十大ニュース(1)
将棋界の十大ニュースを書き綴ってみました。あくまでも私の感じたまま、独善的なものです。いわば会長としての思い入れ順ですね。
1.名人戦始まる
共催になって初めての七番勝負です。
感無量です。毎日・朝日両新聞社に感謝します。
2.週刊現代
私の連載が始まったのです。この週刊誌に私の原稿が載ることは、私自身にとりましても望外の幸せです。
週刊現代も講談社も運が良くなって欲しい。私がそのお手伝いが出来ればと願わずにはいられません。
3.幻の国民栄誉賞
これは先週の「まじめな私」をお読み下さい。
4.子どもファン急増
JT決勝の日は東京体育館へは子ども2000名弱。当日は6000名以上が来場。
12月23日のアンダー18は東京武道館へ600名近くの子どもとその同伴者が来場。去年の50%増加でした。
都庁における秋の親子ふれあい教室。
東京都教育委員会主催ですが、史上最高の申し込みがありました。半数は抽選で切りましたが申し訳ない。
というのが一例です。普及にたずさわっている皆さんに感謝します。
5.マイナビ女王
矢内理絵子女流名人が初代の女王に就いた。
7月18日の表彰式はビックリ。その衣装代が2000万円とか。美しい女流棋士を見て感動したのは私だけではないでしょう。
新棋戦を創設されたマイコミ社に感謝します。
(以下は「まじめな私」をそうぞ。)
(2008/12/27)
指導者講習会
先週の続きです。2月1日は中村太地四段と長沢千和子女流歌姫が同行します。
私が一時間に亘る講演。そのあと質疑応答。そして若い二人の指導対局があります。
将棋を教えてみたい人集まれぇー。子ども教室を開きたい人。団地の集会場で世話をしたい。孫に教えたい。一緒に遊びたい、学校へボランティア同様で教えに行っても良い。
しかしどのように教え、どのように接したら良いか分からない。実は分からないのはプロ棋士の方かも。
日本中に将棋コーチ網を張り巡らせたいものです。普及指導員の制度もあります。なにかもっと良いネーミングがありそうです。私の役割は地道に基礎を固めることです。
国民栄誉賞のいきさつは「まじめ」の項をどうぞ。
今日から対局型掲示板はその第七局の中盤からです。一手指していって下さい。
(2008/12/21)
指導者講習会
将棋を子どもに教えたい
教えたいがその方法が分からない
こんなに弱くても大丈夫だろうか
そのような人達のための講習会があります。当日は私が1時間しゃべり、質疑応答をし、弟子による指導対局。
全て無料ですが、事前申込み制です。
将棋のルールを知らないが、将棋好きの夫の手伝いをしたい等という奥様は無条件でOKです。
日本将棋連盟は普及活動と対局とを対等に考えるようになりました。
対局に勝る公務なし。これまでは対局至上主義だったのですが、多くのプロ棋士が普及に目覚めてきました。
更に進めて普及はアマチュア主導を打ち出しました。それが普及指導員制度です。そして新たに将棋コーチ制度を設けました。これは普及指導員のお手伝いをして下さる助手のような存在です。
将棋教室を開いている所へ子どもが大勢いる。その子どもの世話をしてくださるお母さんも将棋コーチです。
尚、将棋コーチになりたい方は1000円札1枚(資格証の発行代)と写真2枚持参して下さい。私が直接お話をして認否をします。資格証代は一応はお金を納めてもらうという建前のようなもので、活動状況によって充分に還元される筈です。
現在日本将棋連盟は、アマチュアからの収入が100としますと2.5倍の250くらいの支出をして普及活動に務めております。この中には棋士が学校へ行くときの1万円やそれ以下の謝金も含まれていますから、本来棋士が受け取るべき謝金とはかけ離れた額も含みます。従って250プラス棋士の熱意プラス事務経費ということになります。
普及大綱
男子プロも女流棋士もアマもプロも一体となっての普及大綱の素案が近々打ち出されます。アマもプロも男も女も全ての人々が生き生きとした普及が求められていると信じます。
全国各地で行われている講習会があります。
私は2月1日に甲府市へ行きます。「スケジュール」の項をご覧下さい。
TEL:03-3408-6165 磯辺・村山
http://www.shogi.or.jp/
(2008/12/14)
押しつけ販売
支部連合会のみなさん、普及指導員のみなさん、平素は将棋界発展のためのご尽力有難うございます。
社団法人日本将棋連盟は、大きく姿勢を変えました。プロ側がアマチュアの普及活動のお手伝いをする。少なくとも儲け仕事等という態度は採らない方針です。
プロ棋士も女流棋士も、学校へ出かけたり、指導に行ったりとしていますが、全てアマチュア側は負担ゼロというケースがずい分ある筈です。おかげさまでJT杯決勝の日は東京体育館への来場者は6000名以上でした。
ふたつのことを申し上げたい。
日本将棋連盟は棋士派遣を無料で行っていることがあります。しかし本来支払うべき謝礼を普及活動に使うのであればともかく、そのお金で私達に内緒で相談もなく男子や女流棋士に指導を依頼して支払うのは困ります。そのようなケースも当方も把握しておりますので、今後は控えて下さい。とりあえずは話し合いですね。
近頃、カレンダーなどの物品を送りつけて、払い込み用紙同封という手口の新商売をやっているところがあります。人情としてはパンフレットの品々を買うか、それとも贈られたものの代金くらいは支払わないといけないと思うのはファン心理でしょう。
しかし、決然とした態度で臨んでください。個人情報保護法はよく分かりませんが、もしもあなたのところに「しつこく」案内が来た時には日本将棋連盟宛メール、FAX、TELなどお願いします。
実はこのように書いて欲しいという声が寄せられましたので、お知らせします。
(2008/12/7)
女流のスター
とんでもないことになった。16才の高校生、里見香奈君が倉敷藤花のタイトルを獲ったのです。
さあ大変。翌日の各紙の扱いの大きいこと大きいこと。山陽新聞と山陰中央は一面にカラー写真を載せて大きなスペースを割いていました。女流棋士界始まって以来の取り扱いかも。共同通信社は里見君と安馬のニュースを配信しましたが、全国の加盟社の多くは里見君のニュースに軍配をあげた。テレビもラジオもニュースを流していました。
12月3日には清水市代女流王将との女流名人位挑戦を賭けた一戦があるので、再びマスコミ陣が押しかけてくるかも。
私は中立の立場です。清水市代(イチベー)にもなんとか頑張ってもらいたい。それから他の女流も次へと続いてもらいたい。
女流棋士はなんといっても棋力が第一です。日本将棋連盟では、鬼のような男子プロの布陣で女流を鍛えています。 ビシビシ鍛える。「いいか、泣くなよ」と言ってあります。第二、第三の里見が出現することでしょう。
40名の女流棋士も殆どが一枚岩になっています。組織というものがようやく理解できてきたということです。いくつかの仲良しグループ、個人的な好き嫌いを超えて、全員がひとつになって前進する。これからの対局は勿論、普及活動も統率のとれた動きになるのでしょう。
ファンのみなさん。これからも応援を宜しくお願いします。
あっと驚く新手発表は、新年になってからです。会長職が楽しくなってきました。
(2008/11/30)
1900人の子ども大会
11月22日の東京体育館は熱氣ムンムンでした。
JT杯は子ども将棋大会とプロ公式戦のふたつを併せた珍しいシステムです。
第一部は子ども大会。集まった小学生は1900名。引率する人はその1.5倍です。父母や祖父、祖母などです。午後1時の来場者は小学生1777名、同伴者2348名、合計4115名でした。
高学年と低学年のそれぞれの決勝戦はステージに上っての対局で、4人とも和服に着替えての正装です。
低学年の方は山梨県増穂小学校在学とありますが、これは私の後輩です。
午後3時過ぎからは森下卓VS深浦康市のプロの決勝戦。これだけを観に来た人も何百人かいました。プロの対局を直接観て学ぶ。これも大切なことです。
優勝した森下卓先生は、会場を出る人達全員と一人ずつ握手です。ご苦労さま。
昨年よりも全国的に小学生の参加は10%以上増加。特に東京都は顕著でした。これはひとえに東京都教育委員会のおかげです。お礼申し上げます。
