将棋界のこれから
 来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、来年の抱負を書きます。
 公益法人改正は私が考えていたよりもずっと大変です。まず情報を全てオープンにすることから始まります。要は社団法人日本将棋連盟が「良い団体」と評価されることにある。
 ポイントは3つくらいです。
 ひとつは普及活動が支出の半分を超えているかどうか。対局は技術の研鑽であって柱のひとつです。対局でもなく普及でもない金が棋士だけに配当できるかどうか。

 プロだけでなくアマチュアファンにも有益かどうか。教育をはじめ高齢者に至るまで多くの人々に好かれているかが団体としての評価です。

 先ずはプロ棋士の一致団結が第一手です。現在は私が会長です。私を支持して欲しいと捉えられると心外ですが、自分達が選挙で選んだ理事会は任期内は一任もしくは協力することが大切。大いにディスカッションしてゆきたいと思います。
 今までは、悪口もしくは言わない方がと思うようなことも多々ありましたが、これからは全てオープンにして万機公論に決すべし、と進めてゆくつもりです。
(2007/12/27)


平成19年十大ニュース

 これは将棋界における私個人にとっての十大ニュースです。あくまでも個人からみたものです。

@会長再任
 5月の総会で理事になり、互選の結果会長に。任期2年。

A増収2億4700万円(但し赤字)
 この一年間で大幅な増収になりました。インターネット、新聞、テレビ、理研等々の合計額です。しかし、それでいて来年5月には「正味財産減」の予想です。構造的なものを改革する必要があります。どげんかせんといかん。

B名人戦共催スタート

C大和証券杯スタート
 プレイベントのボナンザVS渡辺明戦は大変な反響でした。インターネットの公式戦誕生は、私の最大のヒットだったと自画自賛。

D将棋倶楽部24入手
 久米宏さんのご好意で将棋連盟と一体化しました。これからどう事業、普及に役立てるかは若い人の智恵次第でしょう。私はここまでで充分役割達成と思っています。

E理研とタイアップして「脳の研究」スタート
 富士通社が億の協賛金を拠出して脳の研究がスタート。社団法人が「ノーベル賞協力賞」がもらえるかも。

F学校教育課設置
 学校教育の中へ将棋を入れる。これはとても大事なことです。東京都内で76校。大阪は少し遅れてのスタートで50校。組織的に日本中に広めたい。正課もあれば部活、放課後クラブといろいろです。まだスタートしたばかりで全国展開を目指します。

G女流分裂
 6月7日に女流棋士界が分裂。17名が退会して新団体を結成しました。
 40名が残り、谷川治恵会長を中心に「私達は社団法人日本将棋連盟が好きです」と宣言。法外な要求をすることなく、今まで通りで幸せという人達です。両団体ともども応援して下さい。

H伊勢神宮へ奉納対局
 今年の竜王戦は伊勢神宮で行われました。前日には人長の舞を神様に奉納しました。史上初のこと。

Iあり閉店
 新宿2丁目の「あり」が閉店します。35年間の営業だった1000円で二日酔いする超高級バーでした。TEL:03-3356-0955
(2007/12/23)


囲碁名人就位式

 朝日新聞社の囲碁名人の就位式に出席しました。東京會舘です。
 名人になったのは張栩さん。秋山社長、岡部弘日本棋院理事長、塩川正十郎関西棋院理事長の順に挨拶された。そうか囲碁は新聞社がひとつで、団体の方が共催になっとるのか。
 3人のご挨拶も良かったと思いますが、圧巻は張名人の謝辞です。彼は台湾出身なのです。加藤正夫の生き写しかと思われるような顔立ちとしゃべり方でした。
「日本の囲碁界の方々に本当に感謝します。これからも日台友好のためにお役に立ちたい」

 乾杯の音頭が終ってすぐに、秋山耿太郎社長と米長会長が固い握手。張名人と3人でハイチーズ。
 将棋の就位式と同じようでいて、違う所も多々あります。大勢の参会者の中で私の知り合いも3〜4割いる。張名人の言葉を聞いただけでも行った値打ちはありました。
 岡部弘理事長とも話をしました。お互いに頭の半分は公益法人改正をうまく乗り切れるかどうかにあります。ローストビーフがおいしそうだったので、一皿平らげて退出しました。
(2007/12/16)


女の戦い

 今は昔。あれは30年程前のことでした。将棋連盟を建て替えるとき、品川の日本棋院の空き家を間借りしていた時のことです。
 どうしてこんなことを思い出したかというと、12月7日に会館建設委員会の準備会があったからです。谷川委員長を選出して、タイトル保持者達が熱い議論を行っていました。
 30年前は大山委員長で、名人戦を戦っている中原、米長は使い走り。棋士達は一丸となって寄付集めに奔走しました。その最中のことです。
 新人の女子職員が入ってきたのです。当時は職員は僅かで、棋士が兼業しているということが多かったです。女子社員の先輩の方が新人にいろいろ指示やら訓示を与えていたようです。
 入社まもなくのこと。その新人女性は、いつもの指導している女性に対して、いきなり平手打ちを食らわしたのです。私は観ていませんでしたが部屋の中には女性二人と佐瀬勇次七段が在室していました。
「ヨネさん。ビックリしたよ。いきなりパシって音がして、片方の女性の頬に手の跡が残っていたんだよ。いや驚いたのなんの」
「あの強氣の女性に切れたんでしょうか」
「一発パシっとしてね。私辞めます、と言い残して部屋を出ていったんだよ」
「先生、つかぬことをお伺いしますが」と30才ちょっとの米長理事。
「先生は残った方の女性に声をかけましたか。それとも出て行った方に氣を遣ったのでしょうか」
「ヨネさん。それどころじゃないよ。口も利けなかったしバツは悪いし、えらいものを見たってところだ」

