2009年05月15日
初めて挨拶をした時、目の前にいる女性の瞳は揺れながら輝いていた。
まるで夏の夜空に煌めく天の川のようにキラキラと輝き、微笑む顔はみずみずしく生気に満ちあふれ二十代半ばの女学生のように思えた。
女性の研究者と聞いて、もう少し大人の地味な女性かと思っていたが、予想を裏切り若く魅力的なM先生が目の前数十センチに立っている。
しかも、まばゆい視線を向けながら...思わず抱きつきたくなった。
丁度その時、二人の顔を交互に覗き見る準教授の視線に気がつき、何とか衝動に打ち勝つことが出来た。
人間には情動反応という物があり、知らず知らずのうちに本能が働くらしく、どうやらスケベスイッチがONになってしまってたようだ。
とにかく今は準教授の存在に救われた。
危うく初日からいきなりクビになるどころか、逮捕されてニュースにされてもおかしくない。
心の中で安堵しながら視線を外すと、彼女の両手がこちら向かって伸びて来てきそうな雰囲気になった。視線を顔に戻すと瞳は更にまぶしさを増していた。どうやら彼女のスイッチもONになっているようだ。
しかも、単なるスケベスイッチではなく、超どスケベスイッチ(学術名:スキモノスイッチ)がONになったらしく、準教授の姿さえも目に入ってないようだ。
これは何かの夢だろうか?...とっさに「はじめまして」と小さな声で会釈した。
「はじめまして...かなぁ」と言葉が返り、瞳の光は静かに消えていき、手が伸びてくることはなかった。
2008年7月7日
広島大学 原爆放射線医科学研究所。
ここで働く助教のM先生はマウスの実験を行なっているようだが、何をやっているのか自分には良くわからない。
もともと専門でもないのに加え、本来3人の研究者が共同研究を行なうはずが、教授と準教授が喧嘩してグループが2つに分裂している。
自分は準教授に雇われ、M先生とは別のグループだ。
「あっ、今日は七夕ね、何か良い事がありそうな気がする」
M先生が他の職員と会話を交わしているのが聞こえたが、自分は初めて使う謎の実験器具に悪戦苦闘の最中で七夕の話どころではない。
ただ何となく少し前の出来事が頭をよぎり嫌な予感がして、なるべく近づかないように努力することにした。
意識するなと言われても、白衣を着た美人博士の存在そのものが掟破りに思えた。
そして何よりも旦那さまが同じ大学内にいて、小さな子供のいる1児の母だなんて思えないほど若々しく見えた。
きっと超どスケベスイッチの働きで女性ホルモンが瞬発的に増加し、先生を若返らせていたのかも知れない。
世の中には色々な美容にまつわる商品が売られているが、超どスケベスイッチが最強だと思った。
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女性研究者って、小難しい事ばかり口にする性格の女性を思い浮かべるけど、そんな事はなく、ごく普通の会社勤めの女の人だ。
上司の目を盗んではおしゃべりしてるOLと全く同じだ。
「あたし、あんな彼氏が欲しい」と、あちこちで言ってくれるのは嬉しいが、そんな事を言ってると変な噂を流されて大変な事になるに決まってる。そんな時は黙ってメール送ってくれればいいのに、意外とお馬鹿さんね。
しかし、多くのスケベじじいの憧れの的である美人博士に、こんなこと言われるとは夢にも思わなかった。とても名誉なことだ!
何よりも先生のスキモノスイッチをONにする事に成功したのだから、一定の成果を上げたと言っても過言ではない。
M先生は「女心が分かってない」って、廊下ですれ違う度に背中をなじるけど、男なんで女心なんてわかる訳ない。
仕方がないので、iTunes storeにあるPodcastの「★男女の心理学★知りたい!相手の気持ち」をダウンロードして勉強して見る事にした。
先生!今度、一緒に聞いて解説して下さい。
ついでに正しい夜の女体研究のプロトコールをお願いします!!!
「誰が味方か分からない」って嘆くけど、若い美人博士ってだけで嫉妬される上に、権謀術数渦巻くあんな所に味方なんているわけないよ。
そんな時は電話してくれれば味方になってあげるし、いくらでも愚痴聞いて悩み相談に乗って上げるのにね...でもね、あんな息苦しい所で一生懸命頑張ってるのは立派です。
専門分野以外はおこちゃまレベルで小学生みたいで、しかもスキモノスイッチがONしやすい。
そんな先生みたいな彼女が欲しいけど、さすがに周囲にバレたら無理だと思う。
結局、アメリカに行ったのかどうか知らんけど、スキモノスイッチが常時ONしてると新型インフルエンザにも打ち勝てるかも知れません。
スキモノスチッチって凄いね!
帰って来たら先生みたいな良い子紹介して下さいね。