木村委員長、大原教育長、有難う、有難う。謝々。
(2008/11/24)
将棋指導者講習会
脳の研究と将棋については「まじめな私」の項をどうぞ。
将棋界が発展するためには、やっぱり地道な普及活動です。プロ棋士や女流棋士の役割とは別に、アマチュアによる地域密着の普及活動はこれからの柱になることでしょう。
そのためには、あなたに普及指導員になって欲しい。その前に将棋コーチになって欲しい。
どうしたらなれるのか。なったら何か特典のようなものがあるのか。なったので良かった。なったけどつまらん。そのような人達を集めての会合を全国で開いています。
私個人は以下の通りです。
日時:来年 平成21年2月1日(日)
場所:甲府市
参加費:受講料は無料。但し将棋コーチ資格証は1000円必要です。
講師:米長邦雄
当日は私の講演、質疑応答、職員からの説明の他、実技指導があるかもしれません。詳しくは下記のURLをどうぞ。私の分(甲府)は未だ記載されていないと思いますが、他所と同じようなスケジュールです。
http://www.shogi.or.jp/
(2008/11/15)
深イイ話
日本テレビで放映されました。11月3日の夜のことです。ひとつの物語をコンパクトにまとめて放映して、それを10名くらいの審査員が感想を述べるという番組。
なんと私が登場。荒筋は師匠・佐瀬勇次に反発して将棋を教わるのを拒否した中学時代。勝てなくなった40才の苦悩。なぜか鳥取砂丘でヌードになって裸一貫で出直すのです。弟子のアパートを訪ね、頭を下げて教えを乞いタイトルを取った。
この発想の転換については○か×か。
珍しく司会の島田紳助さんが○。「まさしく天才や」
貴乃花親方は×。「師匠に逆らうなどもっての他」
番組に多くの人がいましたが、「どうしてヌードなのか分からない」と呆氣にとられている。売れなくなった女優は脱ぎ、勝てなくなった勝負師も脱ぐ。
(2008/11/9)
一石三鳥
将棋が好きで女流棋士に教わりたい人はいませんか。将棋ファンなら夢のような話ですが、そんな人に耳寄りな話です。
女流棋士に教わりたい、女流棋界のお役に立ちたいという人が居ました。
米長「どうですか。将棋会館で女流と一局。その代わりに食事と酒をご馳走すること」
この条件で喜んでという人が表れた。というよりも初めて出会った人物と意氣投合して、2度目の出会いがこれ。アマチュアの方は好きな将棋を指し、美人に会い、私も含めて3人で会食出来る。
女流棋士の方は、その後に個人稽古がひとつ増えるか、それとも会社が女流棋士会の協賛企業のひとつになるかもしれません。あるいは日本将棋連盟にとってのアドバイザーになっていただけるかもしれない。
直近のケースは10月31日(金)の夕方にありました。斎田晴子さんが二枚落ちで一局。将棋会館に5時に来ていただいて、10分間だけ順位戦を観戦。それから別室で指導対局です。下手快勝。場所を神楽坂の小料理屋に移し、私は只酒。役得です。
今後のことは相談のうえです。さ、あなたもお申込み下さい。
お問い合わせ先は、日本将棋連盟でも私の個人事務所でもどうぞ。みんなで女流棋士を応援する会(仮称)を立ち上げて下され。
(「まじめな私」の方もどうぞ)
(2008/11/3)
春日井将棋フェスティバル
愛知県春日井市でのフェスティバルは熱が入っていました。中日新聞社、春日井市、NHK、日本将棋連盟等の共催で、10月25、26日の2日間。
私が感心したのは東海本部の動きです。中山則男六段と竹河幹事長の名コンビの熱心さと周囲の協力態勢は見事です。ここには普及に関して見習うべき点が多々あります。会場の設営も数十名の人を呼び、夜の弁当も用意して頑張っていました。
NHKには私は昼間出演して少々の宣伝に努めました。目玉は「はさみ将棋選手権」です。この大会は、ひょっとすると全国的に広がるかもしれません。
参加棋士は谷川、深浦、神吉、それに東海本部の面々。それよりも室田、里見、鈴木環那、熊倉紫野の4名が指導、実戦、トーク、解説と大活躍。
展示コーナーでは700種類の木で作った「木の名前入り駒」コーナー。15万局以上の新聞切り抜きや、珍しい古い将棋雑記が並べられていました。
どれだけの人数が入り、どのような満足度だったか。当然週刊将棋や将棋世界でも大きく取り上げることでしょう。勿論中日新聞は私が前日に市長表敬訪問をしたことすら記事になった。NHKは次週の土曜日に放映です。
来年は日記に記したように伊緒ちゃんの教室が続けられることでしょう。このようなイベントに出会うと、会長職の疲れも癒されます。
(2008/10/26)
将棋のイベント
10月15日からパリへ行ってきます。
私と生で会う機会と、ネット上でお会い出来るスケジュールを羅列しました。
10月13日(月)
甲府にて羽生名人の山梨県名人との対局解説。
日記(10月11日)をお読み下さい。
竜王戦第一局
パリで行われます。
下記のURLでライブ中継をお楽しみ下さい。
http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/
10月25日(土)
愛知県春日井市「将棋フェスティバル」
私は会長の挨拶のみですが、室田女流他棋士多数出演です。
11月2日(日)午後1時〜4時
「親子ふれあい将棋教室」
場所:東京都庁第一本庁舎 5階 大会議場ほか
当日、私はご挨拶のみです。
11月2日、3日は倉敷でも楽しいイベントがあります。
(2008/10/11)
女流棋界
今週は羽生王座が木村一基八段を退けて、なんと17連覇という大記録を打ち立てました。その前日には里見香奈君が倉敷藤花の初挑戦を決めた。
当然前者の方がビッグニュースであり、後者はこれからの活躍に期待するところです。しかしマスコミの扱いはファン主体ですから、全く逆なのに驚きます。多くの新聞社が女流の高校生の挑戦権獲得の記事を大きく取り扱いました。翌日の17連覇は申し訳程度です。してみると将棋ファンの注目は羽生の防衛や回数、連覇記録等よりも、女子高校生の挑戦の方に集まっているのですな。
久々に10代のタイトルホルダーが出るか。それとも倉敷を第二の故郷と言っている清水市代が勝つか。その第一局は11月に入ってからです。
清水市代の季節になったようです。女流王位の挑戦権を得て、10月10日から五番勝負が始まります。第一局は姫路市のイーグレひめじです。私は前日所用あり、大阪、神戸へと出張しますが、この対局にまで足を進めるかどうかは未定。
当初の予定では佐用(智頭急行または姫新線)にある県指定天然記念物の大イチョウを見に行くつもりでした。イチョウだけ見て市代を見ないのは会長の立場上まずいのかなぁ。
桜や銀杏、楠等、日本中の名木は機会あるごとに見るようにしているのです。
(2008/10/5)
竜王戦第一局・パリ
竜王戦は大変なことになりました。渡辺明竜王は4期保持していて、今度の防衛戦で守り切れば「5期連続」で初代永世竜王になるのですね。
ところが挑戦者には羽生善治が名乗りをあげた。これまでに竜王位は6期獲得していて、「通算七期」は永世竜王になる。
史上初の「永世竜王」をかけての七番勝負です。主催紙の読売新聞社の力の入れようは尋常ではない。第一局は10月18、19日パリで行われます。この第一局だけでも4000万円以上はかかるという話です。
社長からの第一希望でしたので、会長の私が同行します。和服着用の者は次の通りです。
両対局者、米長、佐藤康光棋王、記録・中村太地四段。若い中村は師匠の私の生前形見分けの和服です。
パリ・コレ。パリのファッションショーで対局日前夜はパリのホテルが一年中で一番混み、値段も高い時です。10月15日まではミラノで開催していたのが移動するらしい。日本の和装。モデルのアルバイトがあればなぁ。
対局者や私は10月15日に出発して10月21日帰国です。観戦ツアーもあります。詳細は「まじめな私」をお読み下さい。
(2008/9/28)
これからの将棋界(一)
私が会長になって3年半です。来年の5月の総会まで任期は半年。人氣も半年なら会長再選は無理なんですがどうなんでしょうか。
私は自分が率先してやってきたことは出来るだけオープンにしました。その是非についての議論も又楽しいものです。