 昔はこんなこともあったんですね。今は職員も契約社員もアルバイトの人達も、皆仲良く働ける職場になっています。女性も覚悟を決めると恐いです。こわいこわい。
(2007/12/9)


東京都の将棋界

 各都道府県には県連合会がある所と未だ無いところがある。現在34ヵ所ですので、あと10ちょっとで全県で連合会が作られることになり、私もそれを望んでいます。
 東京都には無い。これは大変な問題です。現状では本部の普及部が受け持っている催しも多いのですが、東京都にも連合会を立ち上げ、出来るだけアウトソーシングを計りたい。
 アマチュアだけとは限りません。プロ棋士、女流棋士はもちろんですが、私がもっとも期待しているのは指導棋士です。彼等は元奨励会員という人が殆どです。アマチュアの大会に出て優勝を狙う人と、普及活動に精をだしている人とに別れますが、勿論後者の人達です。
 支部長、普及指導員も多くいます。これから皆さんに声をかけて組織化しての普及活動をしてゆきたいと考えています。ボランティアも尊いですが、やっぱり少しは金になるというか、持ち出しは無くても済む、くらいの方策が必要不可欠と思っております。
 埼玉、神奈川、山梨は県連が大変良くまとまっています。これからは、その三県を見習って、良い組織作りに専念したいと考えています。プロの特権を捨て、アマのつもりで日本将棋連盟の看板を最大限に活用したい。アドバイスを宜しくお願いいたします。
(2007/12/2)


普及サミット

 久し振りに京都へ行きました。文楽も鑑賞。東福寺の紅葉も見事でした。
 24日は京都にて指導者サミット。全国いくつかのブロックに分けて、アマチュアで将棋の普及に務めて下さっている人々に集まって頂き意見を聴いて、夜は皆で酒。午後1時から午後8時までの間は全て無料です。現地集合、現地解散。
 多くの意見が出た。それ等に対して即答出来るものや約束出来るものはすぐお答えする。宿題として持ち帰るものは、必ず早々にお答えを発信します。又ディスカッションもする。
 東京からは会長の私、普及正担当者の桜井常務、大阪からは淡路常務が出席しました。やっぱり理事達が足を運び、直接話を聴き、そして酒。その姿勢が大切なことと思います。
 来週は金沢にて北陸地区大会です。宿泊代は私の分は出ますが、ズワイ蟹一匹分は私の自腹です。自腹ガニ。
(2007/11/25)


普及会議(学校編)

 将棋を学校教育の中へ。今の子ども達は自ら考え自ら答えを出すというのが不得意なようです。将棋がその手助けをしたい。
 現在東京都内の小中高へプロ棋士や女流が教えに言っているのは76校です。授業(総合学習の選択等)もある。クラブ活動もある。放課後の居場所作りもある。
 11月16日午後2時から会議です。女流も参加して総勢20名。運営者側は私と桜井、淡路、中川理事と職員。約3時間の熱心な討議でした。全員がひとりずつ話す。苦労、失敗、喜び。そしてそれらを参考にして又お互いにディスカッションです。
 教え方にも個性がある。公立学校は予算が殆どなく、そこへ棋士が行くことに意義があります。まず都内は東京都教育委員会の協力を得て実施。これからは来年もまた継続してもらい、新規校を増やすことです。関西も始まり東京に負けないように頑張っているようです。

 午後8時45分からのNHKの番組の中で羽生二冠が都立忍岡へ教えに行った授業が放映されました。ここは早水女流が定期的に行っているんですが、羽生が一日特別講師を務めた。ご苦労さま。
 うちの学校も、という方は日本将棋連盟内の学校教育課へお問合せ下さい。
 又、アマチュアの方々の手助けが必要です。全員一丸となっての普及を始めよう。
(2007/11/17)


対局型掲示板

 今日からの対局は今から32年前の升田幸三先生との順位戦からです。
 この一局は升田先生が玉を持ち、私が王を持って指しました。上位者が王、下位者が玉と決められています。升田先生は自らが誤って玉を取って盤上に並べ、私もそ知らぬ顔をして王を並べました。全て並べ終わってから升田先生は玉を並べた事に氣付き、私をジロリと睨みました。
 こんな時は既に勝負が始まっていますから無視です。背筋をピンと伸ばして、目は升田先生を直視するでもなく、目を外すでもない。コメカミから顔を外すという視線で遠くの一点を見つめておりました。

 東京の会館建設時の一局。品川にあった日本棋院をお借りしていました。引越した日本将棋連盟は、短期間のことですから夏は冷房なしで我慢しました。今ならリースというやり方もあるのでしょうが、当時はそんなものはありません。
 私は32才の理事で、中原名人(当時)も20代の理事。2人ともタイトル戦を戦い、寄付金集めに奔走したのでした。現在のタイトル保持者も、これからの会館建設のために頑張ってもらいたい。

 暑い。とにかく暑い。
米長「いいか。この暑さは忘れるでないぞ。もう少し経てば冬が来る。そうすると『あの頃は暖かくて良かったなぁ』と思うようになるのだから」
 先を読むとはこのこと。本対局は寒々しい部屋で指したのを今でも覚えています。

 掲示板の図面はその一局面。あなたも一手参加しませんか。ヘボ手(失礼)大歓迎です。観戦だけでもどうぞお楽しみ下さい。
(2007/11/10)


奉納対局

 将棋が日本の伝統文化の一翼を担う。相撲や武道に比して足りないものがありました。それは神前に於ける奉納将棋を未だ一度もしていないことです。
 竜王戦第二局は伊勢神宮内にて対局をして、その棋譜を奉納しました。史上初のことです。

