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14日午後零時15分ごろ、松本市安曇の県道上高地公園線釜トンネルの上高地側から約300メートル付近の斜面で落石があり、防護ネットを張る作業をしていた同市安曇の会社員福田恒男(のぶお)さん(61)が石に当たり、約2時間後に死亡、同じ場所で作業中の同市両島の会社員勝山俊郎さん(45)が左足首を骨折したもようだ。
上高地側にいた観光客ら1200人が一時足止めされたが、暫定的に片側通行にして通した。県松本建設事務所は同日夜、不安定な状態が続いているとして、15日以降も安全が確認されるまで当面、同県道を全面通行止めにすることを決めた。同県道は上高地に通じる唯一の道路。
松本署と県松本建設事務所によると、石は県道の約20メートルの範囲に落ち、大きさは最大で直径約30センチ。発生時、福田さんと勝山さんは作業用ヘルメットをかぶり、高さ約20メートルの地点で防護ネットを張る作業をしていたが、落石を受けて10数メートル転落した。
作業個所は14日午前に小規模の落石が発生。同事務所は同8時ごろ、上高地に向かう観光バスの運転手から連絡を受け、付近を全面通行止めにし、同10時半ごろから福田さんら5人で道路上の落石を除く作業を開始。同11時半すぎに道路から約20メートル上の斜面に落石防止ネットを取り付ける作業を始めたところ、新たな落石が起きたという。
同事務所によると、現場の県道から約100メートル上に旧道があり、落石個所は旧道を支えている部分で、石の老朽化が進み、浮き石なども多く見られるという。
同事務所の米山秀比古・維持管理課長(59)は「落石の場合、山すべての安全を確認することは難しく、落石が道路にまで到達しないよう、道路近くにネットを張るなどの作業をしている。今回も、既にあった落石防止ネットを拡張することで以後の落石は防げると判断した」と話している。