良かったものは何か。自慢するというのではないのですが、実績は示しておく必要がある。表面化しないもの、公表出来ないものや公表しない方が良いものもある。その方がはるかに多い感じです。悪かったものについては、自ら反省するものと、論じたうえで自分の非を認めるものとがあります。
米長路線は3年余の改革で多くの成果をあげたと自負していますが、片方では憎まれ役、嫌われ役にも徹しました。多くの敵を作ったことでしょう。
これからは公益法人改革。タイトル戦の契約、ネット関連と難しい課題が多いです。
私の一番の関心事。それは後継者です。米長路線を引く継ぎ、良かったものは正しく評価し、悪かったもの、直してゆくべきものは多くの議論を経て修正してゆく。そんな人で会長を引き受けてくれる人を探しています。
いずれにせよ、これからの理事は政策が一番大事なことです。路線を継承して若返りを図るのであれば交代が是と思っています。路線が全く違っていたり、現理事会の非を咎めてであれば、当然ディスカッションの場を数多く開き戦う。
大きなポイントはいくつかあります。
@名人戦共催は、なぜ起きたか。それはどう評価するのか。
A公益法人改革は極めて重要です。現執行部に代わって「俺達がやる」という人がいるのかどうか。
Bネット事業、コンピュータソフトVSプロ棋士の戦略等々はどう進めていくのか。
C普及、特に学校関係は今までのやってきたことは評価しますか。それともノーですか。これからどうしますか。
D女流棋士会。個人の幸せを考えつつ、公益法人改革に連動した組織作りをする。これは今年4月の施策に書いてあります。
(2008/9/20)
大山賞
大山康晴賞の贈呈式は9月8日です。この日は日本将棋連盟の創立記念日。普及に功績のあった個人、団体を厳選して選考委員会で決定します。
プロは受賞出来ない賞です。今年は団体は倉敷市文化振興財団と日本アマチュア将棋連盟。個人は渋谷守生先生と島田良夫元アナウンサー。
渋谷「こんな賞をいただいて光栄です。国民栄誉賞以上のものです」
渋谷先生は元都議会議長であり、日本アマチュア将棋連盟と東京アマチュア将棋連盟の両方の会長でもあります。今回の選考は、アマチュアとプロ棋界との共存共栄を主としております。日本アマチュア将棋連盟の西村理事長にも喜んでいただきました。
驚いたのは当日LPSAの女性がどっと来られたこと。本来は招待客と関係者以外は将棋会館の中には入れないのですが、普段お世話になっている東京アマチュア将棋連盟の会長のお祝いに駆けつけたのでしょうから、特別に入ってもらいました。
倉敷市文化振興財団は、タイトル保持者の清水市代倉敷藤花が祝辞。私も彼女の大ファンです。やっぱり花は美しいです。(2008/9/14)
五十嵐豊一九段
五十嵐先生が8月30日に逝去された。享年83才。
9月5日の告別式に私が弔辞を読みました。奥様のお許しを得て全文掲載いたします。ご一読の上、合掌をお願いいたします。
公益法人改革は「まじめな私」の方をお読み下さい。
弔辞
五十嵐先生、米長邦雄です。お別れに参りました。
先生に私が初めてお会いしたのは五十年前の中学生の時でした。
先生は既にA級八段に昇りつめており、少年の私からは遥かに仰ぎ見る存在でもありました。
勝負師の世界にあって、五十嵐先生は性格が温厚篤実極めて稀なお人柄で多くの人に親しまれておられました。
アマチュア、殊に初心者への指導は定評があり、先生のご著書である「将棋教室」は今でも普及のバイブルになっております。
私が将棋連盟会長になりまして、先生に喜んで頂けたことが一つあります。
それは北海道将棋界のために尽力された福井資明先生にプロ棋士九段の追贈免状を差し上げたことです。
五十嵐先生は出身地の北海道棋界のために尽くし、又地元練馬区からは感謝状を授与されるなど本当に地道に将棋界のために一生を捧げられた方でした。
五十嵐先生は生前「私は雨露がしのげ、一日二合の酒が飲めれば無上の幸せ」と良く言われておりました。
殺伐としたことの多い世の中にあって五十嵐先生のような生き方のお手本をいつまでも我々に教えて頂ければと思っておりましたのに、突然の他界、愛惜の念に打たれるばかりです。
私が中学生の時に憧れていた女性もおりました。
東中野時代の将棋連盟に勤められていた現夫人の節子様です。
そのお二人が結婚され、幸せな日々を過しておられましたのに、若かりし頃の私は酒を飲みにお宅にお邪魔したことも今となっては懐かしい思い出でございます。
五十嵐先生、どうかこれからの将棋界を末永くお見守り下さい。
心よりご冥福をお祈り致します。
社団法人日本将棋連盟
会長 米長邦雄
(2008/8/30)
全員将棋
日本将棋連盟という社団法人にとっては真に正念場です。全棋士、所属の女流棋士、指導棋士、アマチュア界の人々が力を合わせて一丸となって進むよりありません。
いくつかの難所があるんですね。先ずは公益法人改革です。これはプロ棋士の理解が一番の急所ですが、このような局面では米長会長の失点狙いという人達も居ます。
そこで私はそうならないように指してゆくんです。ゆっくりと着実に。多くのプロ棋士の意見を集約して決めてゆく。妙案があれば良い智恵を出してもらう。明るく先が読めています。
活字離れ
これは深刻です。将棋は文字が駒の形をして動くものですから活字のゲーム、文化というべきでしょう。新聞社に頼り切っていただけに、新聞社の経営そのものがモロに将棋界に響いてきます。
これからの日本将棋連盟は渉外部の実力如何ですね。頑張れよ。
女流棋士
みんな仲良くしたいのですが、銭ゲバだけは仕方がありません。それでも優しくと願いたいのですが、組織というものを良く知っている人にはそれは通用しません。というよりも「軒先を貸して母屋を取られる」の名言になってしまいます。
安心して将棋の勉強をして、とにかくある程度以上の実力を身につけることが第一。次には普及活動やファンサービスの講習会でしょうか。日本将棋連盟を愛している人には必ず幸せが待っている筈です。一人一人が幸せになるように祈るや切。(2008/8/23)
東海本部
東海本部が6月1日から新しい事務所に移転しました。今まで事務所らしきものが無かっただけに移転というのも変でしょうか。
名古屋市を中心にして東海三県のみならず、東は浜松市、北東は長野県松本市、そして北陸三県までに影響を及ぼす本部です。縁のある棋士13名が署名しての嘆願書が提出されました。
事務所は中日新聞社の一角にあります。格安とはいえ一応家賃は払います。月々の経費のうち、ある程度の予算は計上してバックアップします。
これから先は普及活動如何に依ります。ますます発展するよう私の立場でも協力しますし、東海本部の人たちにも頑張ってもらいたい。一人でも多くの支部会員を増やし、一校でも多く、学校へ将棋を導入して欲しいものです。
女流も室田(かわいい)、井道(ステキ)、長澤(歌姫)と揃っていますから、皆さん応援宜しく。
(2008/8/23)
これからの将棋界
まずは普及ですね。各地のデパートの将棋まつりでも全国至る所で子ども達の参加が目立ちます。
女の子の頑張りも凄い。小学生名人戦では3県の代表(即ち県小学生名人)は女子でした。全体の15%が女子です。男女比が85対15になったということです。
このように頑張っている女の子、あるいは現在の女流プロが、男子とどのように互角に戦えるようにするか。その秘策はまだ発表段階ではありません。
女流棋界の騒動は、結局は銭ゲバです。不満な人と、「現状のままから努力」という人とに分かれた。何も分からない、あるいはどちらでも良いという人が約半分でしょうか。
米長流の新しい女流棋界の在り方の方策発表は来年以降でしょう。それまではとにかく各人が将棋の実力アップに努めることです。必ず報われる時が来る筈です。将棋が弱くちゃ話にならない。
公益法人改革については谷川浩司を委員長とする委員会の答申を待つのみです。しっかりやってくれ給え。棋士の理解を得る為の努力を一生懸命やってくれという意味です。
改革案を無事通せるかどうかは現理事会に任せるか、それとも「俺がやる」という代案を明示して登場する棋士が居るかです。代わりが居なければ私がやるよりありませんが、苦労は多いです。