 10月30日は前夜祭。それに先立って対局関係者一同が参拝し、舞を奉納しました。午後3時から5時までの内宮内でのことは日本将棋連盟の仕切りです。それ以後の前夜祭から2日間の対局、そして11月2日棋譜奉納は読売新聞社が全て仕切る。
 結界、けじめというものが日本文化の源です。従ってNHKの担当者も、その担当者が選ぼうとした人が日本将棋連盟所属の者(プロ棋士、女流、支部関係)以外は入室出来ません。読売新聞社と日本将棋連盟の両者の奉納です。
 素晴らしい祝詞から始まりました。私の知る限りは一番の美声。ついで神様に食事とお札を差し上げた後、奉納主旨の祝詞。余りにも名文でしたので、それを世に広めたいと申し出ましたが「これは神に捧げたものであるからまかりならぬ」と一言。渡辺恒雄様でも日本財団でも駄目。ならぬものはならぬのだ。

 舞を奉納する。人長(にんちょう)の舞です。これは人間が観るのではなく神様に楽しんでいただくのですから、こちらは舞っている人々の後ろを見ることになります。これが一番の奉納なのです。
 内宮の参拝は1.5キロを歩きました。帰路も同じく歩き、五十鈴川の橋を渡ったところで私の役割は終わり、読売新聞社側へ引き継いでもらいました。

 このあとのことは週刊将棋11月7日号、読売新聞の朝刊で山田史生氏の名観戦記でお楽しみ下さい。

 対局は無事終わり、佐藤二冠の大逆転勝ち。負けを覚悟していた佐藤二冠は感想戦で涙ぐみ、落合博満監督と同じくらいに感極まっていたということでした。
 それを聞いた渡辺竜王「あんな勝ち将棋を負けて奉納されるなんて。泣きたいのは私の方です」と言ったとか言わなかったとか。

 その逆転のきっかけの局面が本日の対局型掲示板にあります。あなたも一手ご参加下さい。あ、こっちの方は奉納ではありません。
(2007/11/4)


普及活動

 毎年恒例の将棋の日は今年、11月11日(日)に東京世田谷区「世田谷区民会館」で行われます。久し振りの東京開催で、当日の模様は後日NHKで全国放送されます。
 是非お出かけ下さい。詳しくは連盟ホームページ将棋の日「NHK公開収録イベント」参加者追加募集をご覧下さい。

 全国の普及にも組織あげて取り組みます。
 11月17日には各県連合会長会議があります。
 支部は各地にあります。個人会員もいる。県で一本化して、その県の支部連合会を組織して下さるようお願いしております。とうの昔からある県や、まだ無いという県があります。県連には県大会の運営費等、ささやかではありますが本部(日本将棋連盟)から支援しています。
 11月17日の会議では数県の連合会長に一年間の功績を表彰して金一封を差し上げて労に報いる。会長の私は挨拶(演説)。そして夕食は共に酒を楽しむ。

 支部長、あるいは普及指導員にはブロック毎に数県単位で会議を開く。私も泊りがけで出張して、直接アマチュアの声を聴き、楽しい夕食を共にする。今年は11月24日の京都(近畿ブロック)から始まります。

 多くの人々と会い、意見を聴き、持ち帰って実行すべきものは早々に手を打つ。意見は多くは辛口ですので、参考になることが多い。勿論他に理事や職員も同行します。
(2007/10/26)


とばっちり

 先週のNHK杯・羽生VS中川大輔戦は大逆転で羽生が勝ちました。
「米長さん、ひどい目に遭いました」
「どうしました?」
「日曜日にカミさんと一緒にNHK杯を観ていました。中川必勝の局面で何時投げてもおかしくない。というよりまだ投げないのかという時です。私が将棋を知らないカミさんに『もうすぐ羽生さんが投げるから』と言ったんです。するとですね、
『羽生さんはまだ投げないの!羽生さんは苦しくても頑張るからいくつもタイトルを獲ったのよ。あなたはいつも諦めるのが早いから駄目なの』
そんなこと言ったって、もうすぐ投げるから」
ということで夫婦でテレビを観ていたとのこと。信じられない大逆転であっという間のドンデン返し。「そらご覧なさい」と奥方。
「いやヒドイ。誰が見たって私の言う方がまともだと思うんですが現実は仕方がない。いやはや口は災いの元とは良く言ったものです」
 テレビ画面を通して奥様が、羽生という人物の発する何かを感じ取っていたのを知っているのは私くらいでしょうか。

■マイナビ杯女子オープン
 10月19日の夕べ。毎日コミュニケーションズ社主催の大型女流棋戦発足の宴がありました。女流棋士全員が出席。和服の人も半数近くいました。久々の華やかなパーティでした。
米長会長挨拶。
「名人戦、女流問題等将棋界は波乱に富んだ2年間でした。しかし毎日新聞社の大きさ、懐の広さと、その兄弟会社の毎コミ社社長中川信行氏の英断によって全てが『雨降って地固まる』の喩え通り着地出来たことは大変嬉しく思います。この棋戦が更に発展して、男子プロを凌駕するような女流棋界になるよう皆さん頑張って下さい」
 当日は2時間経っても帰る人が余り居ませんでした。週刊AERAのカメラマンが私を撮り続けています。彼は宝塚の一人一人を撮る人ですが、私にポツリ。
「宝塚にも負けないくらいです。将棋の女流がこんなに若くて美人で、知的な集団とは思いませんでした」
(2007/10/21)


女流棋士会

 女流棋士会が燃えてるでぇ。1月4日に新春ファン感謝デーがあります。これは下記のURLで詳細をお読み下さい。
 現在31名の女流が参加予定です。総勢40名ですから大変な数です。関西在住者や地方の人を除けばほぼ全員が参加ということになります。なによりもその団結、結束が素晴らしい。
 私も当日はご来場の皆さまにご挨拶します。協力する男子プロも大勢いることでしょう。

