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2009年4月24日 (金)

「ら致」・「あっ旋」…改めよう、交ぜ書き熟語!

 165回目のブログです。

 4月も下旬、暖かいというよりも暑い日が続き、つい先日は桜の好季節を感じて
いたのもつかの間、もう、皐(さつき)や躑躅(つつじ)が咲き始め、それなりの豊か
な色彩が目に映ります。

 このように、自然というものは、言葉通り自然に移ろい、時には穏やかに、時には
激しく変化を見せてくれます。

 それに引き替え、人間界はなかなか穏やかなことは少なく、えげつなく激しい争い
ばかりが目に付きます。そういう社会現象も、静かにつきつめて見れば、わが国の
歴史や文化の延長線に記された混乱、混雑、混迷と言えるかもしれません。
とすれば、混迷の解決には、歴史や文化に照らし合わせ、素直になればよいと
気付くはずです。

 さて、その内の一つが「国語国字問題」です。国語国字問題は、古くは明治の初
めに提起され、大東亜戦争(第二次世界大戦)後の混乱期を経、今また関心が高
まってきています。

 直近のマスコミで報道された、日本語についてのトピックスを拾ってみましょう。

麻生首相「心ずかい」…送り仮名問題

  すべてのマスコミが、麻生総理の手紙にあった“心ずかい”を送り仮名間違い
  と糾弾したが、広辞苑により“心ずかい”、“心づかい”両方ともが正解だと
  わかり、逆にマスコミの無知が判明するというドタバタ劇。(3/14 TV・新聞)

麻生首相「弥栄」「弥栄え」(いやさか・いやさかえ)…読み方問題

  多くのマスコミが、麻生総理の天皇・皇后両陛下ご成婚50周年式典で発した
  言葉、“いやさかえ”を間違いだと指摘したが、正式には、古くは、地域によっ
  ては、学者の著作には、祝詞などには“いやさかえ”と読まれている例が数多く
  あることが判明。(4/10 一部のTV・新聞)

新常用漢字表、試案を公表=4月16日まで意見募集―文化庁

  文化庁は16日、公用文書や新聞、雑誌、放送など社会生活における漢字
  使用の目安として文化審議会国語分科会がまとめた「新常用漢字表(仮称)」
  の試案を公表した。4月16日まで一般から意見を募集し、今後の文化審での
  議論に反映させる。(3/17 時事通信)

漢検理事長の刑事責任追及検討 親族企業との多額取引

  公益法人なのに多額の利益を計上し、理事長らが関係する親族企業との
  不透明な取引が指摘された財団法人「日本漢字能力検定協会」の大久保昇
  理事長について、捜査当局が背任容疑などで刑事責任追及を検討することが
  15日分かった。(4/15 共同通信)

 これらだけでも、わずか一ヶ月の間のことですから、わたし達日本人は、ある意味
で、日本語という言葉にそれなりの関心を持っていることの証明になります。麻生
首相の送り仮名や読み方は些細なことであり、また漢検理事長の犯罪は社会問題
として見れば、国語国字問題として重要なことは、「新常用漢字」などだと考えなけ
ればなりません。

 現行の「常用漢字」は、1945文字ですが、「岡」や「阪」など191字を追加するなど
して、現実の日常生活に合わせようというものですから、あまりにも遅きに失すぎた
と思いますし、その数も、もっと増やすべきだと考えています。いままで岡山の「岡」
や大阪の「阪」さえ含んでいなかったのですから、まさに、何おか言わんや。

 国語問題と言えば、昔は変な主張をする、いわゆる文化人がいました。特に大
東亜戦争(第2次世界大戦)に破れてからは、漢字廃止論者、かなもじ論者が結構
幅を利かせたり、小説の神様と称された志賀直哉が世界で一番美しいフランス語
を国語に採用せよと主張したり、まさに、わが国の歴史と文化を無視した意見が
横行した経緯があります。

 これらをみれば、文化人だからと言い、知識人だからと言って、けっして信用すべ
きではなく、日本人としての自信と常識と良識を持った人の主張や発言に耳を傾ける
べきだと考えます。(唯一、国語問題に正面から、真摯に、情熱を持ち、良識に基づ
いて議論したのは、福田恆存氏でした。まさに、真の文化人であり、憂国の人でも
あったのです。)

 そう考え、今、現実を直視すれば、即時「交ぜ書き」をやめることから始めるべき
でしょう。「交ぜ書き熟語」は、「かな交ぜ熟語」、「混ぜ書き熟語」、「雑ぜ書き熟語」
とも言いますが、やはり、どう考えても変ですし、間違っていると思います。

 「交ぜ書き熟語」の具体例をあげてみましょう。

  ら致    → 拉致(北のら致問題→北の拉致問題)
  あっ旋  → 斡旋(あっ旋収わい→斡旋収賄)
  しん察  → 診察
  早ざき  → 早咲き
  こう水   → 香水・洪水
  はく手   → 拍手
  う回     → 迂回(う回融資→迂回融資)
  かく乱   → 攪乱(後方かく乱→後方攪乱)
  は綻    → 破綻(経営は綻→経営破綻)
  快ゆ    → 快癒
  えん罪   → 冤罪
  かい書   → 楷書
  障がい者 → 障碍者
  祭し      → 祭祀
  だ円     → 楕円
  ねつ造   → 捏造(ねつ造疑惑→捏造疑惑)
  ぶん娩   → 分娩
  りん議    → 稟議

 挙げていけば切りがありませんが、これらの言葉をパソコンのキーボードで打って
いて気付くのは、交ぜ書きではなく、ちゃんとした熟語の方が書きやすく、読みやす
いことです。

 子どもたちの教科書や雑誌には、数多くの交ぜ書き語がありますが、かえって
読み迷うものが多いと指摘されています。漢字は、石井式漢字教育によれば、
子どもは象形文字として、理解するそうですから、あまり神経質になることは間違い
ではないでしょうか。

 わたし達大人でも、「拉致問題」を「ら致問題」と表記してあれば、間の抜けた表現
であり、漢字熟語の持つ訴求力を削いでいるように感じます。それでなくても、この
拉致問題は解決していないのですから、日本人のほとんど(一部の人は拉致問題
の責任は日本にあると主張)が、これについて力強い表現をしていかなければ、
なかなか解決に向わないのではないでしょうか。

 今一度、交ぜ書きの問題点を整理してみましょう。

   交ぜ書きは、かえって読み難い。
   交ぜ書きは、漢字が本来持つ美しさを失わせている。
   漢字が複雑で書き難いのであれば、すべてを、かな文字で書き、
     括弧をつけた表現の方がすっきりしている。
       (ex. あっ旋 → “あっせん”、 はく手 → “はくしゅ”)

 現在、漢字はブームとなっており、正道に戻すチャンスであり、今こそマスメディ
ア、マスコミの真の役割が求められていると考えます。

 文部科学省をはじめとした国語(日本語)の指導層は、漢字仮名混じり文を基本
とした正しい日本語体系を後世に引き継ぐ責務があり、常用漢字、当用漢字、交ぜ
書き熟語、仮名遣いなど、あらゆるものを真摯に匡していくことが極めて重要である
ことを認識してほしいと思います。

 わたし達も、メディアも、教科書執筆者も、文部科学省も、全ての人が国語(日本
語)を大切に考え、その実践として、まず
、「交ぜ書き」をやめることから始めよう
ではありませんか。

 みなさんはどのようにお考えでしょうか。

次回も
時事エッセー
です

  

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