活字離れとネット事業。災いなのか、転じて福となるのか。難しい面白い局面ではあります。
(2008/8/16)
女流の人氣
夏は各地で将棋まつりが目白押しです。詳しくは「スケジュール」の項をどうぞ。
インターネット棋戦の大和証券杯、達人戦も8月に決勝戦があります。ライブで観戦出来ますので、事前申し込みをどうぞ。
男子プロの対局は多くのファンを感動させますが、やっぱり女流棋士は人氣があります。
女流棋士は大別すると3グループです。27才以上の約40名が2つに分かれました。一方は新団体を作り、もう一方は残った。20名ずつくらいで、それぞれに主張があるのでしょう。
25才以下は結束が堅い。将棋のプロである以上はある程度の実力は不可欠。という訳で、男子プロを多数投入して実力アップを図っています。同時に「サービス」「普及」等の指導もしています。
「あんた!将棋が弱いくせに仕事が多いわね」
もうこのようなイジメなどは無くなるものと信じたい。若い女流への応援、アドバイスを宜しく。勿論、全ての女流を宜しく。
(2008/8/10)
小中学生と将棋
おかげさまで小子化の中、将棋人口は増えているようです。夏休みには公式な大会、準公式、プライベートな催しが目白押しです。
全ての大会に、参加者の増加を第一と考えています。その次に棋力のレベルアップです。どうしても弱い者、負けた者は翌年の大会には引っ込み思案になりがちです。
私は徳川家康の遺訓にこそ現代教育で最も失われているものと、将棋こそがそれをカバー出来るものが含まれていると思っています。
徳川家康遺訓
「人の一生は重き荷を背負いて遠き道を歩むが如し。決して急くべからず。」
この有名な家訓は徳川三百年の礎になったものです。数々の戒め、教訓が一言毎に分かり易く書かれています。特に次の項はハッとします。
「勝つことのみを知りて負けを知らざれば、害その身に至る」
人間が成長するには勝つばかりではなく、負けることによって得るものが多々ある。負けたからもう将棋は嫌い、次の大会には出ないなどはもってのほかである。負けた口惜しさをバネにして新たに大きなものに立ち向かう。これが人生で一番大切なことと説いています。将棋を習いたての小中学生には、負けてこそ得るものが多いことを、その年齢に応じて説くことが求められます。
将棋大会やイベントでは、早々に敗退した者や、弱い人、一局も勝てないような人やその母親に「今日は参加して良かった。又来年も来たい」と思ってもらうような工夫、努力が必要です。この運営者のノウハウについて近々「普及会議」を立ち上げるつもりでおります。
対局型掲示板は普及に関する建設的なご意見は行数に関係なく歓迎です。是非、妙案、工夫等、宜しくご投稿を。
小学生名人戦、中学選抜は個人戦です。文部科学大臣杯の小中学校団体戦は3人1チームの団体戦。この団体戦は2年目ですが、参加チームが増えた都道府県と、残念ながら減少した所がある。来年は全都道府県で増加が最低限の目標です。
関係者の皆さま、頑張って下さい。
(2008/8/3)
名人就位式
さすが羽生名人の就位式ですね。椿山荘にて700名余の人々が集まりました。凄い熱気です。
共催になっての初めての就位式。毎日は朝比奈豊社長、朝日は秋山耿太郎社長とトップが出席です。
私はお二人のあと三番目に挨拶。
「この2年間はいろいろありました。本日、このような形で私が就位式に会長としてご挨拶できるとは思ってもいませんでした。全ては朝日新聞社の熱意と毎日新聞社の大きさ、懐の広さのおかげです。あらためて両新聞社に厚く御礼申し上げます。
それもこれも全国の将棋ファンあってこそです。これからもご支援下さいますようお願い申し上げます。あ、それから将棋に理解ある新聞のご購読を是非お願い。云々」
私はサイン攻め、撮影等々一時間半の間、多くのファン、知人と接することが出来ましたが、なにしろ人が多い。せいぜい200名くらいの人としか話が出来なかったと思います。九州から来た人、東北から来た人もいます。
「米長先生のHPを読んで来ました。このパーティに出席出来て本当に良かった。運をもらって帰れそうです」
大変楽しいパーティでした。
メールあり。
「楽しいパーティでした。プロ棋士の先生方も、もっと多く参加して、ファンとの交流の場としたら良いのでは。
棋士だけが数人で固まっているのはやめて、ファンサービスをするようにしたら将棋界はもっともっと良くなると思います」
おっしゃる通りです。ご意見等、掲示板の方へお寄せ下さればと思います。
(2008/7/26)
プロフェッショナル
NHKスペシャルに今期の名人戦を戦った羽生と森内のライバル物語が取り上げられました。視聴率は関東、関西とも10.7%とか。通常は7%とのことですから大したものです。身びいきでしょうか、やっぱり棋士の対局姿は良いですね。
将棋世界8月号は店頭に残っているもの以外は殆ど売り切れらしいです。名人戦結着号で、羽生人氣ということかと思ったら全く違う意見もあります。ハチワンダイバーなるフジテレビ系のドラマがありました。これが若いギャルに大人氣で、将棋世界を持ち歩いている高校生が多かったというのです。私としてはですね、来月号もどうか同じように売れますように祈るだけです。
(2008/7/19)
女流棋士会
女流棋士もふたつの団体に分かれてから一年ちょっと経ちました。7月7日付読売新聞の夕刊「一手千金」というコラムに上田初美女流二段の名文があります。本音を素直に吐露したものです。新聞社と本人の了解を得ましたので全文掲載します。
「女流の使命、果たすため努力」 上田 初美
昨年5月、将棋界に「日本女子プロ将棋協会」という団体が新たに誕生した。
当初は女流棋士のほぼ全員が日本将棋連盟から新団体へ移籍すると思われた方も多いだろうが、現在、女子プロ協会に所属するのは18人。一方、将棋連盟には40人の女流棋士が所属している。
といっても移籍しなかった私たちは、イベントの出演など損得のためだけで連盟に残ったのではない。女流棋士一人ひとりが深く考え、悩んだ結果なのだ。
もともと一つだった女流の団体が二つに分かれる際、さまざまな情報が流れた。情報とは怖いもので、受け取り方によっては、いい意味にも悪い意味にも取られてしまう。
ファンの皆さんには、連盟が女流棋士を独立させないよう意地悪したかのような印象を与えたかも知れないが、誤解だ。むしろ女流内部の問題で連盟全体を困らせてしまったのは、今でも本当に申し訳なく思う。また、この騒動をめぐり、たくさんのファンにご心配をおかけしたことも実に心苦しいことだった。
いま私たちが出来ることは、新しいイベントを開催し、ファンの方に楽しんでいただくこと、そして何よりもっと将棋が強くなることだろう。連盟の女流棋士会が新しい体制になって1年が経ち、多くのイベントを開催してきたが、正直、成功とは言い難いものもあったと思う。それでも、私たちは一歩一歩進んでいきたい。
私はファンの皆さんの笑顔や、指導将棋を受ける時に真剣に指し手を考えている姿が大好きだ。これからもその姿が見られるよう努力して行きたい。(女流棋士二段)
これは日本将棋連盟の女流棋士会の大多数の氣持ちの代弁です。
公益法人改革は女流棋士会にも大きな影響が出ます。彼女達は日本将棋連盟と友好な状態を保つことを前提として、新たなる組織作りを模索中のようです。
これから手作りで全部やってゆかなければなりません。イベントもお姫様でいられる訳ではありません。机や盤駒を並べるのも仕事です。ファンの皆様の中で、少しくらい手伝ってやっても良いという方は是非応援してやって下さい。私もそっちの方が楽しそうですから行きたいです。
公益法人改革については「まじめな私」をお読み下さい。
(2008/7/12)
東京都教育委員会と伝統文化
将棋は日本の伝統文化のひとつです。東京都内では小中学校へプロ棋士が教えに行っていますが、今年度は100校を超しそうな勢いです。その謝金は日本将棋連盟学校教育課が出します、うちの学校でもプロ棋士や女流棋士に来てほしいという学校がありましたら、03-3408-6165学校教育課へお問い合わせ下さい。