 紅葉前線も順調に各地で喜ばれているという報告がありました。
 ところで1月4日は将棋会館全館を女流棋士会に開放します。但し、米長会長としては使用料はきちんと払ってもらうんです。女流棋士の役員会もそれは承知です。全てが独立採算です。

 女流のタイトル戦も同様に職員、光熱費等々比率に応じて分担してもらいます。その結果、女流棋士の皆さんは日本将棋連盟から助成金が出ていたのか、それとも保護されていたかがはっきり分かります。
 全て金銭的に明確になった後、協議して納得した形で楽しい普及、落ち着いた対局をしてもらう。ピンハネしていたならばその分はお返しします。女流棋士界の皆さんには女性だから助成されていたことがお分かり頂けているようでした。
 女流棋士の普及面での貢献度は大変なものです。何はともあれ女流の皆さんは谷川治恵会長を中心に「女流棋士になって良かったなぁ」と思えるような会を運営して下さい。
 勿論社団法人日本将棋連盟は100%全面協力体制です。
(2007/10/13)


対局規定

 社団法人が二年後以降にも「立派な法人」として認可されることが一番の関心事です。そのために会長として頑張っています。
 我々の団体の意義はふたつです。
イ.対局によっての実力向上、技術の研鑽
ロ.普及活動を中心にして人々に喜びや感動を与える。
要するに対局と普及です。このふたつさえ組織としてしっかりやれば認可されるのだろうと楽観しています。
 勿論手は打つ。今日は対局についてです。

 対局は対局通知を棋士に発送することから始まります。それに対して、同封してある「対局通知受領書」に署名して返送するのです。殆どの棋士は返送するのですが、返送しない棋士の場合は「万一のときは返送したものと看做し、職員が発送した控えを優先。不戦敗を含め全ての責任は返送しない棋士にある」と条項に明記してあります。
 又、返送しない人には電話を掛けているようです。職員の皆さま、余計な電話をご苦労さま。その電話代の総計は将棋連盟の出費です。

 対局場に来なかったケースはどうするか。対局規定の第一章はたった3項目しかありません。
@棋士は対局をすること
A規定以外の出来事については現理事会が措置をすること
B以上の2項目を改正する時は、棋士総会の決議を経ねばならない

 対局通知とその受領書は極めて大切なものであって、手合課も苦労しています。対局場に現れずに不戦敗になった時は理事会が措置を決めますが、事務局の手違い等と責任転嫁している人が一人だけ居るとも聞いています。もしも、そのような全く見当違いの主張をマスコミ等に流したり、自らのHPに書いた者がいるのであれば、それは不戦敗よりもはるかに罪が重いことです。100倍以上罪が重い。

 棋士にとっては対局通知と受領書のやりとりは、対局で相手と一戦交えるのと同等の重要なことなのです。
「対局に負けたのはお前のせいだ」
「対局場に来れなかったのはお前のせいだ」
このような棋士は皆無と信じていますが、もし存在すれば理事会ではなく、主催新聞社やファンの声が全てを決定するのでしょう。

 以上の記載は、2週間前の「不戦敗余話」をお読み下さい。
(2007/10/8)


注目度

 いつまでも暑いでんな。
 将棋界もやっと諸問題が解決し終わりそうです。10月からは普及、ネット等々前進できる体制になりました。万全の体制になりつつある。といっても油断は禁物です。アマチュアの声を聴き、謙虚に、そして大胆に一歩づつ進んでゆく。

 おかげさまでマスコミの注目度、取り上げ方も熱心なうえに好意的になってきた感があります。これも棋士一同が対局には専念、普及には入念と心掛けているのが徐々に広がって理解されてきたからでしょうか。

 加藤一二三さんが千敗を喫し「偉大なる先輩」と報道された。
 中原誠名誉王座が1300勝達成。
 深浦康市王位誕生。
 みんなテレビ、ラジオ、新聞、インターネットにて報道されたのです。将棋界にスポットライトが当たっているようになってきました。
 将棋世界12月号については「まじめな私」をどうぞ。
(2007/9/29)


不戦敗余話

 将棋界にとっての最大の課題はなんでしょうか。私は来年12月からの公益法人の改正だと思っています。それから5年間の間に、現在のような社団法人として認められるかどうか。税の優遇は勿論、世間からも認知された団体かどうか。それについては会長である私もしっかりしなければなりません。

 棋士(社団法人正会員)が対局を一生懸命指し、普及に力を注いでいれば自然に勝利がみえてきます。認められるのは当然でしょう。

 不戦敗の処置につきましては、直接関係した棋士は勿論、内外の関係者から「まあ良いだろう」と一定の評価をいただいたと感じています。
 たった一人ですが、不戦敗をしたことを詫びるどころか職員の落ち度と言い張っている者がいる。彼の場合、自分に落ち度が無いのだから不戦敗は認められないと主張。更に理事会の処分は不当とマスコミにまで話を広めている。焦点は職員のミスなのか本人の過失なのかになってきました。

 私は職員が100%正しく、対局規定通り不戦敗と信じています。問題は棋士です。この不戦敗の判定を是とする人々が全体の4分の3以上居るかどうかに集約されてきました。棋士が職員のミスと思うか、それとも不戦敗の判定を不当と思うかです。
 将棋連盟の職員は一致団結して職員側についているという感があります。今後は職員が懲戒処分を受けることになるか、棋士の4分の3以上が「職員への責任転嫁をマスコミにばら撒いたことは不快」と見做すかにかかってきました。

 本来は素直に不戦敗を認めたうえでお詫びして、そのうえで理事会の処遇は少々重いのではないかという異議申し立てというのが男というものでしょう。既に弁護士を交えての話となり、全ては私の手を離れました。私は不戦敗の判定は覆らないと思っています。棋士のあなたはどう感じますか?
(2007/9/22)


