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揺らぐ「症例定義」 立て続けに想定外

 大阪府内で女子高校生らの新型インフルエンザ感染が濃厚になったことで、医療行政関係者の間では、感染が拡大している国に滞在した人らを対象とする国の「症例定義」への疑念が広がっている。すでに感染が確認された神戸市の高校生も海外渡航経験はなく、立て続けに確認される「想定外」のケースに、国が定義の抜本的な見直しを迫られる可能性も出てきた。

 女子生徒が通う茨木市の私立高校では13日以降、インフルエンザとみられる症状を訴える生徒が続出し、2年生を学年閉鎖とする措置をとっていた。

 しかし、府や保健所が本格的に「新型感染」を疑うようになったのは、神戸市の生徒の感染が明らかになった16日午前以降。担当者は「神戸のケースが出てきて、初めて症例定義に疑問を持った」と話す。

 厚生労働省は、38度以上の熱などの症状を訴え、「新型インフルエンザが蔓延(まんえん)している国や地域に滞在、旅行した人」などを、新型インフルエンザを疑う症例として定義づけている。

 同日午後には大阪府の部局長らでつくる「府新型インフルエンザ対策本部」の会議が開かれたが、担当の健康医療部は「あくまで念のための検査なので」という理由で、女子生徒の検体が府立公衆衛生研究所へ搬入されていることは報告していなかった。

 16日夜の会見で府健康医療部の笹井康典部長は「検疫をすり抜けることはありうると思っていたが、従来の症例定義に合わないケースがこれだけ立て続けに出てくるとは…」と言葉を詰まらせた。

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