極めつけは「親子ふれあい将棋教室」です。年2回、130組の親子を抽選でご招待。プロ棋士は10名出て指導対局をします。小田切秀人先生の初心者講習会は好評です。都庁の人も休日出勤、ボランティアと大勢の人が協力してくれます。しかも棋士の謝金も含め、都庁舎の会議室を開放して下さる。究極の将棋教室です。
今年は7月19日(土)午後1時から都庁第一庁舎大会議室で行われます。是非、取材や観戦においで下さい。大いに東京都教育委員会の姿勢をPRして頂ければ幸いです。
(2008/7/5)
原田泰夫遺墨展
原田泰夫先生は大正12年生まれの名棋士でした。
尺進あって寸退なし。とにかく攻め一本の姿勢は故郷の上杉謙信流と自らを称していたのです。良寛の書を好み、そのお人柄にも傾倒されていたようで、「良寛の心。謙信の攻め」が信条でした。
連盟会長も6期連続。Aクラスに長く在位していてBクラスへ落ち、私と一緒にAクラス入りをしましたが、あれは50才くらいのことでしょう。もっとも本人は「30才くらいまでに名人を」と豪語されていましたので、これくらいでは不満だったことでしょう。
棋界有数の能筆家でした。その遺墨展があります。
日時:7月8日(火)〜13日(日)
会場:東京銀座・鳩居堂画廊4F
鳩居堂は銀座4丁目の交差点にありますが、日本の土地価格では常にトップで新聞に出ますから、どなたでもご存知の土地でしょう。
会場にはプロ棋士も詰めております。これは偲ぶ会ともいうべきもので、お金は一切取りません。どうぞ、近くを通られるときには書をご覧になって行って下さい。
(2008/6/28)
産経
高尾紳路十段の就位式に行ってきました。師匠の藤澤秀行に会うのも目的のひとつです。赤坂の旧プリンスホテルの会場が満杯になった。熱氣ムンムンのパーティでした。
主催社産経新聞社会長・清原武彦様ご挨拶。お話から、どれだけ囲碁が好きか、大事にされているかが伝わってきます。又、囲碁界の歴史、情勢に詳しくプロ棋士級です。
続いて日本棋院理事長・岡部弘様。どれだけ囲碁界を愛しているかが分かります。公益法人改革や財政等々苦難の時によくぞ理事長を引き受けられたものと敬服します。私とも旧知の仲で、実は将棋ファン、米長ファンでもあります。勿論私も岡部様は尊敬している人です。
三番目は関西棋院から宮本直毅先生。46期になる十段戦は第一期が橋本宇太郎先生でした。関西棋院の総帥。関西棋院が、初めて新聞に棋譜が載るようになったのは産経新聞です。大恩人で、このご恩を忘れたことは一度もありません。やや絶叫調でした。
就位式があり、来賓代表で秀行師が壇上に立つと万来の拍手。
「今日は将棋の大御所の米長さんが来ているので代わりにしゃべってもらいたい」
大きな笑いと拍手がありましたが固辞。
「高尾はまだまだ弱い。もっと強くなれ。どうしてみんな勝ち負けに拘るんですかね。そんなことにかまわないで強くなる碁を打て」
軽妙洒脱の素晴らしいスピーチでした。
将棋の就位式よりも私の知り合いが多いくらいに知人がいる。女流棋士に囲まれてニンマリ。「良い女」が多いですね。勿論将棋の女流棋士会もそうですけど。
楽しいパーティでしたが、この日は羽生永世名人が誕生するかという日ですので、ワイン一杯だけ頂いて会場をひと回りして退出。
和服姿の高尾ご夫妻は幸せそうでした。
(2008/6/21)
公益法人改革
社団法人日本将棋連盟が公益法人を目指す。タイトル保持者を中心に、谷川十七世名人が委員長として引っ張っていってくれる。担当は中川、西川両理事です。
将棋界の全てはこの一点にかかっているのですが、プロ棋士の理解、協力が不可欠です。現在は正会員=プロ棋士であり、200名近くのプロ棋士のみに決定権があるのです。
「米長さん、とんでもない話があります。私が代表して会長に申し上げることになりました」
話を聴くと、公益法人改革について次のように書いたりしゃべったりしているプロ棋士がいるというのです。
「自分達は長い間何も悪いことはしていない。その我々の団体が公益法人として認められないわけはない。云々」
こういう仲間を一人でも減らし、認識を新たにするのが委員会の一番の仕事です。私でなく谷川委員長に忠言するよう言っておきました。
公益とは、多くの人々のためになること。財団法人以上に社団法人の方が公益法人には難しい。
プロ棋士は社団法人から給料、諸手当を受け取り社会保険にも加入している。これ等が全て問題になるんですね。本来は、正会員(プロ棋士)は社団法人のため普及のためにお金を出して奉仕すべきなんです。「何も悪いことをしていない」ではなく「悪いことだけをしてきた」と言うべきです。社団法人が会員に給料を払い、保険に加入しているのは天下に日本将棋連盟が唯一ではないでしょうか。
プロ棋士の理解と協力を求める。これがどれだけ大変なことかよーく分かっています。
囲碁界は2年前から棋士会等を数多く開き、今では3割くらいのプロ棋士が理解と事の重大さを認識しているとのことです。
(2008/6/14)
名人戦
羽生挑戦者が森内名人を3勝1敗と追い込んだ第5局は私の故郷山梨県の湯村温泉にて行われました。
2日目の大盤解説会は350名の愛棋家が詰めかけ、その熱氣が会場をムンムンしたものに盛り上げた。
実を申せば事前発表で解説会は午後2時からと6時45分からの2回と勘違いした人からの問合せがありました。
米長会長が採った方法。
直ちに山梨県内の支部に一報。「午後2時から終局まではホテルから追い出したりしません。一日中楽しんでもらえるようにするから友人を誘って下さい」
とにかくファン第一とする。誤解をとく。これが大切です。
午後2時に会長挨拶。鈴木大介、屋敷両先生が出て一旦休憩。クイズを出し当たった人は色紙とサイン入りの本です。
4時から6時まではNHKの解説を生で観て頂く。三浦弘行、山田久美の群馬コンビです。
午後6時45分からが本当のサービスです。米長、高野秀行と掛け合いで出る。再び鈴木、屋敷、高橋道雄、田中寅彦。NHKの解説者と入れ替わり立ち替わり棋士が自発的に登壇して熱弁をふるいました。笑いも起きたり、局面に緊張したりと、終局の9時まで大いに楽しんでいただきました。
多くのファンが「今日は来て良かった」と口々に言い残されたのは本音だったと信じたい。
天童も大勢のファンが来てくれて、居合わせた棋士が全員解説に協力してくれることを願っています。
毎日、朝日両新聞社とも当日本社の会場は人が溢れたとのことです。あなたも第6局はどこかの会場へ行って下さい。
まじめな私「山梨の名棋士」を是非お読み下さい。
(2008/6/7)
女流棋士総会
5月23日は男子プロの総会でしたが、5月30日は女流棋士総会がありました。私は余りタッチしていません。
日本将棋連盟の公益法人改革に伴い、女流棋士会も社団法人にすべきかどうかという話し合いがあったようです。
これから勉強会を開き、現状のように日本将棋連盟と協力しながら普及に務めてゆくにはどうすべきかを皆で勉強してゆく。その意氣やよし。
(6月2日一部修正しました)
とにかくプロである以上は、
将棋が強いこと
ファンサービスに徹すること
普及に務めること
の3点は絶対です。
か弱い女性達ばかりですので、出来る限りの応援をしてやって下さい。私も陰ながら応援します。全てはこれからですね。
(2008/5/31)
棋士総会
5月23日は棋士総会。社団法人ですから正会員(プロ棋士)は等しく一票が公平です。
決算と予算案の承認が前半の山場。職員の退職引当金が1億6000万円程不足していました。これを15年間で1000万円ずつ積んでゆく方針でしたが意を決して変更。棋士の金を動かしてそちらに廻しました。一人平均100万円近くになりますが、異論なく可決。もっとも万一の時は、棋士よりも職員の給料や退職金の方が優先されますから同じことですけどね。
会館建設については準備委員長の谷川浩司九段が答申。他に委員は森内、羽生、佐藤、渡辺のタイトルホルダーです。担当理事は中川で、若い人中心の委員会。「どうしても公益法人の方でないといけません」
それを引き継いで公益法人改革を巡って一時間。これが将棋界の命運を左右することであるのを理解してもらうのが理事の仕事です。
今年の12月から5年間で一般か公益かに決まります。正しくは「公益法人社団法人」を目指すということです。内閣府で認めないということになりますと、一般社団法人ということになって、理事会総辞職でしょうか。それくらい重大なことです。