不戦敗について

 最近、5局不戦敗がありました。
 本人の体調不良や突発事故によるものは、事前に連絡があって勝敗のみの結果だけとなります。

 初回のケース。失敗は誰にでもある。厳重注意と若干の罰を加える。次の対局には30分前に対局場に来たりして、全ては良い方向に向っています。

 台風等により、東西交流で来れないケース。本人が行こうとしてたのに行けなかった。もっと早く出発したら良いのにという意見もある。その結果、不戦敗と決定。ただし他の罰金等は一切付与しない。本人に氣の毒な面も多いからです。

 不注意によるもの。これが一番重い。回数が多いものにはそれなりのことをする。8月には罰金100万円他を課しました。
 尚、現在不戦敗5回以下の棋士は3回の人が最多で3人です。不戦敗を1回もしたことのない人は約80%です。1回のみが10%以上。ということは、0回もしくは1回のみの棋士が95%くらいということです。
 1回も不戦敗もせず、しかも遅刻も1回もしなかった人も結構います。棋士はまじめな人が殆どです。引退した西村一義九段や桐谷広人七段がそうです。このような人を表彰すべきではないかと個人的には思っています。

 対局は、2週間以上前に対局通知を手合係が郵送し、対局者は返信を出す。これが公文書による唯一の確認事項です。棋士の中には返事を出さない人もいますが、返事を出さない人は「受け取ったと見做す」と対局規定に明文化されています。
(2007/9/9)


クイズ

 将棋世界10月号の女流棋士特集号は多くの方々から好評らしいです。豊川、窪田両君の顔写真を見た後だけにビックリします。
 女流のトップが4人王座戦に出た。チェコ便りもある。白瀧杯、世田谷区杯もある。
 女流棋士の顔が何人映っているのでしょうか。最多でも39名ですが、10月号に載っている女流棋士は何人か。これを私の掲示板にお書き込み下さい。次の一手とは別にお書き下さい。又、将棋世界誌への要望、感想もあれば宜しく。

賞品
 数をピタリと当てた方の中から抽選です。
 2人にプレゼント。ひとりは私の色紙。もうひとりは女流の着たゆかたを一枚としたいのですが、これは白瀧呉服店が許可した時のみです。却下の時は、私と食事とも考えております。

締切:9月25日正午まで
(2007/8/31)


普及

 普及指導員の皆さまの日頃の活動に感謝いたします。
 アマチュアが金を払って、プロがそれをもらう。このような形態は普及に関する限りは前世紀のような考え方でしょう。プロは対局料はいくら高くても当然ですが、普及にはアマもプロもありません。
 という考えのもと、新しい普及体制を築いてゆきます。普及する喜び、教育の一助になれる喜び、三世代で楽しめる喜び。普及方針は徐々にではありますが、着実に浸透していっているようです。

 将棋世界10月号はビックリしました。女流棋士特集ともいえます。ゆかた姿の女流棋士がカラーグラビアで8ページ。記事中にも至る所に写真が出ています。発売になったら750円持って書店へ行って下さい。
(2007/8/23)


レーティング

 高校竜王戦が8月20日、21日、22日に福岡県で行われました。都築総合学園が協賛。大宰府市ですから学問の中心です。
 この学園は全国に四十数校いろんな学校経営をしていますが、文部科学省から助成金をもらわない。おそらく全国唯一ではないかといつも感心します。
 三笠宮寛仁親王殿下にご臨席賜る。優勝したのは北海道代表の横山大樹君でした。谷川浩司、渡辺明両先生と私の会話。
米長「僕はね。インターネットでは真剣に指すと2650点くらい。ビール飲みながらだと2500点を切るんだけど」
某「あのう。高校生の中で2700点くらいと答えている人がいます」
米長「えっ。それじゃ僕は高校生より下なのか。ワ、ワ、ワタナベ君。君は何点くらいだ」
渡辺「余りやりませんが、大体3000点くらいでしょうか」
米長「・・・・・・」
(2007/8/11)


不戦敗への対応

 暑いせいでしょうか。20日間で不戦敗が3局ありました。不戦敗は2通りあります。
 病氣など体調不良で対局出来ないケース。これは事前に届け出があって止むを得ず負けになることがあります。東京と関西の対局場の勘違い。これもアウトですが可愛い氣がある。寝坊やうっかりミスもありますが、これはごく稀で、昨年度は一局のみです。

 7月中旬に若手棋士が不戦敗。初回でしたので口頭注意と減俸10分の3、1ヶ月。しかし8月上旬になって2局ありました。理事会は週一回。8月は1日と8日でしたがその期間中にあったのですね。
 理事会、そして理事長に相当する私は何をどうすべきでしょうか。ふたつの方策があります。動かざること山の如しか、疾きこと風の如しです。私達がとった策は後者です。これについては私の日記8月10日をお読み下さい。
 先ずはファンに納得してもらうこと。次いで主催社やスポンサーに了承してもらえるよう心掛けることです。それからプロ棋士の過半数が賛意を表すること。一番大事なことは私自身が悪者に徹し切ることでしょうか。

 前例を調べてみると、半年間出場停止になっていました。二人とも前例通りにするのが普通ですが順位戦というシステムは難しいです。順位戦は名人戦につながっているリーグ戦です。このリーグ戦に参加している人と、不参加のフリークラスという二通りの棋士が存在する。前例はフリークラスだったのですが、今回はフリークラスと順位戦参加の棋士の二人なのです。順位戦はリーグ戦で一年かけて戦います。半年分を不戦敗にしますと、労せずして1勝する人々と、後半に1勝を賭けて戦いをする人とに分かれてしまいます。これが公平かどうか。

