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「怖くて助け呼べんかったん…」祖母語る…女児遺体遺棄

聖香さん祖母涙
「真相明らかにして」

 「声を上げると怒られると思って、怖くてよう助けを呼ばんかったんかな」

 大阪市西淀川区の小学4年松本聖香さん(9)の遺体が遺棄された事件で、聖香さんの実父の母、佐光(さこう)真佐子さん(59)は13日、読売新聞の取材に応じ、改めて事件への怒りと悲しみを語った。かわいがっていた孫娘が死に至った経緯は、まだ分からないまま。「なぜ死ななければならなかったのか。捜査で真相を明らかにしてほしい」と訴えた。

 「聖ちゃんがおった場所やで」。告別式翌日の先月29日。真佐子さんは聖香さんの姉(10)と双子の妹(9)を連れ、聖香さん宅のマンション前を訪れた。名も知らぬ人たちが供えてくれた、たくさんの花や菓子があふれていた。

 甘いものが大好きだった孫娘のために、チョコレートとジュースを供えた。手を合わせて見上げると、聖香さんが閉め出されていた4階のベランダが。「こんな所で……」。涙とともに、やり場のない怒りがこみ上げた。「虐待するくらいなら、せめて『おばあちゃんのところへ行け』と言ってほしかった」

 真佐子さんは、夫の健治さん(60)とともに、西淀川区内でお好み焼き店を営む。孫たちは時々、店に遊びに来て、エビ玉を好んで食べた。食の細かった聖香さんは昨年、ようやく1枚を食べられるようになっていた。小学1年の頃には携帯電話を使いこなし、「こうやったら音も鳴るよ」と教えてくれた。「利発な子でね。将来、パソコンを使い始めたら、すごい事するんちゃうかな、って想像したこともあった」

 2年ほど前から、聖香さんの母親の美奈容疑者(34)が、なぜか孫たちの身の回りの世話をしなくなった。真佐子さんは、髪をぼさぼさにした聖香さんらを度々銭湯に誘い、ブラシをかけ、新しい髪留めで髪を結ってあげた。「おばあちゃん、ありがとう」。無邪気に喜んでいたあの笑顔。

 息子と美奈容疑者が離婚した昨秋以降、会えなくなっていた。虐待を受けていたとは。数か月ぶりに対面した聖香さんは、すでに荼毘(だび)に付されていた。

 「小さなのど仏の骨が、びっくりするほどきれいに残っていた」。最期をどんな思いで逝ったのか。真佐子さんは毎日、神棚に祈り、語りかける。「聖香、天国に行きよ」

母ら3容疑者を起訴

 松本聖香さんの遺体が遺棄された事件で、大阪地検は13日、美奈容疑者と、内縁の夫の小林康浩(38)、その知人の杉本充弘(41)両容疑者を死体遺棄罪で起訴した。大阪府警は、聖香さんが度重なる虐待によって衰弱死した可能性が高いとみており、死亡経緯について捜査を進め、殺人や保護責任者遺棄致死容疑などでの立件の可否を検討する。

 起訴状によると、3容疑者は共謀、4月6日午後10時40分頃、大阪市西淀川区の小林容疑者の自宅マンションから聖香さんの遺体を車で運び出し、7日午前0時頃、奈良市柳生下町の墓地に掘った穴に埋めた、とされる。

 府警の発表では、小林容疑者は、聖香さんが自宅ベランダで死亡しているのに気づいたのは「4月6日朝」としていたが、その後、前日の「5日夕」と供述。室内に遺体を運んだ後、帰宅した美奈容疑者、自宅に呼び出した杉本容疑者と3人で遺棄方法を相談。墓地に埋め、家出を装って捜索願を出すことを小林容疑者が提案したという。5日夜、3人は聖香さんの遺体を自宅に放置したまま出掛けていた。

2009年5月14日  読売新聞)

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