一般と公益では月とスッポン。アマチュア四段の免状とプロ棋士四段の免状の差くらいです。
ただし、一度認可されたものが取り消しになった時は一般社団法人として存続することになります。そのケースは同じ類の団体に全額財産を贈与することになります。しかも一ヵ月以内です。一ヵ月以内に何もしないと国か都道府県に渡ることになります。
今後のこと
公益法人の申請を努力する
来年5月の定時総会で申請内容を承認する
以上が可決。
理事会としては、内閣府と棋士と両方の承認や認可が必要です。幸い建設委員会のメンバーが協力すると約束してくれました。
棋士はどうするか
対局を一生懸命指すこと
普及活動をまじめにすること
この二点をしっかりと務めれば万全です。
もう一点は団体の構成員としての自覚です。意見の違いを議論することは当然です。しかし組織に反することは今後はペナルティを科すよりないのでしょう。
全員一丸となって組織を守る。その中での好き嫌いや喧嘩もあるという団体を目指します。
私の責任は極めて重いと自覚しております。万一の時の財産引渡し先も明記しておかなければならないという説明がありますので、私は○○○○にしたいと考えていますが、これも来年5月に決定します。
(2008/5/25)
ネット棋戦の時間切れ
「本文はまじめな私」の方に書きました。
対局掲示板は問題の68手目から開始します。どちら側かに入って、あなたも一手どうぞ。当日果たせなかった続編を、あなたが参加して指しませんか。
(2008/5/18)
日本将棋連盟の今後
「米長会長。前回のプロ棋士向けの会報は少し間違いがあります」
「増収ですが赤字。これは本部会計と全体をゴチャ混ぜにしたものです。それに赤字というのはおかしい」
確かに指摘は正しい。そこで私は居合わせた棋士に聞いてみました。
「おいみんな。本部会計って言葉知っているかい?」
皆が分かりませんと言う。
「公益と収益の違いが分かる人は居る?」
誰も居ない。
皆将棋一筋で、雑事には余り関心がないのでしょう。
そこで考えたのですね。社団法人日本将棋連盟の全てはプロ棋士のみに決定権がある。その200余名のプロ棋士の理解が大切であって、正論を述べるなどはその次か次のことです。
公益とは対局(技術研鑽)や普及活動のお金のこと。収支で表した活動のことと言うべきかもしれません。これが2億円増えたのです。
収益:
これは儲け仕事のこと。本を売る、扇子を売る、将棋盤を売るなどです。これが毎年赤字なのです。
正味財産増減:
増を黒字。減を赤字。会社の決算で言えば大体そういうことです。社団法人には黒字とか赤字とかという言葉はないのです。
減価償却:
棋士は2通りです。この言葉を理解している人と、全く分からない人に分かれます。問題は、公益法人改革はプロ棋士のみに決定権があることになります。本部会計、公益、収益、正味財産、減価償却。これらを知ってもらわなければなりません。
将棋世界6月号に米長会長のインタビュー記事があります。公益法人改革についてのロングインタビューです。プロ棋士は勿論、多くのファンに読んでもらいたいものです。
(2008/5/10)
訃報
小野修一君が急逝。まさか49才の若さで、真部君よりも年下ではないか。
二人とも弟のような存在でした。小野君は丁度一年前に引退。私がその後の人生設計を聴いたりした仲です。血圧が高く「健康面から考えてのことです」と言っていたのに、これではなんにもならないではないか。阿佐ヶ谷に住んでいました。近くの寿司屋で昨年末に一杯やったのが最後だったのです。まじめな男で、恐らく人をだましたりした事は一度も無かったことでしょう。私の自宅にも、米長道場にも来ていた常連で、プロ棋士の将棋大会や打ち上げの幹事役、世話役にうってつけでした。
あの若さで引退というのも今考えると解せぬ。50才で名人になった人もいるというのに、引退は不自然ではありました。本人しか分からない、他人には言えない事があったのかもしれません。
廣津先生のお別れの会が4月27日。小野君のマスコミ発表が翌28日。廣津先生は「好きなことをやって長生き出来て自分は幸せ者だ」が口癖だったとか。
私は会長をやりながら長生きしようと思うんですが、幸せなのかどうかは自分にも分からない。あるがままに楽しむ。ともあれお二人のご冥福をお祈りいたします。
大和証券杯は「まじめな私」をどうぞ。
(2008/4/28)
幸せな将棋界
4月18日に将棋大賞授賞式と免状授与式がありました。
トップページの写真はその時のもので、私の隣は昇段した武者野勝巳七段で、両脇は読売新聞社の小田次長と西條記者です。私が紋付なのは、棋士にとっては免状は棋士の命だからです。
それにしても4人とも幸せそうな笑顔です。尚、写真で私の顔の奥にいるのは羽生善治二冠王。最優秀棋士、最多対局、最多勝などいっぱいもらいました。
米長会長挨拶要旨
「日本将棋連盟の目指すものはふたつです。とにもかくにも普及第一。それから対局です。タイトル戦を戦う人もいれば、一年に一回もテレビにも映らず、新聞にも掲載されない棋士もいる。棋士全員が一回戦であろうとファイナルゲームであろうと心血を注いで対局する姿こそが最も大切な尊いことであります。
公益社団法人を目指すために、普及と対局の二本柱を中心にして活動しよう。健全なる財政基盤を整えて、さあプロも指導棋士も女流棋士も全員一丸となって前へ進もう。
これまで将棋界を支えて下さっているマスコミの方々、多くのアマチュアの方々には今後も今までと同様のご厚情を賜りますよう伏してお願い申し上げます」
羽生、佐藤康光、升田賞の今泉健司アマがいる。清水市代、矢内理絵子の二人も表彰された。女流棋士については「まじめな私」を是非お読み下さい。そしてあなたもご参加を。
(2008/4/19)
職団戦
4月13日(日)は東京武道館にて職団戦です。
綾瀬の東京武道館は少々遠いという声がありましたが、今ではすっかり消えました。日暮里や西日暮里から常磐線、千代田線などが近く、おまけに駅から徒歩数分です。却って時間的に近くなったという声が多くなりました。会場費が安く、東京都の都民サービスの一環を将棋界が享受したというところです。
1チーム5000円値下げ。参加費が一人当たり1000円安くなったのです。おかげさまで長期低落傾向にあったチーム数が底を打って上昇しつつある。昨春331チームだったのが今年は354チームになりました。
もうひとつの楽しみ。当日はプロ棋士34名が指導に参加。これは名人戦共催イベントの恩恵です。2連敗すると失格しますが、この日ばかりは2連敗した方が得かも。というのは指導が受けられるからです。加藤一二三先生を筆頭に壮観です。
私は9時50分に開会の挨拶です。約2000名のファンの前で「頑張ってちょ」と激励。朝日新聞社の宣伝部長・山崎真紀子さんもご挨拶。プロ棋士の謝金は名人戦共催金からの支出だからです。それにしても朝日の女性部長は美人が多いなぁ。
S級の優勝者には内閣総理大臣杯が出ます。これ等が私から次世代の人々へのプレゼントです。やり残しているものはネット事業、公益法人改革などですね。
(2008/4/13)
名人戦共催
いよいよ始まるんですね。待望の名人戦です。4月7日の夜が椿山荘にて前夜祭。文部科学大臣もお見えになる予定です。毎日新聞社と朝日新聞社の共催で、両社長がお二人ともご挨拶。
4月8日の第一局は同ホテルで午前9時から始まります。正立会が中原十六世名人。会長米長邦雄。勿論両新聞社社長も同席。4人が一列に並んで第一手を見守ります。私も和服です。
思えば長い道のりでした。一昨年の12月末に共催で三者が合意したのでした。中原渉外担当理事が書面を持参して毎日新聞社を訪ねたのが一昨年の3月27日のこと。それから5月の定時棋士総会、8月1日の臨時総会を経て12月末に合意。
公私に亘って叩かれました。もっとも私を悪者に仕立てようとしたのはプロ棋士2名と女流棋士2名、それにブラックジャーナリストとして高名な男に、一企業と決まっています。彼らも叩き疲れたことでしょう。ごくろうさまでした。
オイ。どうだ。そろそろ手打ちしよう。それともまだやる?