 理事8名が出した結論は、対局不出場ではなく、それ相当の罰金にしました。前例は104万円余の額と算出。勝てばそれ以上にはなります。理事会の処分決定は100万円の罰金。前例に比べれば大分甘い処分です。
 8月8日の理事会で決定。合議制ですから会長の私も8分の1の意見です。

 翌8月9日には主催社へ出向いて土下座。はい。土下座なのです。
 それほど不戦敗はあってはならないことなのです。ただ、先方が「来てくれるだけでよい。土下座などは頼むから止めて下さい」とおっしゃるので、頭を下げるのみで済ませてもらいました。

 以上の手続きを終わり、将棋関係のマスコミに通知を出し、棋士へも連絡をしました。8月10日の朝刊やyahooのトピックスにも記事が出たのはそういった経緯によるものです。不戦敗発生から4日間で全て結着しました。

 相撲界についての私見は「まじめな私」をお読み下さい。
(2007/8/5)


これからの将棋界(4) 脳と将棋

 コンピュータというかデジタルというか、とにかく通信とコンピュータのソフト、ハードを全て手がけているのが経営戦略部です。一年間で余りにも大きくなり過ぎましたので、近々組織を組み替えると同時に、若い棋士にも加わってもらい、いくつかの委員会方式を取りたいと思います。そうでないと私が居なくなったあとが困りますのでね。

 8月3日の記者会見は約70名の報道陣が来て下さった。理化学研究所、富士通、それと日本将棋連盟の三者による記者会見。将棋担当記者は数名で、あとは各社の経済、科学を担当している人達のようです。
 MRIなどの最新技術を使って、プロ棋士が真剣に考えている頭の中味を解明しようという一大プロジェクトです。
 昨年の6月29日に、Shogi・Super-Brain研究会を発足させました。会議を重ねてゆくうちに、2つの方向性を決めた。ひとつはプロ棋士とコンピュータソフトとの実戦対決です。3月21日の渡辺明VSボナンザがそれです。大和証券グループの協賛で行われましたが、この一局だけで数千万かかるんですね。
 私には良く分かりませんが、このようなイベントには富士通などの会社は余り興味がないというか、お金を出すメリットが無いようです。

 人間の脳の研究。こうなると話が違ってきます。
 基礎研究ということで伊藤正男先生(脳研究の世界的権威)の目が輝いているし、富士通社も金は出すようです。
 記者会見では野依理事長、富士通秋草会長、私と三人が握手。これは生涯の記念になります。2年間を一応の目安としています。さあみんな、将棋を指して頭を良くしたり、認知症予防に役立てよう。
(2007/7/29)


これからの将棋界(3)

経営戦略部
 なんといってもデジタル時代を先取りしてデジタルに関する部を新設したのは若者への遺産の最大のものでしょう。これが経営戦略部です。
 将棋倶楽部24と久米宏さんの法人、個人合わせて社団法人と共に歩むことになりました。大和証券杯のネット棋戦も順調にいってます。

 私の着地点はまだまだ先です、次なるはケーブルテレビ「銀河戦」と社団法人との契約見直し。これは名人戦以上に大きな仕事でした。前任者の森下理事の尽力で、ほぼ満足できる内容になりました。金銭というよりも「新たなるビジネスチャンスに関して大きい。
 何をするのか。
 これから先、インターネットとケイタイ、ラジオ、テレビは連動します。それで先手を打って、次の三通りのサービスをするのです。
1.全て無料のコース
2.普及に役立てるもの
3.有料のサイト
 10年後にはデジタルに関する総収入は10億円以上になるよう今から動いておく。

 無料のままのものは残しますからご安心を。1ヶ月250円から800円くらいの会員制のサイトを思案中です。あなたはきっと「1000円でも安い」と言うのではないかというサービスです。
 若い人の意見も聴きたい。
(2007/7/22)


中越沖地震チャリティー

 7月28日は将棋会館へいらっしゃい。
 毎年7月第4土曜日は日経新聞社の王座戦の一回戦で、女流4名VS新四段4名の対局の日です。来年の予定にもメモメモ。
 今年は午後に羽生王座の講話があり、指導対局もあるようです。日本将棋連盟は急遽、この日の売り上げを中越沖地震の義援金に充てることにしました。
 ゴキゲン中飛車の近藤先生の生家もペチャンコになったらしいです。柏崎市です。
米長「近ちゃん。今度の7月28日は王座戦の大盤解説らしいね」
近藤「はい」
米長「当日の入場料とか扇子やサイン本の売り上げ利益を義援金にしたいけどどうだろう」
近藤「凄く嬉しいです。ですけど予定変更して急にそんなことして良いんでしょうか。前もって計画したものでないと・・・」
米長「近ちゃん、近ちゃん。地震が来る前に計画というのは無理だろう。そこまでは先は読めないよ」
近藤「あっ。その通りですね」

 7月28日は講演、女流棋士や一流プロの指導料を込みですと全てで5000円。大盤解説のみは2500円。当日は女流棋士の一日館長も居ます。隣の鳩森八幡では盆踊りです。こちらは無料。ゆかたであなたも参加してみませんか。詳しくは将棋連盟のHPで。
http://www.shogi.or.jp/
(2007/7/15)


これからの将棋界(2)

 インターネット棋戦の大和証券杯最強戦はいかがでしたか。えっ?まだ登録していない?それはいけない。下記をクリックして登録して下さい。毎週日曜日の午後8時からです。
 登録者数も着実に増えています。インターネットでプロ同士の対局がライブで観れて、しかも無料です。登録する時にひとつだけアンケートに答えるようになっています。
 来週からは団体戦。そして14週後には初の女流棋士トーナメントです。公式戦です。
 来年も又、大和証券協賛のトーナメントが続きますように。

