら父さんから呼び出し。
そのまま呼び出しを無視して寝てようかと思っていたら、僕は強制連行されて初号機に乗るハメになってしまった。
しかも今回も参戦するのは僕一人。
綾波は?
僕は初号機で防御役ナシでポジトロン・スナイパー・ライフルを一丁持たされて一人で放り出された。
なんだか、すごく加粒子砲に狙い撃ちされそうな気もしたけど…。
でもなんだかんだ言って結局一撃で使徒を沈めた。

第六話 シンジの面倒をみて

第八使徒 サハクィエル襲来

あれからどれだけたったんだろう…?
やっぱり綾波は退院せず。
僕はあの日…、
そう、包帯巻いて移動式ベットで運ばれてきた綾波を一度だけ見て、その後は一度も綾波の姿を見てない。
…なんて綾波のことを考えていたら、使徒、襲来。
巨大な目玉のような使徒で衛星軌道上から落下してくるらしい。
…で…ミサトさんはものすごい作戦を立てた。
初号機のみで空から落ちてくる使徒をスーパーキャッチ!!!
ウソだろう!!何かの冗談だ!!
とか思ったけどミサトさんは本気だったらしい。
エヴァ一機でどうやってあの使徒を受け止めつつ、攻撃するんだ?
というか、僕の命ってこんなに粗末に扱われていいの?

結局僕一人で使徒を受け止めなんとか殲滅。
初号機大破、僕は当然ながら重体。
ミサトさん…やっぱり僕を殺す気だったの…?

第七話 人の心が見抜けない女

第九使徒、ガギエル襲来

結局僕は長期間の入院の後にやっと退院出来た。
そしてたまたまネルフ本部に行ったら、ミサトさんとぱったり会って、
「新しいエヴァとパイロットのお迎えよ」
とか言って僕を半強制的にお迎えに連行した。

彼女が来日するらしい。
…アスカ、来日。
というか、そのアスカのお迎えをしに行った途端にそのまま使徒、襲来。
タカビーな彼女(アスカ)に女性用プラグスーツを強引に着用させられて弐号機に同乗。
そして彼女は陶然の如く使徒殲滅。

第八話 協力者アスカとの〈型〉

第拾使徒、イスラフェル襲来

アスカが来日してやっと僕は一人で戦うという日々を終えた。
そして使徒、襲来。
紀伊半島沖に現れた使徒をアスカ=弐号機と共に水際で殲滅!!!!
…のはずが思い切り負けた。
二体に分裂した使徒は僕=初号機を犬神家の一族よろしく、海に突っ込んでくれた。
そしてアスカ=弐号機は畑に突っ込まれていた。
結局再戦はエヴァ二体同時加重攻撃。
A.T.=シンクロ率が高いパイロット同士を組ませて戦うらしい…。
…………
…というか、アスカしかいないんですけど…ミサトさん????
…それとも今回は綾波が参戦するの???
………
結果、アスカと組んだ。
そして勝った。
綾波は??
綾波はどこ??????
っていうか綾波って生きてるの??????

…その後も、使徒が襲来した。
そして僕とアスカが組んで使徒をやっつけた。
(もう綾波はいないものと思っておくことにした。)

(飛んで)第拾弐話 きみなんだ!

第拾四使徒、タブリス襲来

ある日、フィフス・チルドレン…エヴァパイロットとしてやってきた経歴不詳のカヲル君…
実は、使徒タブリスだった。
…………
…………
が、
『僕はね、君と生きたいんだ』
の、僕のセリフでカヲル君をあっさり説得。
仲間に引き込む。
…そして残る使徒はあと二体のみ。

第拾参話 青色の靴音

第拾伍使徒、アラエル襲来

精神汚染をする使徒だった。
僕とアスカはピンチ!!

ところが、

いきなり零号機がロンギヌスの槍を投げて使徒殲滅…。
あ…綾波…。
いたんだ…いつの間に…。

第拾参話 レイ、食い違う

第拾六使徒、イロウル襲来

最後の使徒はどこからともなく進入してきたバクテリアのような小さな使徒。
爆発的に増えて、そのままMAGIに進入、ハッキングをしたらしい。
ここはリツコさんの分野で僕らエヴァパイロットは御用無し。
僕はアスカを探して第七ケージまで行った。
そしたらカヲル君と話している青い髪の女の子を発見。
うーん…どこかで見たことあるような気がするけど…。
って…
あれってまさか!?

「碇君…?」
「綾波…だったっけ?」
「もう、ネルフのスタッフと話をした?
 これから、いろいろお世話になると思うから、挨拶をしておいた方がいいと思うわ。」
「言いたかったのは、それだけ。…じゃ。」

僕はしばらく絶句していた…………………。

END

この話は私がエヴァ2をプレイしていて実際に起こった話。
エヴァ2掲示板にも投稿して、どういうことか質問したけどバグみたいなものらしい。
というか、それまで一人で盾訳無しでラミエルを倒し、
一人でサハクィエルをキャッチし、
一人でディラックの海に落ちて、一人で帰ってきたウチのシンジ君に花束を(笑)
ちなみに今回のタイトルとサブタイトルのモトネタはサンリオSF文庫から出ていた
"スタージョンは健在なり"から。
改稿: 2005/06/27
初出: 2005/03/27
Author: AzusaYumi