私は女性に関しても打たれ強いのです。「ヒドイ目にあわされた」という女性が出てこない限りは作り話ですから。
かくして私は以前にも増して元氣ですが、叩いた方の人たちの方が心配で心配で。
共催による普及協力金1億1200万円也。この一年間でそれよりも多くの額を使って普及活動に務めました。アマチュア主導型の普及態勢を築き、教育界へも一歩ずつ前進しています。名人戦の対局を楽しみ、普及活動に務め、教育界への一助も果たす。
今はホッとしています。ご支援感謝。
(2008/4/5)
社団法人と棋士
社団法人日本将棋連盟は今後どうなるのでしょうか。おかげさまで健全経営の目途は立ちました。今年の赤字は数千万円くらいになった。収入も増えましたので、来期からは想定通りの経営になるでしょう。但し棋士の理解と公益法人改革の乗り切りが条件です。職員も理解していて全員一丸となって危機感を共有する者が多くなってきました。
問題はプロ棋士にあります。公益法人改革の前段階として、もう一度社団法人と正会員(棋士)の関係を明確にして、定款の不備を補う必要があります。
現在の会員の禁止条項は3項です。
○免状
勝手に自分の個人免状を発行した者は除名。但し私製の認定証などは普及に役立ちますから奨励しています。
○対局
理事会の許可なく棋譜を新聞や雑誌等に掲載した者は退会処分になります。免状は伝統の権威でもあり、対局は棋士の生命がけの神聖なるものです。近頃不戦敗を何回もしたうえに悪びれた風も無い者が現れました。法律を盾にされると案外処分が難しいです。不戦敗は自由になるのか。やっぱり会員の総意できちんとした定款を改正するのか。どちらかにすべきでしょうか。
○破産
自己破産や禁治産者も退会です。
近頃民事再生した者がいます。会社も破産で、債権者会議が持たれています。個人の方は民事再生が認められた。個人も法人も他人に迷惑をかけたことは間違いありません。かつての「もののふ」の棋士であれば、定款に定められたものであろうとなかろうと退会したことでしょう。
今の定款は民事再生などという妙手が無い時の定款です。法律上は問題点や不備があるのです。
社団法人の正しくあるべき姿にするため、定款を改正しておく必要があります。美しい社団法人を目指そう。
普及活動も順調です。特に教育界への進出が顕著です。これは本日更新の「まじめな私」をお読み下さい。
(2008/3/30)
NHK
早いものでこのホームページも丸八年になるんですね。丸八碁盤店で何か記念に買おうかな。
NHK杯の決勝ご覧になりましたか。史上初の生放送でした。解説が森内俊之名人。私は声を掛けられましたが断りました。
「決勝戦だけは解説者はトップスターでなければいけません。固くお断りします。これからも毎年そのように致しましょう。今までのように会長が解説するのは止めにしたい」
続けて次のようにも申し上げました。
「私は決勝戦のみお断りしているのです。それ以外でしたら是非私を解説にお願いします」
4月13日(日)は佐々木慎五段VSア一生四段戦です。その解説を頼まれました。私としては2年振りの解説ですので是非ご覧下さい。聞き手は「美人で有名な中座夫人」の妹の中倉宏美さんです。中倉先生とお呼びしないといけないのかなぁ。
4月13日は職団戦の日でもあります。先々週、3月最終週に多くの県で小学生名人戦の予選があると書きました。全国各地にプロ棋士が派遣されます。
棋王戦が第5局まであります。佐藤棋王と羽生二冠は派遣には参加出来ません。訂正します。
(2008/3/22)
幻の一手
まず、今日から始まる対局型掲示板をどうぞ。出来ればあなたも一手参加して下さい。観戦だけでも連日どうぞ。
王将戦の最中のことです。第二局です。
米長「久保君。あそこで△7三王なら優勢じゃないか」
久保「それがですね。○○○という手があるんです」
米長「えっ?」
数日後に羽生、米長の対話です。
「あそこで△7三王と指すとどうするの?」
「うーん。それは▲7五歩か○○○のどちらかです。それよりも△7四歩と突く手で△5三王も有力です」
「そのあと教えてくんないか」
「▲6六香△7四桂と思うんですが」
※この局面が棋王戦第三局、佐藤ー羽生戦で出現したのです。
「△7四桂のあとは二通りあります。ひとつは▲7四同角△同歩▲4五桂△4二王▲1二竜△5一王です。王がくるくると一回りするのが面白い変化です。もうひとつは○○○です」
私が教えてもらった○○○はタイトル戦で再現するような予感がしましたので封じ手にしておきました。
しかし、その一手を羽生善治二冠が指しましたので公開します。バックナンバーで、羽生ー久保戦もありますから熱心な方はそちらもご覧下さい。
さ、掲示板の方へどうぞ。
(2008/3/14)
小学生の日
悪い悪い。先週は職団戦(4月13日)にはA級、B1級、タイトル保持者全員が指導すると書きましたが、間違いでした。一人も出ません。なぜそうなったかを記します。
小学生名人は5月の連休前後に準決勝、決勝の3局がNHKで放映されます。各県の予選は3月最終週の土、日と決めました。今年は2月に行われた県もあります。来年は全国一斉にNHK支局もニュースで取りあげてもらいたく、47都道府県が歩調を合わせてとなればと思っています。
その県大会へはプロ棋士を派遣します。全国一斉に、それも一県一人だけではないようにしたい考えです。
今年は2月と3月29、30日とまちまちでした。プロ棋士の協力を仰いだところ、タイトル保持者、A級、B1級の棋士が行ってくれることになったのです。2月分は既に行っています。
地元の方はプロ棋士の謝礼、交通費、宿泊代全て無料です。
棋士の謝金も全員一律になっています。(連盟負担でタイトル保持者も四段も同額)
小学生名人戦の方へ多くの棋士が全員協力して行ってくれた。
4月13日の職団戦とはダブらないようにしました。その結果、31名の棋士が当日指導しますが、A級、B1級、タイトル保持者は無しということになったのです。今年の4月13日はB2級、C1級が行きます。
来年は人選を早目に決めて、偏りがないようにしたい。
小学生名人戦は参加人数が減る傾向にあります。弱い人、低学年の者は代表になれないと諦めてしまうからです。
そこで一案。参加者を増やす工夫、努力をした県連合会には特別賞を設けることを検討中。
(名人戦は「まじめな私」で)
(3月22日一部訂正しました)
(2008/3/8)
職団戦 (指導棋士に間違いがありました。↑上をご覧下さい。m(__)m)
春の職団戦は4月13日(日)東京武道館で行われます。綾瀬駅近くです。
二連敗して予選落ちして下さい。というのは指導対局陣には全タイトル保持者、A級、B1クラス全員を揃えました。もっともスケジュール調整が出来ない人や関西在住の人は欠席。現在31名が出席です。
1チーム5名です。お問合せは普及部まで。 TEL:03-3408-6165
■将棋界の指針
ちゃっかり借用しました。社団法人日本将棋連盟は、公益法人改革への対応として、棋士も職員も意識を変えて出直す必要があります。どこかにお手本はないかと探していましたが、ありました。
日本財団の活動方針がそれです。それを示します。
以下は日本財団の業務の遂行にあたっての「七つの鍵」としての指針です。私達も力を合わせ、全く同じ指針を掲げて未来へ向けて進みましょう。
日本将棋連盟活動指針
1.あまねく平等にではなく、優先順位を持って、深く、且つ、
きめ細かく対応すること
2.前例にこだわることなく、新たな創造に取り組むこと
3.失敗を恐れずに速やかに行動すること
4.社会に対して常にオープンで透明であること
5.絶えず自らを評価し、自らを教育すること
6.新しい変化の兆しをいち早く見つけて、それへの対応をすること
7.良き人脈を開拓すること
みなさん、私達は一丸となって頑張ります。将棋界はこれから、今まで以上に普及と技術向上に全力を尽くしますのでどうぞ宜しく。
(2008/3/1)
女流棋士
女流名人位戦も終わりました。女流棋界全体に望むことは、囲碁の女流棋士の方々に同調される存在になることです。それには一にも二にも、特に若手の実力アップです。勉強に次ぐ勉強です。それから普及と感謝です。
桜前線と称して女流棋士が普及活動を自力で始めようとしています。その起草文を掲載しますので、応援してやって下さい。
(前略)
また、昨秋には「紅葉前線」を追いかけて全国6箇所で初の縦断イベントを開催し、各地でご好評を頂きました。
そこで今春は、3月〜5月の桜前線と共に「紅葉前線」とは別の地域(6箇所の予定)でイベントを開催し、今後も「全国縦断イベント・桜・紅葉前線」を女流棋士会年間行事として末永く続けていきたいと考えております。
「地域密着型普及」「攻める普及」が、私たち女流棋士会の普及方針です。
イベント構成:
毎回イベントのテーマを設け、今回の桜前線では「ふれあい(予定)」をテーマに開催していきたいと思います。
各地への派遣棋士は、男性棋士1名、女流棋士2〜3名を予定で、イベント内容は指導対局・席上対局・トークショーなど従来と変りはありませんが、もう一歩ファンの皆様との距離を縮める企画など考案中です。(例えば、お客様との懇談会など・・・)
その他、従来のイベントでは「将棋」を前面に出した企画がほとんどでしたが、今イベントは、各開催地の観光地や名産品、歴史といったものをご来場されたお客様に紹介、地域の特色を出した企画構成で各地域との密接な関係を深めていきたいと思います。
(中略)
更に、各報道関係に取り上げて頂けるよう「絵になる企画」「話題性のある内容」で、将棋と○○とのコラボレーションを計り、今までの「将棋を観戦する」だけのイベントから、女流棋士ならではの「将棋を観せ、企画で魅せるイベント」を展開、全国的に将棋界・女流棋士をアピールしていこうと思います。
(後略)
社団法人日本将棋連盟 女流棋士会
(2008/2/23)
公益法人改革