 将棋倶楽部24の取得とインターネット棋戦開始までは私の仕事です。これを継続して更に充実したものにするのは若い人達の仕事。
 そこでいくつかの委員会のひとつにネット委員会も立ち上げます。倶楽部24とケイタイ対応の対局型のビジネスモデル。申し込み社は複数ですが、私の方針は「来る者は拒まず、去る者は追わず」です。
 ケイタイの方は有料になりそうです。申し込んでいる数社とも有料サイトと言っているからです。日本将棋連盟は何もしません。倶楽部24を活用してお金儲けしたい人がいたら「どうぞ」と言うだけです。但し、名義料を少々頂きます。この少々をどう設定すべきか。私の考えよりも若い人の建設的意見に任せたいです。
 その担当理事は森下卓から中川大輔に替わりました。ネット事業は日本将棋連盟が独占的に支配するかに見えて、実は全ての人々に門戸を開放します。それが正しく美しい形態と信じております。

大和証券杯ネット将棋 公式HP
http://www.daiwashogi.net/
(2007/7/15)


偉大なる悪手

 名人戦、棋聖戦と続けてタイトル戦に決着がつきました。
 森内永世名人につきましては7月7日の東京中日スポーツのコラムをお読み下さい。おめでとうございます。

 佐藤棋聖が六連覇を決めた第4局は私の地元甲府で行われました。これからの原稿をお読みになる前に下記のURLをクリックして下さい。図面をみてからお読み下さい。
 第一図で佐藤棋聖は△5四歩と打ったのです。これは5五の桂が取り払われると馬が竜取りになるという事情があるので打った。しかし、このような手はあり得ない。私は「偉大なる悪手」と評しました。
 それから4手進んで第二図。▲6六香は1一に居る竜を馬で取られないための手です。偉大なる悪手△5四歩が、まさか△5七歩成と敵陣へ成り込んで勝つなど誰が予想出来ますか。
 それにしてもヘボ将棋をトッププロが指しているというような妙な感覚になる一局で、すさまじい熱戦でした。

 さて、問題は第二図です。
 私の将棋観からすれば第二図では先手が有利にする手順がある筈と思っています。実戦は▲7五角と渡辺竜王が打ちました。他には▲6三角や▲7七角もあります。
 しかし本当は正解は角打ちではないかもしれません。対局型掲示板へ、あなたの見解をお寄せ下さい。私と第二図から一局指しましょう。

 「まじめな私」も是非お読み下さい。
(2007/7/8)


これからの将棋界(1)
 私が理事(会長)でやり遂げた事、やろうとしている事などを順を追って書いていきたいと思います。いわばこれまでのまとめと、将来の方向性です。

 この数年間で一番大きな出来事は、将棋倶楽部24の営業権取得です。通称・倶楽部24は富士通に勤務していた久米宏さんが、社内ベンチャーとして立ち上げたものです。今では会員数は20万人を超えています。インターネット道場としては棋界最大のものです。
 無料です。24時間、いつでもどこでも誰とでも、楽しく指せるので、倶楽部24なんですね。
 あくまでも個人のものですが、これを社団法人日本将棋連盟のものにしたいと思っておりました。久米さんと私は旧知の仲ですので、思い切って相談してみました。
「タダなら差し上げます。売ることはしません」
いつもこれだから困ります。全く金に執着がないのです。「社団法人だから、高いか安いかはともかくとして、売買契約書を交わしたい」
 ミクシイの件からすると、多分5億円から10億円相当ではないかと考えておりました。

 結局タダ同然の金額で売買が成立。久米宏さんには10年間契約顧問として所属していただくことになりました。
 大和証券杯等の技術面では大変お世話になってしまった。例えば新しいシステム導入について、業者の800万円の見積もりがありました。
久米「私が200万円の実費でやりますから。その方が連盟さんは600万円助かるでしょう」
米長「実費の他に100万円か200万円支払いたいんですが」
久米「ご心配なく。そのまま、そのまま」
万事この通りです。
 私としては何とか名目をつけて金を払いたい。世知辛い現在のご時世では考えられない話です。

 倶楽部24は全て無料です。しかし、ゆくゆくは現在の無料はそのままにしておいて、それとは別に有料サイトの楽しいものを企画中です。これについては特に若い棋士やその仲間の人達に意見を聴きたい。意見だけではなく「自分が運営者ならこれだけは実現する」という姿勢を示してもらえると有難い。
 私が会長になっての仕事で、一番大きなことは倶楽部24取得に尽きます。ただ、日本将棋連盟だけが一人勝ちになることは注意しつつ、大勢の関係者も近づいて来た人には幸せの一部がお裾分け出来るよう心掛けてゆきます。
(2007/7/1)


駒の値段

 トーチュウ(東京中日スポーツ)のインタビュー記事があります。その取材は先週末にありました。
 今さら恥ずかしい60才からの趣味について語る。団塊の世代の人々がもう一度子どもの頃に戻って将棋を指したい。しかし負けたらどうしよう。そんな人へのアドバイスです。
 テーブルに盤を置き話をしていると、カメラマン氏が「駒を並べて下さい」と言うので駒を借りました。将棋連盟でプロが使う駒の一組です。
「米長先生、先ほど職員の方に200万円以上の値段と言われました」
 私が駒袋から取り出してジャラジャラと盤上に置き、一枚ずつ並べてみました。作者は影水。本名・宮松氏で、これは確かに名品に間違いない。勿論材質は御蔵島のツゲ。それも虎斑(とらふ)です。タイガースの掛布ではありません。
 虎斑というのは木目に黄金色の縞模様が入っているものを言いますが、四十数枚、同じ感じの駒を揃えるのは大変です。将棋の駒は合計40枚ですが、上級駒には余り歩と称して一枚余計に予備の駒(歩)があります。更にそのうえの駒には歩が2枚余計にある。驚いたことに、その駒は歩が3枚余計にありました。合計21枚の歩です。珍品ですね。
「この王将一枚でも10万円はします。歩でも5万円というところでしょう」