将棋界にとって一番大きな課題は公益法人改革です。これは日本中の財団法人と社団法人をAクラスとBクラスの二種類に分けるというものです。文部科学省は私たちの応援団ですが、決定するのは内閣府の方にあります。
上と下のクラスと表現すると、良い社団法人なら税制が優遇されます。現在の日本将棋連盟のままと同じです。
下のクラスであると判定されるとさあ大変。株式会社ということになって、あれもこれもと税金がかかるんです。免状も儲け仕事ではないのか。扇子やグッズもファンサービスではなく利益追求のためであろう。将棋世界も儲けるためではないか。etc
申請は今年12月から開始。それから5年間の時間内で毎年一回申請出来る。一度出して却下されても翌年になって指導された部分を修正して提出が出来るのです。
一年一局で五局指し、一回勝てば合格ということです。もっとも常識的には2連敗なら失格の覚悟が必要です。
あっちもこっちも大騒ぎです。落ち着いているのは日本将棋連盟だけかも。囲碁の方は日本棋院も関西棋院も今年12月に提出予定らしいです。どちらも財団法人なのでやり易いです。
日本将棋連盟は社団法人です。会長としてはこれが心労の最たるもので、どういうスケジュールを立てるのが良いのか悩んでおります。正会員はプロ棋士のみとなっている。従ってプロ棋士200名に詳しい説明と理解を求める必要があります。
社団と財団とどこが違うの?これが本当に困るんですね。社団法人は同じ目的を持った人間あるいは法人の集まりのこと。将棋を愛する人が、その普及のために集まった団体が社団法人。はっきり申し上げれば、将棋普及のために私財を投げ出す人々の集まりです。
普及活動をしている人と、将棋が強い人が収入を得るという図式の説明、理解が必要なのです。まじめに対局をして、普及に務める人々の集まりであることの確認が一番。それなら全てが解決です。問題は以上二項目を守らない人が存在した時はどうするか。
私なりに精一杯頑張りますが、要は正会員の一致団結と、政治力、人脈、情報収集力等が求められます。
(2008/2/16)
普及サミット
全国の支部長や普及指導員の方々に集まっていただき、会長や理事、連盟職員が普及方針を話す。そして質疑応答。会議のあとはビールでパーティ。
このような催しを全国で行っています。2月3日は雪でしたが、東京大会には出席予定者117名のうち、j欠席は僅か数名という熱氣でした。
午後2時から開会。米長会長の方針演説30分。次いで各部についてディスカッション。発言に対しては、@即答して快諾A却下B宿題として持ち帰り後日返事。以上の3通りのどれかであって、はぐらかしたり逃げたりは致しません。
プロもアマも一体となっての普及活動は雪だるまのように大きく丸くなってゆくのが実感出来ます。
女流棋士間のもめ事についても言及。誰も異論など唱えたり質問したりする人は居ません。陰でコソコソする人が二人いたとのこと。捨ておけ捨ておけ。やっぱり女流棋士の指導要項は多いです。
3時間の熱い討論が終ると宴会。といってもささやかな料理で喉をうるおしてもらう程度ですが、このような時間は一対一で話せるから貴重です。
7時に全て終了。普及部員が車に荷物を積んで千駄ヶ谷まで運転です。「君、今日は雪だから車は一泊させて酒を飲め」と言ったのですが「それだと8000円もかかりますのでやっぱり運転します」と言う。健氣ではないか。
会場費、資料代、パーティ費は全て朝日新聞社と毎日新聞社の名人戦共催金から出ています。それを看板に出し、私からも説明。改めて両新聞社にお礼申し上げます。ところで8000円も計上できたのかなぁ。
(2008/2/10)
広報
公益法人改革は大変です。社団法人が棋士、職員、アマチュア一丸となってというのが第一手です。対局と指導・普及を対等とする。この対等という意味は普及に携っているボランティアのような人と、トッププロも別々ではありますが、それぞれが対等に社団法人にとって尊い人という意味です。
将棋連盟の会長というのは総務課の係長以下の仕事から大臣や社長クラスの人とも会ったりと大変です。
4月1日付の人事は情報の風通しが眼目です。一部の担当者のみが知っていることも多いので、それを早く、広く公開してゆく。各人に責任のある仕事を分担してもらう態勢を作り上げる。そのためには「任せる」まで会長は忙しいです。
更には給与と就業規則を大幅に見直します。
全てガラス張りにしてゆきます。将棋連盟の運営や会長への不満等は大勢の会員の前で討論してゆくことが一番分かりやすいです。こちらに非があれば謝り、誤解があればそれを解く。
これからは誤解や非難にはまともに正面から反論して、然る後に万機公論に決する。口論にならないようにしたいと思います。
広報活動は全てに優先すると思うようになりました。
将棋世界3月号は「まじめな私」で。
幻の一手は羽生王将ご自身に書き込んでもらうよう努力中です。
(2008/2/2)
中井VS里見
おもしろい将棋があるぞ。中井ママVS里見戦。親子対決のような一戦だがママが貫禄を示すか、それとも時代の移行を象徴させるようになるのか。
この一局は毎週日曜日午後8時からのインターネットで生中継されます。本局は1月27日です。賞金は200万円(推定)だったと思いますが、誰でも無料でご覧になれます。下記のURLからお入り下さい。
大和証券グループが協賛の棋戦で、男子と女子の最強戦があります。女子は現在ベスト8が出揃ったところです。
女流は2団体に分かれました。新団体の方の代表幹事が中井ママ。日本将棋連盟所属の新しいスターが里見(高1)。応援合戦も凄そうです。
観戦の方法ですが、倶楽部24に入るよりは少し面倒です。下記のURLをクリックすると、2、3簡単な質問がありますので答えて下さい。極めて単純なものですのでどうかクリックして下さい。
ライブ中継(旧対局室)の入場は950名と定員が決まっています。入りきれない時は棋譜速報(旧観戦室)でお楽しみ下さい。多少時間差がありますが内容は違いません。
あなたが観戦されますとカウント数に反映されます。どうかNHKの篤姫を観るより里見姫の方をご覧下さい。
皆様に観戦していただき、御意見もお聴きして、棋戦を育ててゆきたいです。
http://www.daiwashogi.net/
(2008/1/26)
みんな来て下て下さい
私が顔を出して、どなたでも来られるイベント等を列記しました。
近い順です。
詳しくは日本将棋連盟HPをご覧下さい。
http://www.shogi.or.jp/
■真部一男九段 お別れ会
日時:1月24日午後6時より
場所:東京千駄ヶ谷 将棋会館
供花、香典は固辞。私は6時にご挨拶。
■朝日オープン決勝
2月9日(土)
時間:午前10時開場、同10時20分開演。午前に準決勝、午後に決勝
会場:有楽町朝日ホール(有楽町マリオン11階)
■倉敷女流名人位戦イベント
2月10日:前夜祭
2月11日:矢内女流名人vs斉田晴子戦
場所:倉敷市芸文館
対局とイベントが一緒です。美人女流棋士が10名以上参加します。楽しそうです。
対局は日本将棋連盟も主催者ですから、私は前夜祭で挨拶。対局当日は開始時に正座。
イベントの方は私共と報知新聞社の協力です。全て倉敷市が市制40周年事業の一環として行う。
私も一言挨拶でしょうか。是非おいで下さい。
■棋王戦第一局
京都で行われます。佐藤康光vs羽生善治。
前夜祭:2月12日(火) 参加費8000円。
対 局:2月13日(水)大盤解説やら指導対局もある。参加費1000円。
■大和証券トークショー
日時:2月24日(日)
場所:大阪
詳細は後日。
(2008/1/19)
米長玉 ヨネナガギョク。これは私の将棋人生でも特別な用語です。中座飛車というのがありますが、他には例を知りません。天野宗歩の遠見の角がありますが、たいていは説明的になっています。
珍しい。名誉なことです。その一号局が掲示板に今日載っています。第36期A級順位戦です。定位置の本丸から一路ずれて二の丸、あるいは西の丸に居を移すという発想です。これが香の上に一路寄せる米長玉の考え方。ヨコあるいはナナメから攻めて来ても、早めに一手逃げているので、終盤で活きてきます。欠点は直接上から攻められることです。そこで上部の厚みが問題になるのです。
上部の攻めにまで配慮したのが穴熊です。これは米長玉を更に工夫して、香の下に玉が潜るので万全です。しかし手数を要するという欠点があり、藤井システムなる狙い打ち戦法もある。要は、ある時は急戦。ある時は穴熊。してある時は米長玉と、その時々に使い分けることが一番なのでしょう。
対局型掲示板、あなたも一手どうぞ。
(2008/1/12)
今年の将棋界
今年はどんな年になるのでしょうか。
よい年になります。これは断言できる。世の中が将棋向きに動いているのですね。地球が将棋界のために回っている。それにしては金回りが悪いという氣はしますけど。
バロメーターは世相。漫画の世界です。将棋漫画がブームです。「81(ハチワン)ダイバー」をご存知か。ヤングジャンプで大フィーバー中。「シオンの王」はテレビアニメ化が進んでいるようです。原作者は私の知っている美人という話ですが、余り事情は分からない。若年同は漫画世代でもあり、大変結構ですね。片方では理研とタイアップしての「脳の研究」も進んでいます。
面白くて、多くの少年少女に指示されて、そして頭が良くなるもの。それが将棋です。
今年は10年か20年に一度の絶好のチャンスが巡ってきました。今こそ普及と広報に全力を挙げるべき時です。私の第一手はプロ集団の意思統一です。全員一丸となって組織的に動くことが大切です。アマチュアの意見を広く聴くことが次いで急所。2年くらいじっと我慢していましたが、私の本領発揮はこれからです。ご協力宜しく。
掲示板の対局。指し初めに一手どうぞ。あなたの一手が私を勇氣づけますので。初心者大歓迎です。真部一男九段を偲んでの一局です。
(2008/1/5)