 撮影が終ったら駒をしまいます。先ず王と玉を入れる。次に飛車と角を2枚ずつ。それからは金、銀、桂、香を4枚ずつしまう。それから歩を数えます。これが正しいしまい方で、駒が無くなったりはしない筈なのです。
 久々に名品に触れて、私も良い氣分になりました。吹けば飛ぶよな将棋の駒かと思ったら、意外に高級品もあるのですね。
(2007/6/24)


大詰めの大和証券杯

 大和証券杯ネット棋戦もいよいよ大詰めです。
 日曜日の夜8時からトッププロ同士の対局が無料で観戦できるのですから多くの人がインターネット対局を楽しんでいます。一応は登録制になっていますが、極めて簡単ですので下記のURLから登録して下さい。私も登録してあります。適当なハンドル名とパスワードを自分で勝手に打ち込むだけです。困ったことに私はビールを飲むと忘れるんですね。登録するときは一応本名だけは記入しますので、別のものをという訳にもいかずこれは要注意。パソコンに貼り付けておきましょう。
 7月8日が決勝です。羽生が優勝するのかどうか。決勝のみ午後2時から大和証券本社で公開対局です。

 ところでここまでは対局者の将棋と解説者のチャットを観るだけでした。これからは双方向性の時代にふわさしく、見ているだけでなくファンの方からも参加出来るようにしたいものです。どうするか。まさか何千人、何万人が同時に参加ということは出来ませんが、何か面白い方法は無いものか。これを思案しています。アイデアがありましたら掲示板への書き込み、あるいはメールを下さい。採用の方には色紙をプレゼントします。

 7月15日の週からはガラリと趣向が変わります。7対7の対抗戦が2回。14週間はふたつの対抗戦を行う予定です。その後は女流トーナメント。華やかで激しい女性達の熱戦を楽しんで下さい。このトーナメントは公式戦です。
 尚、将棋倶楽部24から入会手続きをするのも便利です。いずれも全て無料です。お楽しみに。

大和証券杯ネット将棋 公式HP
http://www.daiwashogi.net/
将棋倶楽部24
http://www.shogidojo.com/
(2007/6/17)


女流棋士
 6月7日に女流棋士会がありました。午前10時に始まり、午後5時近く終了。56名のうち54名(委任含む)が出席でした。
 午後1時までが第一部で、午後1時には新法人移籍のため17名(欠席者あり)が退席。ここからは39名の女流棋士会となります。

 理事室へ中井広恵、石橋幸緒、藤森奈津子三名が代表して私に届け出をしました。女流棋士会の退会届と新法人への移籍届です。17名の印が押してありました。理事5名(中川大輔は対局中)が在室し、私が代表して受理。
 平成19年6月7日午後1時15分。女流棋士会は2つの団体に分かれることが正式に決定しました。

 社団法人日本将棋連盟所属の女流棋士39名による選挙で新役員が決まります。男性の方の選挙方法もユニークですが、女流も変っている。私も初めて知りました。
 あらかじめ女流が誰か他の女流を推薦するんですね。会長は1名、役員は4名です。当日に推薦理由を述べてから、ご当人が立候補するかどうかを決める。会長は3名推薦された人が居ましたが、ほかの2名が降りてしまい、全員が谷川治恵さんを会長承認で決定。役員の方は数名が立候補。投票ですが、1人4名書くことが出来る。これが面白い。男性の方の選挙では定数6に対して3名まで書ける。たいていの選挙は1人1名です。公職選挙は100%そうなっている。
 理事は私も含めて6月7日は忙しいような暇なような丸一日でした。氣楽な時間と緊張した時間とが極端すぎます。選挙予想などやっている。新役員の4名と得票順まで当てた人がいるからビックリします。3連単ならぬ4連単を1点で当てた。

 午後1時40分。山田久美さんに呼ばれました。この直後の10分間は放談室をどうぞ。

 午後2時。米長会長の話20分。西村専務のみ午前10時から会議に出席していました。弁護士同士が今日の女流棋士会の手順、討議内容を文書で取り交わしているのです。女流担当の西村専務のみ会議にオブザーバーとして出席が認められていて、他の理事は待機していたのです。39名になれば、これからは米長会長の出席は自由なので、新役員が決まってから顔を出した。私の挨拶は「まじめな私」をどうぞ。
(2007/6/9)


会長の一週間

 社団法人の会長。5月25日の棋士総会で再任されてからの動きを書いてみました。
 26,27日はプライベートタイム。28日の月曜日からが仕事初めです。午後2時からの理事会でこれからの2年間の方針の打ち合わせ。前理事が何に苦労したか、何が課題として残されているか等々を話し合う。各自が意見を述べていわゆる「閣内一致」を確認するのです。意見が違うのは当然ですから折り合いをつけてゆく。
 普及推進は絶対です。名人戦共催がスムーズに行くように。インターネット棋戦と将棋倶楽部24の更なる発展、そしてインターネット放送局の大構想があります。インターネット対局や観戦は無料が原則ですが、有料サービスも開始したい。
 新会館についてもこれから決めてゆくことになります。女流棋士は新法人に移行17名。社団法人所属が39名。6月7日に39名側の声明が出ることになるでしょう。

 職員一同にも方針の概略を説明しました。仕事のスリム化。必ず持っていなければならない仕事は残し、外部へ発注もしくは委託できるものは出す。
 財政的にはなにも心配要りませんが、ちょっと油断すると赤字になる。将棋と同じで、うっかりするとすぐ形勢不利になるのはみんな一緒です。
 ファン第一。ファンや支部長への対応が悪い者には即目玉。
 これからの2年間宜しくお願いします。
(2007/6/2)